越南紀行−5

今日はベトナムのパンと珈琲について語ろう。
ベトナムは長くフランスの植民地であった。その名残りからか、パンがとても旨い。いわゆるフランスパンである。茫猿はフランスに行ったことは無いから本場顔負けの旨さと云うのは実のところ判らない。しかし、日本の有名なパン屋さんで食するフランスパンと比較して遜色の無い旨さである。しかも、店によって当たり外れが無い。限られた体験で当たり外れが無いというのは不遜であろうが、10日間でホテル、喫茶店、路上売店含めて10軒近くのお店のパンを味わったから、外れが無いと云う説にも頷いて貰えるであろう。またベトナムは植民地時代からコーヒーの産地であり、現在の生産量も世界有数である。

『パンと珈琲』
見かけるパンはいずれもフランス風パンである。店頭にはバケット、クロワッサン、食パンの他に、果物を練り込んだものやライ麦系のパンも並んでいる。いわゆる菓子パン系は見当たらなかった。バケットは固いものから軟らかいもの、大きいものから小さいものまで種類が豊富である。

このパンに地元産のジャムとバターを塗って食べるのが、シンプルだけど旨いのである。またパンに切れ込みを入れて、レバーペーストやハム、ソーセージと野菜を挟む”バインミー”もある。ベトナム風サンドイッチである。具材は店頭のものを指差して指定すればよい。3015vaymin

レバーペーストは慣れないと地元香料が馴染めないが、ハムと野菜であれば抵抗無く食せる。《実は我が家人は滞在二日目に、朝食用に街中のバインミー屋さんで求めたレバーペースト入のサンドイッチで気分が悪くなり吐いてしまった。多分に疲れによる体調不良が影響したと思っている。》

同行した孫娘は、皮の硬い部分は旨いけれど食べられず、なかの白い部分のみを食していた。ご飯大好きな娘だが、パンも白い部分だけが好みのようである。今度来岐したら土鍋でおこげご飯を炊いて、固いおこげに慣れさせ、パンの固い皮も好きになるようにしようかと考えている。

現地食が苦手な人でもパンは食べられるだろうから、好みの具材の入ったバインミーを見つければ、ベトナム滞在が楽しくなるであろう。バケットの他に旨いなと思わされたのは、薄焼きトーストパンにバターとジャムを塗ったものである。ベトナムの珈琲をブラックで飲む時にこのジャムトーストはとても良く合うのである。これからは食パン《自家製の食パン》を薄く切ったトーストにこれも自家製のブラックベリージャムを塗って食そうと思っている。

さて珈琲である。ベトナムコーヒーは独り用のドリップ器具がコーヒーカップに載って目の前に運ばれてくる。店員いわく「Wait a Few Minutes」なのである。数分待てと云うのである。五分ほど待っていると、カップの上のドリップ器具からコーヒーがポタポタと落ちてカップに溜まる。それをかき混ぜて頂くのである。カップの底にはあらかじめコンデンスミルクと砂糖が入れられてあり、ベトナムコーヒー = 甘く濃いカフェオレが出来上がると云う訳である。 このベトナムコーヒーを氷を入れたグラスに注ぎ込めば、ベトナム・アイスコーヒーの出来上がりである。写真はベトナムコーヒーが運ばれてきて五分待っている状況である。添えられていたマカロンは甘かった。3015cofe1

こちらは、アメリカーノとパンである。パンを注文するとバターとジャムは概ね付いてきた。アメリカーノコーヒーはいわゆるホテルコーヒーと違って、日本のレギュラーコーヒーよりも濃厚である。ブラックの好きな茫猿にとってはジャムを塗ったフランスパンがとてもよく合った。3015cofe2

手前がアメリカーノコーヒー、奥がベトナムコーヒー・アイスである。縦長のカップに氷が入れてある。3015cofe3

傑作だったのは、マジェステイックホテルの朝食バイキングレストランでテーブルを廻っていたウエイターの背中である。右手にコーヒーポット、左手にハス茶ポットを持って廻っている。写真を撮らせてくれと申し出たら、笑顔でOKしてくれた。3015cofe4

もう一つ、ベトナムコーヒーが旨いと思ったのは、ホテルのバーでのことである。様々な心憂きことあって、独りでバーカウンターで呑んでいて閃いたのである。バレンタイン・ウイスキーのストレートを口に含み、次いでエスプレッソ・コーヒーを含むである。これが抜群に旨かった。コーヒーにブランデーやウイスキーを数滴垂らすのと同じ要領である。《アイリッシュコーヒーという飲み方がある。》

バーカウンターにコーヒーサーバーが置いてないと出来ないことだが、エスプレッソ・コーヒーがメニューにある喫茶店でウイスキーが飲める時は、試してみる価値有りである。その夜はこの呑み方で、バレンタインのツーフィンガーを4杯くらい頂いた。食事のときにビールを飲んだ上でのことである。

《リタイアしてからは、飲酒の習慣が消えた茫猿であり、酒にも弱くなっていたが、この旅のあいだは飲酒しない日は無く、日々呑み上がっていった。酔いは寝付きをよくして、疲れを消すには佳いのであるが、家人は我が鼾に悩まされたことであろう。日頃の茫猿と家人は、茫猿は離れ家人は母屋という、屋敷内別居なのである。食事やその他は母屋で一緒にとるから不仲別居と云うわけではない。早寝早起きと遅寝寝坊という睡眠サイクルの違い、BSやドキュメント指向とバラエテイ指向と云うTV視聴習慣の違いが主な別居理由である。》

 

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