REA-MAP 3rd 開示を終えて

『鄙からの発信』は、1999年のサイト開設以来追いかけてきたテーマが三つあります。
その一つは悉皆調査《不動産センサス》、一つが鑑定業界ネットワークの構築、もう一つが地理情報の整備でした。 悉皆調査は国交省施行の不動産取引価格情報調査として実現し、ネットワーク構築はREA-NETの全国展開として近く実現する予定であり、地理情報の整備はREA-MAP 3rdの実証実験開示にて一つの段階を迎えました。 三つの事業はまだまだ満足できる状態にはありませんが、一応のレベルには到達していると考えます。

振り返ってみれば、それは偶然から始まりました。 2004/09に国交省で開かれた新スキーム導入検討会に茫猿が偶々陪席したことが、十年に亘る関与の始まりでした。 2005年開始の新スキーム試験運用に際して大都市圏域士協会に互しての岐阜県士協会の参加、新スキーム特別委への参加、試験運用を経ての新スキームの全国展開、その後REA-NETの構築提案とプロトタイプ型構築そして運用開始(2008/01)、2008/06のREA-MAP構築提案を経て現在に至るものです。 この間の紆余曲折を思い、いまREA-MAP 3rdの実証実験サイトを見れば感慨深いものがあります。

不動産情報というものを考える時に、その端緒として取引情報の悉皆調査は欠かせないものであり、効率的な悉皆調査並びにその有効な利活用に安全且つ安定したネットワークは不可欠であり、不動産情報を有効に利活用する為にも、情報分析を効率的に行い、その結果をビジュアルに表示する為にも地理情報の活用が欠くべからざるものと考えてきました。 三次データを、地理情報を活用して一覧表示することを初期の目的とし、次いで効果的な調査と活用に資することを目的とした、「REA-MAP 3rd」実証実験サイトは03/25 9:00を期して、全国開示をREA-NETにて実施できました。 もとより、短期間での構築でもあり、日鑑連ネットワーク再構築作業とも重なったことから、十分な推敲を重ねることは叶わず、随所に不十分な点を指摘できる仕上がりではございます。

しかし、不動産情報と地理情報の融合を目指し、全ての不動産情報に地理座標値を与えることを端緒として、不動産鑑定並びに不動産情報の多面的分析に少なからぬ寄与をすることであろうと考えています。 この間における情報安全活用委員会、地理情報小委員会・委員各位をはじめ関係各方面のご協力とご支援にあらためて感謝申し上げます。

十年を振り返れば、国交省新スキーム検討会へお誘い頂いた事務局近藤氏、知遇を得た国交省横山氏、新スキーム特別委に参画させていただきネットワーク構築を任せていただいた増田氏、地理情報提案を即決していただいた神戸氏、REA-NETプロトタイプ構築を共にした渋井氏、本橋氏、REA-MAPやNSDI-PTを共にした岩崎氏、語り口の厳しい茫猿の叱咤にめげずご尽力頂いたベンダー・SKK山本氏などなど、幾つものお顔が浮かんできます。 皆様との出会いに恵まれ皆様とともに仕事する慶びの十年でした。 倦むことなく一つのテーマを追いかけることのできた茫猿ですが、それも幾多の方々のご理解とご支援あってのことであったと、あらためて皆様に御礼申し上げるものです。

「REA-MAP 3rd」の開示は、実証実験と謳いますことからも明らかなように、これはスタートにしか過ぎません。 2013.04以降に、真正座標値取得の為の三次データ調査作業手順の改善、既に公開済みであるMAP-CLIENT等との機能的融合、そこから派生するであろう地理情報分析ツールの開発と活用など《例えば、メッシュ地図やヒートマップの活用なども挙げられましょう。》、日々進化し機能が充実している地理情報ツールの活用に足踏みは許されず、弛まない努力が求められることであろうと考えます。

先に述べていることですが、今回は実証実験を目標とするものです。 閲覧料徴収との関係から、無料閲覧にて表示可能な事項の判断は悩むところです。有料閲覧に至るまでの途中経過という制約があり、土地情報ライブラリー・データの補完という役割もございます。 同時に全データに地理座標値を持たせ、様々な解析に役立てるという意味からは、一次データもしくは二次データにジオコーデイングを施して事例調査の利便性と迅速性を図るべきであろうと考えます。 関係各位には地価公示作業のなかで、士協会レベルでも実現可能な事項は多いと考えます。士協会にても自助努力で精度を高めていただきたいと考えます。

ですから、このREA-MAP 3rdの実証実験に意味有りとお考えでしたら、次年度以降の継続に関係各位のご支援を願います。 情報安全活用委員会はもとより日鑑連役員会、士協会役員会にて事業継続と予算措置を求めて頂かないと、現状では本事業のデータ更新は出来ません。現在表示されているデータは2012年中に限られており、早速のデータ更新が必要なのです。 このまま放置すれば、日々、データの陳腐化が進んでゆきます。

メッシュマップやヒートマップを活用して様々な分析を行い、不動産情報の汎用性を高めると同時に、社会への発信手段を増やしてゆくことも鑑定士の社会的使命の一つであろうとも考えます。 士協会会員の皆さんが日鑑連に頼ることなく、それぞれの地元で出来得ることを進めてゆかれることを期待しております。 士協会で実行可能なことは、とても多いのです。

2012年度地理情報小委はその任期を終え解散致しますが、次年度以降も地理情報やNSDIに関わる各位がご尽力いただけるであろうことを祈念致しまして、各位のご支援・ご協力へ茫猿の御礼ご挨拶と致します。 有り難うございました。

最後に、茫猿の好きな言葉を一つ、二つ。
One for All , All for One
Heaven helps those who help themselves
Old soldiers never die , they just fade away 

 

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