何故、基地と原発を止められないか

立ち読みが可能なこの書籍《全文288頁のうち104頁の立ち読みが可能、PART1 沖縄の謎、PART2 福島の謎》に注目する。著者インタビューがテレビでも放映されていた。同書が統治行為論と云うまやかしを指摘する日米地位協定と日米原子力協定を脇において読めば、なおさらに理解が深まる。信じるか信じないか、理解できるかできないか、腑に落ちるか落ちないかということは、とにかく一度読んでから考えてみよう。何よりも出処が確かな原典に当たり、自らの頭で考えることが大切であろうと考える。
日本はなぜ「基地」と「原発」を止められないのか

山本太郎議員が参議院で「今回の安保法案は、第3次アーミテージ・ナイ・レポートの完コピだ!」と喝破することの本当の意味が理解できるであろう。

日米地位協定や日米原子力協定を参照しながら読み進めるのは手間がかかるが、全体像を的確に把握する為にかけるひと手間であるから、ぜひ協定本文を参照しつつ読みたい。 日米地位協定は外務省サイトの条約カテゴリーから到達できるが、日米原子力協定のアドレスが「www.nsr.go.jp/data/000026345.pdf」であるのに、不思議なことに原子力規制委員会サイトからは何故か到達できず外務省サイトにひっそりとアップされている。

朝日テレビ:そもそも総研:玉川徹コーナーで矢部氏と玉川氏の対談が放映されている。
そもそも日本国憲法はすでに死んでいる」《約20分》

日米地位協定《外務省サイトにリンク》
日米地位協定(日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定)は、在日米軍による施設・区域の使用を認めた日米安全保障条約第6条を受けて、施設・区域の使用の在り方や我が国における米軍の地位について定めた国会承認条約。

日米原子力協力協定
原子力の平和的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定
外務省サイトから到達する「日米原子力協定」《縦書きの上、英文併記である》

※参考資料
満期が近づく日米原子力協定の今後《公益財団法人 日本国際問題研究所 2012.09.12》nitibei

米軍占領下《1947年》に制定された憲法は、冷戦構造の中で自衛隊《警察予備隊(1950年)→保安隊(1952年)→自衛隊(1954年)》を創設し、実態として憲法九条を解釈改憲して、専守防衛を国是とする実質的戦力を保有している。 憲法九条について、日本に定着している自衛隊を戦力として位置付け、専守防衛を国是とし、紛争解決の手段としては武力を行使しないと改定するのも一つの選択肢であろう。

それは現実との妥協、迎合や野合などではなく、戦後七十年間、営々と積み重ねられ国民のなかに安定した地位を得ている自衛隊と云う自己完結型武力組織を、専守防衛を使命とする武力組織として好ましく望ましい方向で憲法に位置づけることになるのではなかろうか。安倍自民党が安保法案について代案を出せと云うのであれば、真正面から憲法改正案を出して、多くの国民にコンセンサスを得ている現自衛隊を正しく素直に憲法に書き込むことを真剣に考える時期が到来しているのであろう。

それは東西冷戦が終了し、米国単独覇権世界から多極化世界へと移行しつつある実態にも相応しい選択肢なのではなかろうかと考える。

現憲法九条二項は、言外に「専守防衛の為の武力保持」までは否定していないとも読めるが、しかし言外の意味を探ると云うことは常に拡大解釈や解釈改憲の危険性を孕むものであり、現に今審議中の安保法案はその拡大解釈改憲の延長線上にある。多くの国民にとって好ましい改憲の上で、沖縄をはじめ首都圏にも多く存在する米軍基地を縮小整理し、原発縮小廃棄の自主性も獲得する方向を検討すべきなのであろう。 言うまでもないことであるが、米軍との共同作戦行動(集団的自衛権発動)や原発再稼働(ベスロード電源位置付け)を目指そうと云うものではない。

第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。《戦争放棄》
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。《戦力放棄》

自衛隊法第三条 自衛隊は、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対し我が国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当たるものとする。

 

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