デジャヴ感覚

デジャヴ《既視感》を感じたのである。 去る05.11、岐阜市内で開催された研修会を傍聴してのことである。《研修会とはこの催しである

何度も伺ったことではあるが、残された時間はそれほど多くはないと清水教授が叱咤激励するところの『中古住宅市場の活性化に応じる準備』を斯界は進めているのだろうか。 市場に斯界への期待は存在するのか、あるとして期待に応えられるのか、如何に応えるのかといった視点が、斯界にはまだまだ甘いのではと思わせられる。IMG_1089

鑑定協会連合会が推進する 「住宅流通促進機構」、「住宅ファイル」、「住宅価格評価」  という一連の流れが現実のものとなるまでに越えなければならない山は高く谷も深かろうが、成果を得てほしいと願うのである。でも斯界のおおかたの現実認識はまだまだ他人事のようである。

2015年4月より法人名称を不動産流通近代化センターから「不動産流通推進センター」に変えた近代化センターは、様々な事業を推進している。レインズ(不動産流通標準情報システム)の構築、価格査定マニュアルの作成・普及、公認不動産コンサルティングマスター登録制度等である。不動産情報サイト「不動産ジャパン」も構築している。

この質量ともに充実する流通推進センターが提供する「価格査定マニュアル」などに伍して「住宅ファイル制度」を構築してゆくのは、大きなエネルギーを要するものであろうし、たいへんなことと思うのである。 斯界が公的評価頼り、すなわち更地評価偏重から脱却して複合不動産評価に軸足を置き換えるとても佳い機会だとも考える。 しかしながら、その準備が傍から見ても心もとないのである。

『不動産価格指数の整備』に関して、不動産市況DI調査がひろがりつつあるのは佳いことである。 しかしながら、拡大を優先する結果として、全国統一マニュアルは未着手であるし、ポータルサイトも未構築である。社団法人の特性として意思統一に時間がかかるし機動性に欠けるものであるが、それにしてもと思わざるを得ない。

こんなプレゼンもあった。「調査研究目的に地価公示取引事例データの開示を求める」というのである。取引事例データの開示問題は様々な経緯を経て、数年前に決着済であろう。その後土地情報ライブラリーでは、不動産取引価格情報のダウンロードがCSV形式ZIPファイルでダウンロードできるのである。

プレゼンターの言わんとするところが理解できないわけではない。しかしながら、先ずはダウンロードしたCSVファイルを用いて解析を行ってみてはどうかと考えるのである。ダミーの地番を与えれば「簡便なジオコーデイング」も可能であろうから、メッシュ分析だって出来るであろう。 そのような実績を積み重ねて、データの開示を求めるべきであろう。そして大事なことはバイアスがかかり偏在する地価公示事例データの開示などではなくて、無垢な全数データである不動産取引データ《原始データ:価格データ以前》の開示が必要なのだと云うことである。

この日の清水教授のレジュメはWebにアップされていないが、類似するレジュメがあるからリンクを張っておく。
10/24,2014「不動産市場-専門家の使命と役割」不動産鑑定士協会北陸会
6/6,2014「不動産市場の展望と不動産鑑定士の役割」千葉県不動産鑑定士協会

《セッコクの花が開いた。》この記事をアップするに三日も要した。手間取ったのは「言わずもがな」の思いが離れないからである。せっかく記事にしたから削除はしないが、もうこの種の記事を掲載するのはやめにしようと考えている。

セッコクは母の遺品である。昨秋に株をわけて手を入れたら、この春は勢いが良くなって、多くの花を咲かせてくれた。母の花から私の花に転じた感がある。20150511sekkok

《2015.05.16追記》価格指数整備に関して、急展開を期待される萌芽が見え隠れしている。ことの成否について予断を許さないが、各種の不動産取引価格情報や取引情報を駆使する「ハブ的」あるいは「クロスオーバー的」な前衛的試みが行われようとしている。詳細を語れる時期ではないけれど、今後の展開を期待したい。いずれにしても、国民の資産である取引情報データを国民に還元するという姿勢が貫かれることを願うものである。

 

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