北紀行§2 カスベ?

2012.08.01 07:04 函館発北斗1号乗車、札幌には10:18着、札幌発10:30のカムイ1号に乗換えて、11:50旭川着。 函館を発つ前に早朝五時から開けているという、函館駅前すなわち宿の隣の函館朝市に向かいて朝食を摂らんとする。 早朝から開けている店のうちから、選ぶのも面倒で正面角の店を選んで入ったのが拙かった。 北斗1号は指定券を取っていなかったので自由席に並ぶ時間も欲しかったから、出されたメニューの最初に写真付きで載っている「マイウー丼」を注文したのである。 これが、とんでもない代物であって、先ず値段なんと3,500円也(マイウー丼の値段は最初のページには記載されていなくて、なかほどの一覧に記載されていた。)、確認しなかった茫猿が手落ちなのである。

随分と待たされて出てきたマイウー丼、量も半端ではない。大きめのドンブリにカニ、マグロ、エビ、スジコ、イカ、ウニなどがのせられている。 味はマアマアだが、朝イチに大金を支払ってまで食するものではない。 朝イチであれば、朝定食かせいぜいイクラ丼でも食べておけばよかったと思ったものの、後悔先に立たず、後の祭りである。 よくよく店内を眺めれば、タレントさんたちの色紙が壁一杯に埋め尽くされている。 昨夜のカズエの勘定よりもはるかに高い支払を済ませ、駅へと急ぐ茫猿なのでした。 旨い駅弁という手もあったと気付いたのは北斗の自由席を確保したあとのことでした。 朝市を覗いてみたいというパートナーを気遣ったのは茫猿ですが、メニューを確かめてミニ丼を選択したパートナーに較べて、無造作にメニュートップの写真を見てこれをと指さした茫猿の粗忽さを呪いました。

 (左)函館発、北斗、(右)旭川着、カムイ

さて、旭川駅に着いた茫猿は駅前近くの宿に荷物を預けて、買い物公園通りへと昼食に出掛けます。 朝食の選択に懲りた茫猿は、昼こそは旭川ラーメンと決めてホテルが勧めてくれた梅光軒に向かいます。 買い物公園通り梅光軒で選んだメニューはシンプルに醤油ラーメンでした。 普通に美味しく、冷房の効かない店内で汗ダクダクになりながら頂きました。 特筆されるのはシナチクの太さです。 親指大ほどもあり一口では噛み切れないほどの太さなのです。 普通に十分美味しい旭川ラーメンでしたが、ラーメンはやはり寒い時のもの、真冬の旭川で頂けば、マイウーなのだろうなと思わされました。

旭川は北海道第二の都市です。といっても190万の札幌に次いで35万の旭川ですから較べようもありませんが、広く肥沃な上川盆地の中央に碁盤の目に町並みが築かれた旭川は屯田兵の歴史に始まります。 さて、腹を満たした茫猿は旭川での目的地、旭山動物園に向かうのですが、動物園に着いた頃は生憎の雨模様、しかも夏休みの子連れ客が多くて、建物内は蒸し暑く混雑していますから、ガラス越しにシロクマ君のジャンプやペンギンの遊泳を観ることなど思いもよりません。

   
(左)シロクマ君、透明のドームは人が頭をのぞかして、間近に熊と対面するところ。熊の手で叩かれたりする。 (右)オランウータン君が空中歩行する場所、オラン君は檻の中で雨宿りしている。 旭山動物園を駆け足で一巡して思わされたことは、かねてより動物園とは人が檻のなかの動物を観るところ、旭山は可能な限り動物を解放し、(限定的ながら)解放されたに見える動物が人属ヒトたちを眺めやるところだと。 雨のなか高みから、シマフクロウやオランウータン君に見下ろされてみれば、束の間の逆転なのだと所詮は篭の鳥を思い遣りました。

旭川近くのJR車内からも、バスで旭山動物園に向かう途中も、多くの蕎麦畑を見たのである。 蕎麦はちょうど白い花を咲かせていて、遠目には白い花畑に見える。 これだけ蕎麦畑が多いのであれば、旭川はラーメンだけでなく蕎麦も名物であろうと、蕎麦屋さんを捜しますと、ラーメン屋さんほどではありませんが、其処此処に蕎麦屋さんも見かけます。 夕食に入った蕎麦屋さんはこれも買い物公園通り近くの「は満長本店」です。町中の普通の蕎麦屋さんの風情がするお店ですが、歴史は結構古いとのことでした。 蕎麦は喉ごしもよく、十分に美味しく頂きました。並盛りを注文しましたが、ゆうに二枚ザルの量でした。 音威子府や幌加内など蕎麦産地が多く旭川も道内三番目の産地だとか、それに大雪山の伏流水が水道に用いられているから、水も旨いのだとのこと。 実際に蕎麦屋さんで出された水もとても美味しい味でした。
茫猿がいただいたのは盛り蕎麦並、パートナーはキツネ蕎麦を頂きました。 旭川のキツネは甘辛く煮た油揚げではなく、焼いて刻んだ揚げが載せてありました。 少しだけ摘みあげた焼き揚げは、関西のキザミとも違う、一手変わった旨さでした。 蕎麦屋の次に 水の旨さに誘われて、珈琲をいただこうと探し当てたのが、このお店です。は満長本店からほど近くに小さなお店を構える喫茶ナンです。 珈琲も水も美味しくお代わりするほどに頂きました。

 
   雨の上がった買い物公園通りを散歩しますが、宿に帰るにはまだ夜が早いので、もう一軒居酒屋をと、店の構えや設えを確かめながら歩いて見つけたのが「かすべ」です。 茫猿は旅先でガイドブックはあまり信用しません、ネットのサイトは参考にするだけ、基本的に自分の勘と目を大切にします。当然、たまにはハズレもありますが、その時には未熟な己の鑑定眼を恥じるだけ、自己責任でお店選びを続けますと、いつのまにやらそれなりの目利きができるようになってきます。 この夜は当たり続けて、最後は大当たりでした。

店名のカスベが判りません。姓名で春日部、或いは粕部ですかと店主にお尋ねすると、入り口のマットを指して、あれのことです。 マットの絵柄を見れば「エイ」ではありませんか、水族館で人気の高いエイです。 当地ではエイをカスベと呼びます、当店はカスベ料理が売りです。 煮付け、干物焼き、刺身、煮こごり、なかでお勧めはと問えば、煮こごりをどうぞと出されます。

左手奥がカスベ煮こごり、箸休めは蛸胡瓜、酒は旭川の地酒男山、蛇の目ぐい呑みは受け皿に波々と零して出されます。 初物に弱いパートナーには普通に刺身や焼き物を頼み、カスベのあと茫猿はホヤの刺身を注文しました。 カスベは溶け出した煮こごりをスプーンで頂くほどに旨く、軟骨も美味でした。 サラ口の男山もカスベによく合います。 天然物ホヤの刺身は云うこと無し、旭川の夜を満喫しました。 このお店の特筆は月替わりの箸袋です。 八月の意匠は朝顔でした。 箸袋を月替わりで替えるお店など、そうそうお目にかかれるものではありません。

    (左)かすべの箸袋、八月  (右)旭川の蓋。意匠の由来は不明です。
それにしても、函館朝市マイウー丼はと、改めて思わされる旭川の夜でした。
持参したノートPCで、e.MailやSNSを確認し、旅のメモを記し、オリンピックを報じるTVを見ながら、明日の旅程を思いつつ眠りに就く茫猿でした。

 

 

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