言い過ぎたか?

某月某日、某所での集会席上でのこと。 話題が新スキーム改善問題に及びましたので、茫猿は日頃考えていることを率直に申し上げましたところ、《言い過ぎだ!!》と窘められました(タシナメラレマシタ)。 確かに表現は粗野で、それでなくとも薄い茫猿の歯衣を剥ぎ取る口調だったと思いますが、言っていることは間違ってはいなかったと思っています。

具体的にどのようなことかと云えば、一つはあまりにも遅くて無責任な新スキーム改善委の有り様です。 新スキーム改善委員会は、一部委員を除けば大半の正副会長や常務理事で構成されており、事実上 常務理事会といって差し支えない組織です。 そのような連合会執行部と重複する組織が2011/04以来二年近くの小田原評定を経た今もなお、具体的な実効性ある改善策を示し得ていないテイタラクを批判しました。

(一)REA-NETをどうするのか。
REA-NET(JIREI)の全国展開を、2013/07を目標に行うと決定し、昨年暮れの理事会は承認しましたが、REA-NETの契約問題やREA-JIREI搭載データについては何も示さず、情報安全活用委員会に丸投げして、素知らぬ顔です。 しかも、REA-NET更新に伴うサーバ更新問題やメンテナンス業者問題は別の委員会や組織に権限を委ねており、誰が何をいつまでに実施するのか、サッパリ見えてこないというのが実情です。 2013/07まで役員選挙を挟んで残す五ヶ月のあいだ、会議は踊ってゆくのであろうと思われます。 『鄙からの発信』は以前にも記事にしましたが、「REA-JIREIの全国展開」は、理事会で承認されましたが、REA-JIREIに搭載するデータの具体的な事項や収集方法も決まっていません。 REA-JIREIを円滑に稼働させる前提であるREA-NETの更新等については何も明らかになっていません。 それらを称して茫猿は無責任体質と云うのです。

REA-JIREI搭載データについて補足しますと、一義的に課題となっているのは地価公示由来の四次データですが、地価公示分科会からどのような方法でデータ提供を求めるのか、その種類(テキストデータのみか、イメージデータも含むのか)も、提供されない場合の対応措置も未定のままです。 六理筋に八理筋をつなごうとしている結果が招いたいることとはいえ、先行きが懸念されるのです。

しかも、三次データ全国閲覧(三次データのオンライン閲覧)問題と関連して、新たなネットワーク構築が並行して検討されているのです。 さほど遠くない時期に新たなネットワークを構築しようとしている(その実態は明らかではないのですが)にも関わらず、曖昧なREA-JIREI全国展開という言葉だけが踊っていると申したのですが、言い過ぎだったのでしょうか。

(二)閲覧料について
先週開催の理事会では閲覧料の試案について報告が行われたと伺います。 試案に基づいて、士協会に配布される「事務局支援補助金」と「調査支援交付金」の予定額が示されていますから、それらが各士協会の収支にどのような影響があるのか検討した上で、次回以降の理事会で審議を重ねようというのが現在の状況のようです。 自らの基盤にも等しい資料の管理利活用という大命題を、本来的に会費で賄うべき自らの自治組織の収支問題に置き換えてしまうような狭量かつ本末転倒な人々と、その狭量さや本末転倒さに迎合する人々が、どのような妥協に至るのか見てみようと思います。 データとインフォーメーションとインテリジェンスというものを、その違いや有り様を解さない人々の小田原評定を眺めていようということです。

《追記》 この件については01/22理事会議事メモが日鑑連サイト(会員専用)に開示されています。 「新スキームの改善案について」 連合会では新スキームの改善について議論を進めております。新スキーム改善について、会員各位のご理解を深めていただくために、経緯を整理しましたので、ご参考にしてください。

(三)Log管理について
直接的に窘められたのは「Log管理」についての言及部分でした。 「Log管理」という字句のみが踊っていますが、新スキーム改善委はLog管理が判っていないと申しました。

一般的に「Log管理」といえば、コンピュータの利用状況やデータ通信の記録を取ることをいうのであり、アクセス者の操作やデータの送受信が行われた日時、行われた操作の内容や送受信されたデータの中身などが記録されることをいいます。 つまりサーバ管理者が、アクセス管理を行う手法手段をいいます。 データファイルへの不正アクセスやデータの不正利用を追跡する手段でもあるのです。

しかし、新スキーム委で話題となっている「Log管理」は、アクセス者によるLog管理なのです。 データ閲覧者がデータを利活用する際に、データのアクセスLOGを評価書等発行書類に記載させ、非正規利用を撲滅する手段にしようと云う考え方です。では、この閲覧者LOG管理は何が問題なのでしょうか。

(a)閲覧者にデータのダウンロードを認める考えは、現時点では存在しません。 閲覧データは印刷物交付しか認めないと云うのが原則です。 ではLOGはどのような仕様で交付するのでしょうか。 最も可能性が高いのはデータ印刷物にLOGも併記するという方法だと思われます。
アクセス者ID、アクセス日時、データのユニークコード等から構成される一連の記録を印刷して交付するということになります。 閲覧者はこのLOGを評価書等成果物に併記することを義務付けようと云うのが基本的な考え方です。

この手法は、データの出所を明記するという意味で、非正規利用を撲滅することが可能ですが、難点はデータの転載方法(具体的には、数十字に及ぶ記号の転記方法)です。誤記誤入力が蔓延するであろうと予想されますし、転記転載の労力負担も軽視できないと思われます。 LOGのみだけはダウンロードを認めるという方法も考えられますが、士協会窓口閲覧者にUSBメモリー等の使用を認めることは、別の問題(データのコピー&ペースト等)も引き起こすであろうと考えます。

(b)もっと重要で見逃されている問題は、発行成果物にLOG記載を義務付けるとしても、その実行を担保する措置、すなわち記載を確認する有効な措置が見あたりません。 抜き取り検査が囁かれていますが、どの程度の数について抜き取り検査を行えるのか、その組織と経費をどうするのか、何よりも抜き取り検査に協力させる強制力を日鑑連が持てるのか、考えれば考えるほど「LOGの発行成果物記載・義務付け」という措置の実効性ある実施は難問山積みに思えます。労多くして益少ない措置(いつものとおりの、鑑定士の倫理に期待する措置)に思えてくるのです。 LOGを発行成果物に記載することへのモチベーション喚起が必要であろうと考えますが、そのような抜本的提案は相変わらず無視されたままです。

だから「Log管理」の何たるかを理解できていない「言葉遊び」に過ぎないと、申したのです。 言い過ぎだと茫猿を窘めた方々は、有効な腹案をお持ちなのでしょう。 だから、出過ぎた物言いだと窘められたのであろうと思われます。

(c)粗野な茫猿の言い様を復原すれば、「執行部のお歴々はLOG管理の何たるかを判っていない。何も判らずに”LOG管理”という言葉遊びをしているに過ぎない。」となります。 LOG管理と云えば、アクセス管理は云うに及ばず閲覧者の自主管理であってもデジタル管理に他ならないのである。 然るに、おおもとの閲覧行為にはアナログ処理しか認めない以上は、閲覧者のLOG自主管理も当然にアナログ処理と為らざるを得ないのが論の帰結である。 このLOGのアナログ管理というアナクロ思考を揶揄したに過ぎないのである。

(四)茫猿の遠吠、役員選挙へ
残り二ヶ月で日鑑連現役員の任期は終了します。多くの士協会役員も改選期を迎えます。日鑑連では選挙日程が01/29公示されました。  2013/02から2013/07までの数ヶ月間の日鑑連は、二年に一度のモラトリアム期間を迎えます。 何も決められないか、どさくさに紛れて進んでゆくのか、危うい数ヶ月が始まります。

昨今の鑑定業界には様々な課題が存在しますが、茫猿は(a)悉皆調査問題:不動産取引情報と不動産価格情報の的確な収集と適切な利活用、(b)有機的かつ双方向性を持つ業界ネットワークの構築、(c)周辺業界や不動産価格指数制度において急速に進展しつつある地理情報対応の三点が優先されるべき普遍的な課題であろうと考えます。

士協会においても日鑑連においても、これら三項のアジェンダ(Agenda:課題)について具体的なマニフェスト (manifesto:意向表明)を呈示した選挙が行われてほしいと、茫猿は願いますが、たぶん虚しい願いに終わるのであろうと思っています。 それは役員選挙立候補者の意識が低い高いの問題ではなく、多くの(大半の)会員の意識が、そのようなところには無いことに帰因すると考えます。 多くの会員は自社の売上逓減に歯止めをかけることしか眼中になく、せめて売上下げ幅を狭めることしか考えていないでしょう。 少なからぬ会員は鑑定評価から鑑定評価周辺業務へ立脚点を移していることでしょう。 面倒な書生論にかかずらっている暇など無いというのが実際の処でしょう。

そうでなくとも、2013地価公示は「評価書開示問題」や「地価公示のあり方検討会」に影響されたのでしょうが、予定調和を所与とする指示書に追い回されたという愚痴を多く伺います。 「D判定:委嘱停止」というパワーハラスメントにも振り回されたようです。地調委員会の対応を責めるのは簡単ですが、会員や評価員自体が自らや自らの分科会だけでなく全体を見通した対応を考えようとしない無気力さが、パワーハラスメントを跳梁跋扈させたのであろうと考えています。 先に挙げた三項のアジェンダだけでなく、地価公示のあり方についても役員候補書や識見が問われていると茫猿は遠吠するのです。

少なくとも再選を望む候補者は、自らがこの二年間、何をしたのか、次の二年間に何を為したいのか、特に二年間を空費した新スキーム改善問題についての揺るがない施策を問うてほしいと考えていますが、云うだけ無駄なことでしょう。 なによりも議すれど決し得ない組織を会員が望んでいるのであれば、そんなものに関心がないのであれば、沈黙こそが金なのであろうと思えます。

(五)斯く云う茫猿
斯く申す茫猿にしてからが、縁者からは斯様に窘められています。 最近の『鄙からの発信』を見ていると、記事にすることによって茫猿のストレスが軽くなるのであれば佳いが、記事にすることによって逆にストレスを増やしているようにみえます。 業界の些末に関わることなど、もうお止めなさい。 茫猿の好奇心を満たしてくれる、もっと面白いことに関心先を向けた方が老後が楽しく豊かに為りましょうよと云われています。 茫猿もさもありなんと思えています。

《補足追記》 閲覧料とLOG管理
新スキーム改善検討の過程で問題となったのは、閲覧料負担額と資料の非正規利用を如何にして撲滅するかという課題です。そこで提案されたのが資料を利用する都度、その利用資料の出自(閲覧LOG)を評価書等成果物に記載することを義務付けるという案です。

閲覧料について、理事会に提案されている案は定額負担と閲覧件数に応じた従量負担を併用するという案です。 定額負担制にするとすれば、予定されている維持経費五億円強を推定閲覧会員数4,000名前後で割り戻した額(12,000±α)となりますが、利用の頻度に応じた衡平さが保てません。 しかし、定額制を採用すれば非正規利用が生まれてくる余地はなくなり、閲覧者によるLOG管理は不要となります。

完全従量制にすれば、負担の衡平さは保てますが、非正規利用を完全に撲滅しないと制度の維持は困難になります。 そこで提案されているのが定額・従量併用料金案なのです。 この併用案には、地価公示従事非従事、士協会内外という会員の属性による区分と、公的評価と一般鑑定等という利用形態に応じた区分が設けられて料金が計算されることとなっています。

次に閲覧料の負担を回避して非正規に資料を取得しようとする輩を如何に排除するかが課題となり、その排除策として「資料利用成果物に閲覧LOGを記載することを義務付けるというLOG管理案が登場したというわけです。 非正規利用はもちろん、資料の使い廻しも認めないという観点から一般鑑定も公的土地評価も原則として、利用の都度重複しないLOGを持つことが義務付けられるということです。

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