残日録- DIサミット2015

2015.02.27 大津市琵琶湖畔にて、「不動産DIサミット2015」と銘うつ続・びわ湖会議が開催されました。取り急ぎの概報を記事にします。

《参加者と会議次第》 沖縄並びに北海道をはじめとして全国から180名強の参加があり、単位士協会主催の会議としてはとても盛況であり中味も充実した会議でした。

10:30 の開会後、「不動産市況DIの現況報告と今後の展開」をテーマとしてパネルデイスカッションが行われました。次いで清水教授の基調講演、会議参加者全員が七つのテーマに分かれて討議参加する分科会(昼食は分科会討議と並行して取るという過密さ)、そして清水教授による総括講演などが、17:30まで小休憩をはさみながら続けられました。

18:00からの懇親会では、先頃の連合会役員選挙で無投票当選が確定した熊倉次期連合会会長による来賓挨拶も行われました。 また会議開催に際しては、全国21の士協会からの協賛もありました。

《DI調査の現況と見えてきた課題》 不動産市況DI調査について、現在の実施状況は21都県、準備段階を含めれば28都道県に広がりを見せています。 滋賀県不動産鑑定士協会が2008年に初めてDI調査を実施して以来、既に8年を経過し、DI調査は徐々に市民権を得つつあるとともに、それだけにDI調査の実質も問われつつあるという現状への懸念も示されました。

◎ 現状のDI調査はDiffusion Indexと称しているが、指数とは云い難く、21都県の実施状況を横断的に眺めれば、市況指標それも勝手指標と揶揄されても致し方ない側面があるという指摘もあった。一つは年間調査回数並びに調査時期が不統一である。一つは調査対象のサンプリングが不統一である。一つは調査項目や照会票が不統一である。また調査結果の集計マニュアルが統一されていない。 さらに、独自ドメインによるポータルサイトが未発足であり、全国横断的な統一的解析も未実施である。

◎ そのような課題があればこそ、早急に全国的に統一されたDI調査実施マニュアルの作成が求められるのであり、全国横断的な解析並びにその結果を公表するポータルサイトの発足も喫緊の課題なのである。

◎ 同時に決して見過ごしてはならないことがある。 DI調査が市民権を得つつあるということ、すなわち民間主導による政策誘導的バイアスのかからない市況調査であればこそ《公益社団法人による公益事業としての調査であればこそ》、その重要性や存在感は日毎に増してゆくであろうと思われる。であればこそ、この調査のパートナーであり調査対象でもある不動産取引業界との主導権争いが浮上してくる懸念も避け難いものと思われる。 同時にDI調査結果と不動産取引価格指数や地価公示価格等推移指数などとの対比・対置状況、あるいは一般経済指数・指標との対比対置状況も浮上してくることであろうと予想される。

それらマニュアル整備統一、ポータルサイト創設などの課題を前門の狼とすれば、DI調査を巡る関連業界や関連機関、関連指数・指標などとの軋轢を後門の虎と比喩できるのかもしれない。

この種の多事多難さを考える上で、連合会会員数が五千名強に過ぎないと云う鑑定業界の人的資金的非力さを嘆かれることが常である。 しかし別の観点からすれば、小規模業界であればこその少数精鋭の専門家集団なのであり、小規模なるが故に発揮できうる機動性も存在するのである。 短所も見方を変えれば長所に変じると云う観点からすれば、全国の士協会並びに連合会は、事大主義や独尊主義を捨ててスピード感のある事業遂行が求められていると、会議を傍聴していて考えさせられた。

会場のピアザ淡海県民交流センターの前は琵琶湖畔である。湖上には多数の水鳥が浮かんでいた。

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白く雪をいただく比良山塊から吹き下ろす風に漂う《旨そうな》鴨たちと眺めるのか、それとも比良八荒にもめげずに間近な春を待つ水鳥たちと眺めるのか、《DI調査と斯界が、》問われているかのように思えたのである。

それにしても、これだけの会議を前回開催から三年を経るのみで開催された滋賀会実行役員各位のご尽力に深い敬意を表します。 また実行役員氏を支えられた滋賀会会員諸氏にも尊敬の意を表します。 今回の会議には21の全国士協会が協賛されたとのことですが、これも素晴らしいことと考えます。 言葉の綾に聞こえますが、鑑定士協会連合会《上意下達的統率》と士協会連合《水平的連携》とは似て非なるものと考えます。「びわ湖会議」が士協会連合《的存在》の実として発展してゆくことを期待したいと考えます。

【追記 DI調査について】
DI調査の調査対象、分析手法等についての統一的マニュアルを検討する上で、最も良く知られているDI調査である日銀短観が参考となるであろう。

「日銀短観(全国企業短期経済観測調査)」の解説《引用》
1. 調査の目的
短観は、統計法(平成19年法律第53号)に基づいて日本銀行が行う統計調査であり、全国の企業動向を的確に把握し、金融政策の適切な運営に資することを目的としている。
2. 調査方法
所定の調査表による郵送およびオンライン調査。なお、統計法の規定により、日本銀行に対し、調査対象企業から回答を受けた秘密事項を厳正な管理によって保護すべきことが義務付けられている。
3. 調査・公表時期
毎年3、6、9、12月に調査を実施し、原則、それぞれ4月初、7月初、10月初、12月央に調査結果を公表している(公表時刻は午前8時50分)。なお、6、12月末頃に、先行き12か月間分の公表日を事前公表している。
4. 調査対象
(1)全国短観
母集団企業は、総務省の「事業所・企業統計調査」(2006年10月実施分)をベースとした、全国の資本金2千万円以上の民間企業(金融機関を除く。約21万社)。調査対象企業(標本企業)は、以下の業種別・規模別の区分毎に、統計精度等に関し一定の基準 を設け、母集団企業の中から選定している。

 

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