立憲デモクラシーの会:記者会見

2014年6月9日立憲デモクラシーの会緊急記者会見(衆議院第一議員会館)が行われ、その会見要旨が文字起こしされて、幾つかのサイトに掲載されている。 一連の問題を考える上では、立憲デモクラシーの会に集うメンバーと、集団的自衛権問題を提起した安倍総理の私的諮問機関:安保法制懇に集うメンバーを対比してみれば、安保法制懇の異様さがはっきりしてくる。 また、記者会見要旨を一読すれば、マスコミが伝えない集団的自衛権を巡る問題の異常さと異様さが浮き彫りになてくる。

それは解釈改憲という乱暴かつ恣意的な行為が、立憲主義をいかに踏み躙るものかということであり、解釈改憲による集団的自衛権の限定的行使というものはワイマール憲法をないがしろにしたナチスのやり方に酷似するということである。 これはいみじくも麻生副総理がかつて示唆したことでもある。政府自民党は様々な提案《詭弁であり、マヤカシであり、デマゴーグでもある》を、出しては引っ込め出しては取り下げている。そして徐々に世論を懐柔し目くらまししようとしている。国民はいつの間にか、後戻りのできない崖っぷちに誘導されているのである。安倍総理はとにもかくにも“集団的自衛権”すなわち海外派兵への道を開きたいのである。

我々日本人は戦後七十年のあいだ、領土領海の外で武力を行使しないというテーゼのもとで、世界に名誉ある地位を得ようと生きてきたのである。それを民主党の不手際で得た多数のもとに成立した、一内閣の一総理の手で破却することが許されるのかという大きな問いが投げかけれているのである。

集団的自衛権の限定的行使なる行為は「トロイの木馬」であり、「憲法九条という防波堤に開けた蟻の一穴」である。 安倍総理が国の内外で提唱する積極的平和主義なるものは、“消極的”平和主義が憲法九条を背景とする武力を伴わない平和主義であるに対して、武力を背景とする平和主義《この文言自体が矛盾を孕むものである》である。 等々について、参加した各氏が各々の立場から解説している。問題点の本質を知る上で、一読は必須である。

【立憲デモクラシーの会:参加者】
杉田敦(法政大学・政治学)、山口二郎(法政大学・政治学)、西谷修(立教大学・思想史)、千葉眞(国際基督教大学・政治学)、小森陽一(東京大学・日本文学)、小林節(慶應義塾大学名誉教授・憲法学)、阪口正二郎(一橋大学・憲法学)、中野晃一(上智大学・政治学)

【安保法制懇に集うメンバー】
岩間陽子(政策研究大学院大学教授、国際安全保障学会理事 国際政治学者)、岡崎久彦(軍事評論家・政治評論家 NPO「岡崎研究所」代表 元大使)、葛西敬之(東海旅客鉄道会長)、北岡伸一(座長代理 東京大学名誉教授 政治学者)、坂元一哉(大阪大学教授、日本国際政治学会評議員 国際政治学者)、佐瀬昌盛(防衛大学校名誉教授 国際政治学者)、佐藤謙(世界平和研究所副代表 元財務官僚)、田中明彦(東京大学東洋文化研究所委嘱教授、国際協力機構理事長 国際政治学者)、中西寛(京都大学教授、日本国際政治学会理事 国際政治学者)、西修(国家基本問題研究所理事 駒澤大学名誉教授 憲法学者)、西元徹也(軍事評論家 元幹部自衛官・元統合幕僚会議議長)、村瀬信也(上智大学教授、ハーグ国際法アカデミー理事 国際法学者)、柳井俊二(座長 国際海洋法裁判所所長 元大使)

※文字起こしされた2014.06.09記者会見要旨を掲載する各サイト(内容はほぼ同じ)
立憲デモクラシーの会 《会の公式サイト》

立憲デモクラシーの会の緊急記者会見 《内田樹の研究室》

立憲デモクラシーの会の緊急記者会見 (1/4)  《BLOGOS》

立憲デモクラシーの会緊急記者会見(衆議院第一議員会館) 《PDF》

※安保法制懇の報告書を掲載するサイト
安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会

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