夜桜や さまざまな人の こと憶う《茫猿》
鄙桜をライトアップしました。様々な人の、様々なこと憶う夜桜です。
ともに眺めた父母のこと、葉桜を観るだけだった友のこと、この数年間に幽冥境を隔てた人たちのことを憶い盃を献じています。ようやくに花を付け始めた若木を見れば、二十年せめて十年早く植栽していればと思います。先ほど家人に向かいてたわむれに「私の年忌はこの枝垂れ桜の下で営んでくれ」と伝えました。「花守り 花観るときは 陰のひと」とも云いますから、私を偲んで枝もたわわに花を咲かせた枝垂れ桜の下で年会を務めてくれるなら結構なことだと思っているのです。
酒なくて なんの己が 桜かな《詠み人知らず》
名にしおう 花にまされり おらが春《茫猿》
どちらが先やら後やら判りもしないうえに、死後のことなど何も判りはしない。けれども桜をはじめとして幾多の花木や常盤木が、死後も残るであろうことだけは確かなことであろう。
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