バイオマスタウン真庭

10/04、10/05の二日間、岡山県士協会が主催された「バイオマスタウン真庭」の視察研修会に参加してきました。
《岐阜県士協会の募集要綱より引用》 地域振興と林業のこれからを見据える上で、多くの示唆を得ることができる研修ツアーではないかと期待しております。一泊二日の遠征となりますが、林業や地域振興・エネルギー等に関心のある方の参加を呼びかけます。

「バイオマスタウン真庭 研修ツアー 日程」
10:30 岡山駅集合 貸し切りバスにて真庭市へ向かう。
※真庭市内にて、地産品を用いた昼食をいただく。
13:30 真庭市バイオマスタウン構想について、市担当者より説明を受ける。
14:45 真庭森林組合・月田ストックヤードにて、林業や木材業の現状について説明を受ける。
※チップ材ストックヤードを視察。
15:45 真庭原木市場訪問、木材売買及び市場の役割等について説明を受ける。
16:30 山下製材所の見学。 製材及び乾燥の工程を見学。
17:30 宿泊地、湯原温泉湯の蔵つるや到着 夕食会並びに懇親会
※湯原温泉「砂の湯」については、別稿にて取り上げます。
《ツアー二日目》
08:30 宿泊ホテル出発、温泉街のバイオディーゼルの取組について説明を受ける。
※ バイオディーゼル車及びEDFスタンドの見学。
09:30 真庭バイオマス集積基地を見学する。
10:10 真庭市庁舎のバイオマス取組(冷暖房バイオボイラー、地域資源の活用、太陽光発電)
11:00 銘建工業視察、エコ発電、ペレット製造設備、集成材製造設備を見学。
12:00 地産品を活用した昼食、並びに勝山町町並み保存地区視察。
※お店や一般住宅にも掛けられている暖簾をくぐって「寅さん」が顔を出しそうな町並みです。
13:30 ランデス工業にて、木質コンクリート製品の視察。
14:00 真庭市を出発、16:00岡山駅にてツアー解散。
※真庭市勝山町、町並み保存地区については、別稿にて取り上げます。

二日間に亘る、とても密度の濃い多岐な内容を盛り込んだ視察研修でした。デスク研修が多い鑑定業界にとって、現場を歩き、現場のご担当から直接説明を伺うという研修は実り多い研修だったと振り返ります。 林業がおかれた状況や、木材市場の状況、用材製材、集成材など興味深いことも多くありました。 ちなみに宿泊代・昼食代を含むツアー参加費は20,000弱というお手頃な金額でした。 しかも、ツアー全行程に社団法人真庭観光連盟の産業観光担当・森脇さんが同行し、随所で補足説明を頂けるという手厚いおもてなしでもありました。

ただ一つ私的な難点を申し上げますと、木材集積場や木材市場、製材工場等、いずれも広大に敷地を歩いて見学しますし、視察内容も密度が高いものですから、古稀まじかの茫猿にとりましては、いささか歩き疲れるツアーでもありました。(懇親会のお酒を控えればよかったのですが、飲み物制限なしにつられて、ついつい過ごしすぎました。)

ツアーの詳細な説明は各ウエブサイトの紹介に委ねて、二日間のスナップを紹介します。
サムネイル表示する写真は、クリックすればいずれも拡大表示できます。
      
(左)お迎え頂いた真庭市観光連盟・産業観光担当・森脇様
※森脇さんは他業種から観光連盟に転職して五年、バイオマスやアナウンスを猛勉強されています。 ガイドさんからの転職ですかとお尋ねしたところ、観光連盟に転職する前は、全くの一般事務職だったそうです。
(中)バイオマスの概要並びにツアーの日程説明等の講義を受けます。右・森脇様、左真庭市役所のご担当様。 (右)講義を受ける岡山会岐阜会他のツアー参加者。

      
(左)チップ材集積場、屋根の木製トラスにご注目。
(中)木材市場で説明を受ける。 手前の中学生二人は、社会見学で同行取材中。
(右)ヘルメットを着用して、山下製材工場の見学。

      
(左)コンベアから吐き出されるチップ材の山。
(中)チップ製造機に原料の間伐材などを送り込むクレーン車
※間伐材を購入するシステムは、市内の山林事業者であれば少量から持ち込み自由であり、軽トラックで持ち込む事業者もいるとのことであり、間伐の促進に寄与する事業形態です。
(右)クレーンのアタッチメントは材を掴むと同時に、チェーンソーで適当な長さに切って破砕機に送り込みます。 アタッチメントの左端にチェーンソーが見えます。 このアタッチメントの開発は、山元における材の切り揃えなどの間伐時の手間をはぶくものです。

      
(左)銘建工業で大型ボイラーを見学する。
(中)ボイラーで作られる蒸気を使った木材乾燥施設。
(右)ボイラーの前で記念撮影、ボイラー燃焼機の巨大さを感じて下さい。
※燃焼プラントや乾燥プラントは、木質バイオマスエネルギー利用施設整備事業によるものです。
※このツアーには、岡山県士協会、岐阜県士協会のほか、三重県士協会、滋賀県士協会からも参加されていました。 最も遠隔地からの参加者は、青森県士協会からの久保田耿平さんでした。 久保田さんは、ツアーのあとは広島県・安藝の宮島へ向かい厳島神社(清盛ツアー)を参拝する予定と伺いました。  思わぬところで旧知の方にお目に掛かるのは、とても嬉しいことでした。

      
(左)真庭市役所前の真庭回廊、三方無節長さ約5m、30cm角の柱は市場卸価格で1本約70万円です。 この柱が四本一組で九カ所(真庭市合併前の旧九町村を表す)合計36本使用される、とても豪華な回廊です。 (中)木材を多く使った市役所ロビー。 (右)湯原温泉街に設置されている回収天ぷら油を精製して造るバイオディーゼルの給油スタンド、ノズルの先に顔を寄せると、天麩羅のよい匂いがします。

「二日間のツアーを終わっての茫猿の感想です。」
岡山県の北部、鳥取県との県境に位置する中山間地真庭市が取組むバイオマスタウン構想は、豊富な森林資源を生かす取組みとして、岐阜県も大いに参考に出来る部分が多いと感じました。

同時に、この構想が行政主導ではなく、地場の森林組合、製材業、木工業、そして観光業などを広汎に巻き込んだ民間主導事業であることに感銘を受けました。 その基本的な思想は、参加する企業がリスクを分担し、ベネフィットを分け合うという共存共栄型町興し事業であることにも感銘を受けました。 ただ、今後の課題としてはバイオマス構想が着実に発展し規模が拡大してゆくとともに、原材料の安定供給という課題が浮かび上がりつつあること、バイオマスが抱えている規格品型工業生産とは異なる「ある種の非効率性」をどのように消化してゆくのかも課題であろうと思わされました。 美作材(みまさかざい)というブランドを生かして、良質な木造住宅の受注にまで発展させれば、さらにバイオアマス真庭事業が広がってゆくのであろうとも思わされました。

 

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