特定秘密保護法

特定秘密保護法案の国会審議が大詰めを迎えている。 残る三日間の今国会会期中に成立が見込まれている。 政府与党は強行採決も辞さずと云う姿勢のようである。 反対の態度を明らかにしている朝日、毎日、東京に対して産経、読売は法整備は不可欠としている。日経は漏洩防止の仕組みは必要としながらも、法案成立には賛成を明らかにしていない。

この法律の問題点は幾つか指摘されているが、特定秘密の範囲や秘密指定者が明確でないこと、さらに第三者機関による検証が行われないこと、そして秘密指定期間が長期間であることなどである。安倍総理は法の施行までに第三者(的)検証機関を内閣に設けると、今日の国会で答弁を行ったが、内閣官房に設けられる機関が第三者性を保持できるとは思えないし、検証機関なるものの設置は政令等ではなく法律に盛り込むべきものであろう。

与党幹事長がデモ行為とテロ行為を同一視するかのようなTwitter書き込みを行ったけれど、指摘を受けても反対デモに対する違和感は否定していない。 高畑勲監督、降旗康男監督、山田洋次監督、大竹しのぶ氏、吉永小百合氏ら映画人264人が法制定反対声明を出したし、2000人を越す学者も反対声明を出している。 しかし、「決められる政治」を標榜する政府与党は、強行採決も辞さない勢いであるから、今国会成立の確率は高いのであろう。

なぜこのような事態を招いたかと考えてみれば、衆参二回の選挙結果にあるのだと思える。 民主党の自滅ともいえる2012衆議院選挙で自民党は295議席を獲得し、連立与党を構成する公明党と併せれば326議席(総議席480)を占めた。 続く2013参議院選挙でも自民党は65議席を獲得して公明党の議席と合わせて衆参ねじれ現象を解消した。

衆議院選挙で大勝した自民党に歯止めをかけることなく、続く参議院選挙で安倍自民党にお墨付きを与えた結果が今日を招いているのであろう。 衆議院に大量議席を与えてしまった以上は、衆参ねじれ現象を解消すべきではなかろうし、せめて参議院では与野党伯仲くらいに止めておくべきであったろうと、今さらに思われるのである。 死に票が多く出る現行小選挙区制の問題点や、違憲状態を最高裁から指摘されている国会が、強行採決を行うことなど許されないと考えるのである。 違憲と違憲状態に具体的にどんな差異があるというのであろうか。

自らの身分が違憲状態であると最高裁より指摘される国会が、問題の多い特定秘密保護法制定や集団的自衛権に関わる憲法解釈の変更などを行うべきではなかろう。 しかし、時既に遅しで有る。 国家統制的思想を根底に有する安倍総理、ナチスに学べと講演する麻生副総理、時の為政者に反対を表明する合法デモと無差別殺戮を行うテロ行為を同一視するような石破自民党幹事長に率いられる自民党が何処へ向かおうとしているのか、彼らが指向する普通の国家日本とはいかなるものなのか、目を離すことはできないのである。  衆議院の任期はまだ2年半近くを残している、そのあいだに大与党となった自民党と安倍内閣が何を行うのか目を離せない。

 

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特定秘密保護法 への1件のフィードバック

  1. 後藤雅文 のコメント:

    私もこの法案成立は憂いています。

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