絶望のなかの光

NHK総合にプロフェッショナル・仕事の流儀という番組がある。05/09  22:15からの放送を見た。「どんな絶望にも、光はあるー自殺対策NPO代表・佐藤久男」と題する番組である。 佐藤氏の仕事の流儀にも感銘を受けたが、番組のなかのあるコメントを聞いて、ここにも不動産鑑定士が社会に役立つ場面があると考えた。

プロフェッショナル・仕事の流儀》サイトより部分引用
「“鏡”に徹する」
長年自殺率ワースト1だった秋田県では自殺者を半減させ、20年ぶりに自殺率ワーストから脱しさせた。その立役者が“命の相談員”、佐藤久男(72)である。佐藤のもとに次々と駆け込んでくる、八方塞がりになっている人々に対して佐藤は「“鏡”に徹する」ことを心得とする。あえてアドバイスはせずに、苦しみを一つ一つ吐き出させていくと、気持ちを語りきった相談者の多くは、おのずと気持ちが静まるという。さらに佐藤は、「相手の悲しみを映し出すと、その中に解決の糸口も見えてくる」といい、相談者が吐き出した言葉の中から、問題解決の一手を共に見いだしていく。

「暗闇に、一筋の光を探す」
自殺を考える人の悩みは、経済問題、人間関係、精神的な病気などさまざまだ。その多くは、問題が絡みすぎてどこから手をつけて良いかわからず、真っ暗闇にいるような気分に陥るという。そんな時、貫く流儀は、“暗闇に、一筋の光を探す”。「たとえ1%でも希望があれば、人は生きていける」と信じる佐藤は、どんな絶望にも、突破口を見いだす。その時、力になるのが連携する専門家たちだ。佐藤は、弁護士、司法書士、臨床心理士などおよそ30人の専門家とともに、問題解決にあたるネットワークを作り上げた。

「終わりは、ない」
かつて秋田有数の経営者だった佐藤。しかし16年前、日本経済の不況が続く中、会社は倒産し、自己破産した。従業員や家族への罪悪感で、自殺を考えるほど追い詰められた。そんなある日、経営者仲間が、事業の不振に悩み自ら命を絶った。「なぜ地域社会を支えてきた人が、死ななければならないのか」。沸いてきたのは、悲しみではなく怒り。この死をきかっけに佐藤は、どん底からはい上がり、たった一人で自殺対策に乗り出す。この11年で、秋田県の自殺者数は519人から269人にほぼ半減した。しかし、200人を越える人が今も、自ら命を絶つ。「自殺対策を行う人は喜ぶような感情にはならない」と語る佐藤の自殺対策に、終わりは、ない。

《再放送予定》
再放送の予定はまだ公表されていないが、再放送予定は「仕事の流儀」TOPで確認できる。

《番組のなかで不動産鑑定士の出番》
番組のなかで、息子の借金がかさみ預貯金をはたいた挙げ句、自宅が競売に付されることが決まり、住いを無くしてしまう恐れに困惑する相談者が登場した。年老いた相談者に佐藤氏は「一筋の光」を求めて活動を開始する。 先ずはネットワークを構成する不動産鑑定士に連絡して、①相談者住宅の落札予定価額の推定、②競売が実行されたとしても、住居に住まい続けられる方法を模索し、③親戚や友人などの縁者に落札してもらい、その後に落札者から賃借して居住場所を確保する。という一つの解決可能な方策を相談者に示すのである。

競売家屋に住み続けられる上記の方法は、不動産鑑定士なら当然に承知していることであるが、落札資力を有する縁者が存在している可能性は高くないから、あまり語られることはない。でも競売事情に精通する不動産鑑定士であれば落札基準価額の推定は容易である。売却基準価額は売却日が決定すれば公告されiNetでも閲覧できるが、相談者は事前準備が必要であり、その為の予定価額推定である。

また、困惑の渦中にある自殺志願者が一連の競売手続きを理解することも至難であろうから、手続きに精通する不動産鑑定士の出番があると云えよう。BIT《不動産競売物件情報サイト》の存在すら知っていないであろう。 茫猿にしても、息子が夜逃げしてしまった住宅に独り取り残されている老人に、類似のアドバイスをした経験が何度かある。ハウス・リースバックの一つの形態とも云えるのである。

《ひたすら聞くこと》
無料不動産相談会に相談員として出席して常々感じさせられるのは、無料相談が本来の不動産相談であることは半分もない。過半は相談者の愚痴や悩みのはけ口である。聞いてあげることが悩みの解決になる。ある種のカタルシス《気持ちの浄化》なのである。それも専門職業家の社会貢献の一つのあり方と云えなくもない。

《本日の写真は地味な茅屋の裏庭》
鄙里茅屋の裏庭は家人の”ガーデニング”と称する花作りの場所になっているが、家人の手の及ばない場所は”和のおもむき”を残している。ツタが生い茂り木賊《トクサ》が冬枯れからの時季を終え生気を取り戻し初夏の粧いをしている。木賊の陰ではユキノシタが小さな花を風に揺らせている。
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