我田引水解散

安倍総理が今夕の記者会見で、消費税10%引き上げの18ヶ月繰り延べと衆議院解散を明言した。 消費税8%引き上げ後の半年間において、消費が回復せずGDPは2四半期連続でマイナスとなったことから、消費税率引き上げを先送りを決定し、その決定について国民の審判を仰ぐというのが解散の理由である。

なにかおかしくないか。 二年前の解散は消費税引き上げと国会議員定数の削減がワンセットになっていたはずである。 しかし、消費税は8%に引き上げられたものの、議員定数は手つかずのままである。国会議員定数削減や一票の格差是正は二年のあいだ手つかずのままである。 国民に税負担は強いたものの国会自らの改革は先送りしたままなのである。

いわゆるアベノミクスなるものは、第一の矢として、金融の異次元的緩和、国債の日銀大量引き受けによる円安誘導であり、円安による輸出増加を狙っていた。 しかし、日本の経済環境は企業の海外移転により円安=輸出増という構造から大きく転換していたから、円安は輸入物価の高騰しか招かなかった。 だから消費者物価は上昇し消費税率引き上げとの相乗効果で、消費動向は減退したのである。

第二の矢である機動的な財政支出すなわち公共事業の大盤振る舞いも似たような結果を招いている。 震災復興事業に加えての公共事業拡大は予期したような効果を上げていない。それは、日本の建設土木業界は長年の公共事業減少に応じた業界に変化していたからである。 既に縮小あるいは業態転換を終えていた建設土木業界には震災復興事業に対応するのが精一杯であり、新たな追加公共事業発注に応じれる状況にはなかったのである。

第三の矢である大幅な規制緩和と構造改革による成長力取り戻しに至っては、そのかけらも見えないのが実情である。 金融緩和と円安は株高をもたらしたが、株高の主要因は外国人投資家というよりも海外の投資ファンドによるマネーゲームがもたらしたものであり、為替差益効果による企業の収益力上昇を反映するものでもあり、本来的企業収益力の向上によるものではない。 いわば、あぶくみたいな株高である。

デフレ脱却を腰折れさせないための解散というのは詭弁であろう。理由とできるわけはなかろうが、アベノミクスの失敗を理由とする解散なら理解できる。 それに加えて、集団的自衛権容認という解釈改憲の強行、特定秘密保護法制定という秘密主義にくわえて、福島原発の解体処理作業も汚染土壌の処理方法も決められないままに原発再稼働を強行しようとする安倍内閣の是非こそが問われる解散である。まだ二年も続くのかと思っていた安倍内閣であるが、ふってわいた解散総選挙という国民に政治を取り戻す大きな機会である。

不要不急解散とか我田引水解散などとは言うまい。 七百億円もの国費を費消するせっかくの機会である。安倍総理の意のままにはさせないぞという国民の叡智をしめす得難い機会である。二年余の任期を残して解散に及ぼうという安倍総理の《思い上がり》を糾すとても良い機会を得たものだと思う。 折しも、沖縄知事選挙では普天間基地の辺野古移転を容認する現職知事が大敗した。 知事選挙の結果は辺野古移転に影響しないと政府は言うが、普天間基地の県外移転を求める沖縄の民意に他の都道府県民はどう応えるのかも問われている。

この季節、ドウダンが紅葉している。IMG_0586

記者会見の安倍総理、いつもの舌足らずな滑舌の悪い物言いは少なかったけれど、何やら疲れがめだち迫力がなかった。しかも、解散を実行するのは三日後の11月21日・週末金曜日だと云う。余所事ながら、明日からの三日間、何をして過ごすのだろう。

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