北紀行§7 朝霧と豚丼

2012.08.04 18:59 根室駅に到着し、駅近くの宿に落ち着く間もなく、食事を摂るために町へ出ます。 ホテルでいただいたガイドマップを手に高台に位置する根室駅から根室港方面に向かって約15分、ガイドマップに記されるお店やその他の店を品定めしながら見つけたお店は港近くの炉端焼きの店です。


店構えは風情有る趣きですが、入り口の引き戸を開けようとしても、がたついて開きません。これは選択を間違えたかなと躊躇したその時、中から戸が開けられて「いらっしゃい。」と声を掛けられました。 声をかけた女将の感じ、店内の調度雰囲気に、一瞬にしてこのお店が気に入りました。
函館の「カズエ」、旭川の「カスベ」も良いお店でしたが、ここ根室の郷土料理・炉端焼「俺ん家」は、この旅一番のお店でした。 まず店の設えが佳い、女将と控えめな仲居、二人の女性の客あしらいが好ましい、そして出される料理が美味かつ心温まります。少し肌寒いくらいの気温でしたから、店内にはファンヒーターが動いていましたが、降り坂道とはいえ歩いてきましたし、お酒を飲み炉端の火を起こせば暖かくなりますからと、火は消してもらい、喉の渇きをビールで癒したあと、女将の薦めも伺いながら注文したのは、イカ刺し、自家製一夜干し柳カレイ、帆立味噌貝殻焼き、焼き牡蛎、焼きホヤなどなどです。 柳カレイは塩加減、一夜干しで引き出された旨味など絶品でした。 焼きホヤは、隣席の相客から「焼きホヤを頼むなんて、通だ。」と褒められました。 お店でも滅多に注文を受けないけれど、女将の好物だとのことでした。

一つ心残りは、サンマ漁が不調で水揚げしていなかったことですが、まだ小型船しか漁に出ていない八月初めのことですから仕方ないことです。 旅も五日目の夜、前夜の呑み疲れもありましたから、酒よりも食事を主にしながら、女将の旅人を癒す会話に心豊かになって、お店を出ますと、灯り少ない町中に流れてくる祭り囃子稽古の音も、酔客にはとても嬉しい持て成しでした。

(2012.08.05)翌朝の根室は肌寒い霧雨でした。 納沙布岬まで出掛けて歯舞色丹島を眺めることを予定していましたが、この霧では何も見えないだろうからと、日本最東端の駅・東根室に向かいます。
        
(左)道路に設置される気温表示板は13.9度を示しています。 北海道らしく路面温度も表示されており、路面は21.3度を示しています。(クリックすれば拡大します) 長袖が欲しくなる涼しい朝でした。 (中)日本最東端の駅を示す標柱が立っている霧雨の東根室駅。 フォームには雨除けの待合い室もない無人駅ですから、早々に立ち去りましたが、これで最北端と最東端を踏破したのです。 (右)花咲線が西方向へ伸びていますから、有人駅としては最東端の花咲線終着根室駅です。

予定を短縮して、08:22発の普通列車で釧路駅へ向かいます。 釧路着は10:38、既に釧路発13:25の特急おおぞら10号の指定を確保していましたが、持っている切符は「北海道フリーパス」です。 こんな時にフリーパスは威力を発揮します。 釧路駅で珈琲と軽食を摂った茫猿は、11:29発の特急おおぞら8号の乗客となって帯広に向かうのです。 なぜ帯広かといえば、B級グルメ「帯広の豚丼」を食べたいとパートナーが望むのです。 帯広着は13:00、ガイドブックに記載されている「帯広・豚丼」の店を探しに町へ歩き出すのです。
         
(左)帯広駅、ここも駅前には温度表示板があり、昼下がりの13時に示す気温は22度でした。(クリック拡大すると右隅に温度計が見えます。)  (中)豚丼発祥の店とガイドブックにある「豚丼・はんちょう」、店前に並ぶ行列を見て、この店は敬遠しました。 (右)はんちょうから約300m先の「ハゲ天」、豚丼はハゲ天でいただきました。
ハゲ天は本来は天麩羅のお店です。上品な設えのお店でした。 並豚丼:950円、それに天麩羅とビールをいただきました。 豚丼は上質で厚みもある豚ヒレ肉を甘辛いタレで焼き上げた三枚の肉が丼を覆っています。 肉柔らかく、タレに深みあり、かっ込むのがもったないほどの一品です。

        
(右)根室の蓋  (中)根室から釧路への途中、車窓から見るひと気のない海  (右)帯広の蓋。
帯広では、銘菓六花亭本店に立ち寄り、指定券を確保していた14:56発の特急おおぞら10号で札幌へと帰りました。 札幌は雨模様のこともあり、翌日は恐山へ向かう予定ですから、夕食のみでおとなしく休みました。

この夜の食事は「夜空のジンギスカン」(晴れていればビヤガーデン&ジンギスカンだったのでしょうが)、 ホテル内のスパで一汗流したあとの夜食はホテル近くの「さっぽろラーメン・桑名」です。 宿をとったモントレーエーデルホフ札幌は、茫猿が懐に余裕のある時には泊まるモントレチェーンのホテルです。 この旅で唯一宿泊したシテイホテル・モントレは、ヨーロピアンスタイルで統一された優雅で、ややこぢんまりしたホテルです。

 

 

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