越南紀行−4

さて、様々、前置きが長過ぎたようである。そろそろ旅のあれこれを語ることとしよう。
とはいっても、観光案内はしない。それはガイドブックやネットに任せておきます。ただベトナムは日々変わっているから、ネット頼り、ガイドブック頼りのお任せはお薦めしない。ガイドブックもネットもステルス・マーケテイングにご注意と申し上げておく。

『食べ物:フォー』
何から始めようかと迷うところだが、やはり食べ物から始めよう。
ベトナムは言わずと知れた東南アジアの国である。日本と同じ白いご飯も有るが、米は炒飯にするか、米麺して食べるか、ライスペーパーにして食するのが多い様である。他の東南アジア諸国に多いカレーライスはほとんど見かけない。滞在十日間中にホテルでも、町中でもカレーライスは見かけなかった。ホテルの朝飯に一度だけカレーらしき匂いがするものがあったけれど、シチューだった。

私の好きなカレーは期待できなかったが、その分フォーがあふれているし、これが旨かった。味付けも淡白なものが多くて、日本人好みであるといえよう。都合、十食以上は食べたと思うが、一度を除いてはずれは無かった。はずれた一度は「フエ風フォー」がホテル朝食バイキングに供されているものだった。それにしたところで、やや脂っぽいというだけである。

フォーは、牛肉フォーと鶏肉フォーの二種類が一般的というか、滞在中の茫猿がメニューに見かけたのはこの二種類だけである。両者の値段はほとんど変わらないが、牛肉を先に勧められたり、何も言わずにフォーと注文すれば牛肉フォーが供される。牛肉は脂分の少ない赤身である。店にもよるが、熱いスープに薄切りの生肉を載せて運ばれてくるから、スープの熱で肉に火が通るまでしばし待つべきである。そう、牛シャブを想像して頂ければよかろう。肉に火が通ったところで、別皿に載せて運ばれてくる香味野菜を好みで入れて湯をくぐらせて食する。香味野菜について名前は判らないが、空芯菜らしきもの、葱らしきもの、コリアンダーやバクチーなどである。レタスが付いてきたこともある。

スープは透明な清湯である。出汁は鶏肉が主ではなかろうかと思う。それにベトナム醤油や塩で味付けされている。先に牛シャブと言ったけれど、牛シャブ後のスープを想像して頂ければあまり違わない。牛シャブよりも脂は少なく、脂が浮いていることも殆どなかった。別皿に載せられているもののうち、ライム《スダチのような青い果実の1/4〜1/8カット》は絞ってかけ回すとひと味美味しくなるが、青唐辛子は余程お好きでない限りお止めになった方がよかろう。一口かんだだけで、口中が火事になる。

ベトナム在住の息子の友人を交えて食事をした時に、バナメイエビの天婦羅についていたから食べようとしたら、彼が「アッ お止めになったら」と言ったが時既に遅く、一口噛んだ後だった。その後しばらくはビールで口をすすぐハメとなったのである。

さて、茫猿のお勧めフォーは鶏肉フォーである。現地では、フォー・チキンと注文すればよいのであるが、チキンが通じない。チカンと発音しないと一度では通じない。フォー・チキンと注文すると、必ず聞き返される。再度チキンと伝えると「チカン?」と聞き返された。

チキンはブロイラーのような水っぽい肉ではなく、ベトナム地鶏である。全てがそうだとは言えなかろうが、茫猿の食した鶏肉は全てベトナム地鶏だったと振り返る。臭みがなく肉の旨味が口のなかに広がる旨さである。フォーに限らず、ベトナム風調味の照り焼き、鶏肉の天婦羅全てに共通して旨い地鶏だった。

フォーは一杯の値段が、路上屋台で2〜3万VD《ベトナム・ドン》、やや薄汚れた街なか食堂では5万ドン前後、整ったレストランやホテル食堂では7〜9万ドン位である。ベトナムはインフレが進行しており、1万ドンが約60円であるから、日本円にしてフォーは100円から500円くらいで食せる手軽な美味しい食べ物である。

後先になったが、フォーは米麺・ライスヌードルである。細いものと平打ち風があるが、概して平打ち風が多い。軟らかいけれど、簡単に切れてしまうほどではない。店によっては《地方に行けば》、米とタロイモを混ぜているところもある。喉越しの佳い麺《米面》である。日本でも有名スーパーなどでは販売されているようだ。

熱々のスープで運ばれてくるが、香味野菜を入れればスープが冷めるから、早く食べなければ麺が伸びてしまうと云うことはない。それでも牛肉や鶏肉を肴にしてビールを飲んでから、麺をすするという食べ方はしないほうが佳かろう。それから、丼を持ち上げてスープを飲むのはお止めになった方がよかろう。必ず、箸とスプーンが付いてくるから、スプーンで飲まれるべきである。上級の店ではレンゲがついてくる。

いずれにしても、とても日常的な食べ物であり、ホーチミンでもニャチャンでも早朝から路上で売られており、仕事に出かける人たちが輪になって食していた。昼も同様であり、夜も販売されている。 ホテルのバイキング形式の朝飯では、香味野菜などのトッピングが好きに選べる。葱風たぶん芽ニンニクだろうかと思われる野菜のトッピングもお勧めである。

十日間で一番美味で、疲労などで食欲が無かった家人も旨いと完食したフォー。2015FOH-

マジェステイックホテル・サイゴンのフォー2015FOH-2

早朝のホーチミン横町でフォー販売の準備をしていた。2015FOH3

本日はフォーで紙数が尽きてしまった。ベトナムパンとベトナムコーヒ、それに海鮮料理などに付いては後日のこととする。
私が食したチキンがどのように飼育されていた鶏かは判らないけれど、メコンデルタの農家庭先で放し飼いになっていた鶏である。メコンデルタの農家民宿では、早朝から鳥の声が高く響いて眼を覚まさせられた。鶏の声で起きるなんて何年振りのことだろうか。2015FHO-CHIKIN

 

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