NO.284 理事会レポート

07/19には実質上、今期第一回となる第284回理事会が開催されました。
お約束のとおり理事会レポートをお届けしてまいりたいと存じます。中部地区選出理事のあいだでは慣例的に選出理事4名の輪番制で、理事会レポートが報告されてきた経緯がございます。 その慣例は承知致しておりますが、いささか考えるところもあり、独自レポートを記事掲載して参ります。 なお、他の理事からお話しがあれば輪番レポートにも参加するつもりでおります。


いささか考えるところと云うのは、このようなことです。
1.今期の理事任期は新公益法人設立までの暫定的期間であり、ほぼ年内もしくは年度内と予想される短期間であり、年内とすれば年内開催の理事会は9月理事会と11月理事会の残すところ二回のみであること。
2.中部区選出理事4名の内、愛知会の前川理事は常務理事に指名されており、お立場がやや異なること。 常務理事は経常業務執行を担っており、毎月1回ないし2回の常務理事会が予定されています。 正副会長及び常務理事はいわば執行部を形成する方々と申して差しつかえないでしょう。 同時に前川常務理事は国際委員会委員長も担っておられます。
3.理事選挙のおりにお約束致しましたが、森島の視点から、随時理事会ならびに会務報告をして参りたいと考えておりますことから、独自レポートを記事掲載して参りたいと考えます。
《NO.284 理事会レポート》
日時 2011年07月19日 午後13:30より午後16:00まで
場所 新橋1丁目 航空会館502会議室
「議案審議」
1.懲戒委員会委員の選任承認案件 (執行部提案を承認)
中部区からは武藤正行氏が指名承認されました。
2.会費減免の承認案件
執行部提案が承認されました。
3.その他
特段の提案事案はありませんでした。
「委員会報告事項」
選挙の行われた年の年度初めでもあり、各委員会はまだ稼働しておりませんことから、特段の報告は有りません。その状況のなかで3件の委員長報告がございました。
一、証券化対象不動産に関わる鑑定評価関連
(緒方会長、北川証券化鑑定評価特別委員長)
H23.06.30付け、標題の地価調査課長通達に関連して、緒方会長及び北川委員長から会長通知についての報告がございました。この件は同日付け鑑定協会メルマガにてご案内のとおりですから、付け加える事項は何もありません。
「課長通知文書に掲げられた不動産鑑定士及び不動産鑑定業者において改善すべき事項について、厳守・励行を強くお願い申し上げます。」 と云うことです。
二、新スキーム特別委員会と不動産取引価格情報制度について
(小川副会長(新スキーム担当)、後藤計新スキーム特別委員長)
H23.06.20 定例総会の前日に開催された全国士協会会長会議にて報告されました「新スキーム特別委員会報告文書の理事会開示並びに説明が行われました。会長会議翌日の総会後に開催された06.21理事会には何の報告も文書開示もなされなかった件について、一ヶ月遅れの開示並びに背景説明です。 開示等が一ヶ月も遅れたことは、理事会軽視であり由々しきことと云えますが、文書そのものは一ヶ月前に開示されており、『鄙からの発信』でも記事にしておりますから、特にこと上げは致しません。
なお、新スキーム特別委員会は「新スキーム改善特別委員会」と改称され、委員会構成は現行の後藤計委員長、小川地価調査委員長、磯尾情報安全活用委員長、並びに東京、神奈川、愛知、大阪各士協会からの推薦委員に加えて、玉那覇公的土地評価委員長、小泉企画委員長、各地域会会長を拡充することとなりました。士協会会長会議にて報告して以来既に一ヶ月が経過したにもかかわらず、未だ組織いじりに終始しているとは「ナントモハヤ」と云わざるを得ません。 さらには国の関係部署にもオブザーバー参加を求めると云いますから、船頭多くして船は山に登るとなりはしないかと危ぶまれます。
なお、茫猿の「不動産センサス」創設提案は一言の言及もなく見事にスルーされました。
※この件に関しては、一連の関係記事をご覧下さい。
「新スキームの行方」(1~3)
「不動産センサスの創設」(1~2)
該当文書全文PDFファイルはこちらに掲載する。参考資料や添付資料は除いてあります。
三、不動産鑑定業将来ビジョンについて(熊倉副会長)
2011年6月1日に公表されました、不動産鑑定業将来ビジョン研究会報告の「不動産鑑定業将来ビジョン研究会報告書」について、その取り組み工程表の説明がございました。 工程表についてはPDFファイルにて開示致します。
【工程表ファイルを開く】
示された工程表には重大な欠陥があります。 なぜならば、工程表と云いながら、そこにはお題目が掲げられるだけで、工程すなわち日程が一切示されていません。「何をいつまでに」が示されない工程表など工程の名に値しない、お題目に過ぎないと申し上げて差しつかえないでしょう。 「プラン(企画)・ドゥー(実行)・チェック(検証)」という工程が肝心なことは今さら申し上げるまでも無いことでしょう。
「理事質問回答」
数名の理事から事前に文書で提出された質問事項についての執行部回答がなされましたが、詳細については割愛します。
「茫猿雑感」
十二年ぶりに出席した理事会ですが、正直申し上げましてはなはだ遺憾であり退屈でした。 一つは執行部説明案件が長すぎるのです。理事会開催時間は二時間半に過ぎません。にもかかわらず大半の時間を執行部が委員会報告案件の説明に費やすのです。
証券化鑑定関連は06/30公表、新スキーム関連は06/20公表、ビジョン関連は06/01公表案件です。大半の理事はその職責上の責任から、既に精読済み案件であり、特段の質問がなければ月遅れの事後説明など屋上屋を重ねるに等しく、延々と退屈な説明に貴重な時間を費やすのは、まことにモッタイナイことだと思わされました。
理事質問に関しては事前に書面にての提出が求められ、常務会で質問取り上げの諾否が協議された上での理事会における回答です。手短に回答されれば済むことでありながら、質問理事と議長(緒方会長)が不用意な一問一答を繰り返し、あまつさえ監事が論議に割って入るなどお粗末の極みと感じました。
郵書とファクシミリしか無かった十二年前に比較すれば、Rea Info、Rea Data、鑑定協会メルマガ、鑑定協会HP、e.Mailなど情報の伝達並びに公開手段には事欠かないのが現在です。にも関わらず、それらを有効に活用できず、議長と理事が一問一答を繰り返すなど論外であろうと考えます。 この件に関して茫猿はReaNetの活用を求める質問兼提案を文書提出致しましたが、理事会運営規程にないからとスルーされました。
《茫猿の提案》
1.Rea Net 内のRea Data におけるメンバーリストに理事役員会メンバーリストの追加を求めます。
2.理事会質問並びに理事提案については、Rea Infoに「理事会質問・提案」のスレッドを立てていただき、質問等概略をフォローコメントとして掲載する。 質問書本文は送信ファイルとしてRea Data に掲載できるようご配慮頂きたいと考えます。
※理事質問は文書で事前提出を求め、常務理事会で採否を検討の上、理事会で回答するというアナログ的手続きに固執するという旧来のスタイルを維持したいということでしょう。 水平的かつクロスオーバー的、さらには公開討論的な応酬は避けたいということでもありましょうか? でもデジタル会議や電視会議は時代の要請でもあるということに気付いて頂きたいと思います。 また、ReaDataのメンバーリストは私的に作成が可能ですから、近々に作成して利用したいと考えております。
《一連のかんぽの宿関連》
関係機関が審査中あるいは捜査中の案件であるから、「会長声明」以上のコメントはできないというのが回答です。この回答に異議を申し述べるつもりはありません。茫猿が問題にするのは、証券化鑑定問題も含めてこれら一連の事件の根底に共通するのは「Client Influence Problem」なのであり、鑑定評価の根幹に関わる重大な案件と考えます。そう考えるからこそ、茫猿は何度も何度もRea Review制度の創設を訴えているのです。
当面の対応措置を示すに止まらず、根幹的、抜本的対応方針を示すことが重要であろうと考えます。 鑑定協会HPに連載されている証券取引等監視委員会コラムは「不動産鑑定士の行う鑑定評価は、不動産現物出資が適正に行われるためのキーポイントである。繰り返しになるが、その影響の大きさを充分認識し、鑑定評価を行っていただくことはもちろん、不動産鑑定士が、不公正ファイナンスの片棒を担がされることのないよう、事案全体にも注意を払うようしていただけると幸いである。」と述べています。
鑑定士が鑑定評価に関連して逮捕されたことの重大さをしっかりと受けとめ、倫理問題には止めない真摯な対応が求められていると考えます。 緒方会長以下執行部は国交省通知文書(2011.6.29)の、厳守・励行を強くお願いするに止まらない、具体的かつ実効性のある解決策を、自主的、自律的に社会へ示してゆくことが肝要なのだと考えてますが、そのロードマップはまだ示されていません。
この件に関連して新藤副会長(調査研究委担当)は「倫理研修」の充実強化を表明されました。 倫理強化の再確認は当然のことであり大事なことと承知していますが、社会の関心は「鑑定協会が具体的かつ実効性ある対応策」をいつ表明するかにあると考えます。内輪目線でなく、社会の視点に応える自主的自律的な態度表明が待たれていると考えるのに「倫理を糺します」だけでは社会の信頼回復は覚束無いと考えます。
さらに蛇足を承知の上で申し上げれば、倫理などというものは一遍の研修で身に付くものではなく、鑑定評価であればどのような師匠に育てられたかによるものと考えます。実務研修や実務修習の何年かに「如何なる師匠に出会えたか」が、弟子のその後を左右するであろうと考えます。もちろんのこと本人の資質、人生観が大きく左右するでしょうが、先ずは良き師匠や先輩に出会うことに懸かっていると考えるのですが如何でしょうか。
総じて鑑定協会執行部の閉鎖的体質や「拠らしむべし 知らしむべからず」体質は抜き難いものがありますが、せめて『鄙からの発信』では、守秘を求められない限り様々な事項を開示してゆこうと考えています。 でなければ台風襲来のなかを上京した意味はございませんし、交通費を支給して頂く鑑定協会会員に対して申し開きが出来ないことと考えています。
理事会のあとに、日比谷の松本楼にて懇親会が開かれました。カレーの有名な松本楼ですが、会費八千円也を支払ったにもかかわらず談話に終始して、肉片二切れと薄い水割りを三杯いただいただけ、全く勿体ないことでした。
翌日はRea Map のチューニングアップを検証しましたが、その件については稿を改めます。

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NO.284 理事会レポート への2件のフィードバック

  1. 福田勝法 のコメント:

    お疲れ様でした。情報化社会で情報が瞬時に飛び交う時代に、お粗末ですね。公にできることと、できないことはあるにせよ、いつまでも、巧遅を尊ぶ精神順守で良いものでしょうか。「不動産センサス」創設案は、是非是非、繰り返し、ご提案ください。残された、時間は、無いと思います。不退転の決意で、執行部は、社会の信頼回復策を実行すべきです。

  2. bouen のコメント:

     公開できない資料は、理事会でも閲覧後回収、もしくは守秘あるいは取り扱い注意などの表示がされます。違う角度から見れば、最初からそれらの表示が無くて配布された資料は、開示容認資料であると云えます。
     アナログからデジタルへの移動は連続線上の変化ではなく、不連続なのであり段差のある質的転換なのだと考えます。ですから、アナログ時代の書式、様式、形式、手順は全く異なるモノとなるのも当然だし、思考手順からして変えなければいけないと考えます。 デジタル化の悲劇はアナログ的思考を墨守するところに始まると考えます。

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