ネットとの付き合い

昨今のSNS《Social Networking Service》全盛には、些かの違和感を感じている。茫猿のiNet通信はPC-VAN利用に始まったと記憶している。さすがに音響カプラー利用時代は経験していないが、FAX専用アナログ電話回線をINS回線に換えSOHO用ルーターを経由し、かつてNECが運営していた通信サービスPC-VANに接続したのは、いつの頃だったか。記録も無いし正確に記憶していないけれど1990年代のいつ頃だったろうか。

『茫猿とiNetとの関わり』
この「鄙からの発信」を始めた頃(1999年)には、記事更新を告知する為にMailマガジンも発行していた。メルマガの購読者数は最大800か900に達したけれど、1000には到達しなかったと記憶している。昨今のFacebookやTwitter、Instagramなどの全盛時代に較べれば隔世の感がある。同時にその頃において、マイナーで無名のメルマガが購読者数1000に近づいたというのも、秘かに”ホオー”と思っている。

持ち重りがする携帯電話がiNetに接続し、その携帯電話がスマートフォンに転換し、iNet検索もFacebookやTwitterの閲覧も書込みもスマホ頼りとなり、スマホで撮影した写真をリアルタイムで公開できることなどは想像もできなかった。

携帯電話のメールを通じて得られる情報は、当時も真贋半ばであったものの、発信元が明らかであったから真贋を確かめることは容易だったし、明らかなガセネタは無かったし不用意な拡散行為も無かった。2チャンネル《ずいぶんと昔のことに思えるが、開設は1999/05のことである》情報は最初から眉唾情報と意識していたものである。しかしながら昨今のFacebookやTwitter経由情報について、世間の受けとめ方は大きく異なるようである。

『スマホのiNet接続に潜むリスク』
SNSには様々な書き込みが溢れている。真贋取り混ぜてというよりも、意図的に流す偏向情報も少なくないし、広告をカムフラージュしている情報も少なくない。その種の情報について、”ネタ”だと判っていて受け流せる人はいいけれど、”マジ”に受け取ってしまう不慣れな方も少なくないように見受ける。スマホだけでiNetにつながっている不慣れな年配者や未熟な若者が”ガチ”に反応しているのではと、些か気掛かりな今日この頃である。《明らかに”ガセネタ”なのに、知らずに拡散しているのを見れば哀しくなる。まして明らかな尻馬行為は阿呆らしくなる。》

他にも、パソコンと併用することなくiNet接続をスマホに限定する利用方法が抱える問題点も指摘できるが、ここでは触れない。ながら視聴が多く、画面が小さくて得られる情報が限定的なスマホがもつリスクである。

管見《当然のことですが》だと断っておきますが、スマホ体験だけでiNetを判ったように勘違いしている若年者と年配者が、イチバン具合悪い。アジられやすい未熟者たちと云う意味でのことである。つくづく簡単に入手でき簡単にiNet接続できるスマホとは罪な道具だと思う。便利さと云うものが、背後にリスクを潜めているのは常のことである。インスタント食品やコンビニの弁当やお握りが潜めているリスクと同じことである。

《それらの食品添加物リスクは常時大量摂取しなければ健康に影響は無いというのが定説である。しかし、幼少の頃から常時摂取した結果が五十年後にどんな影響をもたらすかは、神のみぞ知るのである。既に判りつつあるというか自覚できていることに、味覚の偏向性が挙げられる。腐敗しにくい弁当やお握りの危険性以前に、添加物や揚げ物大量摂取は素朴な爺婆伝統的料理を不味いと感じさせてしまうようである。》

『SNSに潜む闇』
それはさておき、SNSのヒンターランドでは見えざる手が働いているということも定説のようである。極端に偏向する情報や醜悪な写真などは、SNSに組み込まれているアルゴリズムで排除されているようであるが、このアルゴリズムは意図的に利用される危険性も排除できないと云うことでもある。

フィルターバブルという言葉がある。フィルターバブル(filter bubble)とは、インターネット検索サイトのアルゴリズムが、ユーザーの情報(所在地、過去のクリック履歴、検索履歴など)に基づいてユーザーが見たい情報を選択的に推定するような検索結果を出すことから、ユーザーがその人の視点に合わない情報から隔離され、実質的に彼ら自身の文化的、思想的な皮膜(バブル)の中に孤立するようになっていくことをいう。《WikipediaやWeblio辞書より》

フィルター・バブルとは情報化社会の中で個人が自らが構築した”情報の殻=泡の中”に閉じこもり、情報の取捨選択を自らの好みに応じたフィルターを通して外部から入手しようとするような傾向を指すことである。結果として、自らに都合のよい情報だけを選択し,気に入らない情報は無視したり拒絶したりする心象現象である。このフィルター自体を自らが意図的に構築しているのであれば、まだよいのであるが、現実は無意識のうちにGoogleやFacebookが構築してしまうから始末が悪いのである。そして、自分がフィルターバブルに操られていることを自覚できないでいる。

そんな便利さと危うさが表裏一体となっている現代のネットとのつき合い方、溢れかえるる情報のなかで、なにと如何に付き合うかが問われているのである。《新聞が片隅に小さく”全面広告”と記して掲載する提灯記事に似てもいる。》

茫猿は老人の経験則として、こんなふうに考えるのである。
発信人から考えてみる。「あの人ならばサモアリナン」ということである。発行元の信頼度から考えて見る《この頃は電通や博報堂のマスコミ支配力が強いから、鵜呑みは危険と知るべきである》。 大事なことは、時に真逆から考えて見たり、異なる立場から発信される情報と対比して見ることである。

例えばの一例を挙げれば、産經新聞と赤旗の対比であり、週刊金曜日と週刊新潮・文春の対比、月刊世界と月刊正論の対比などであろう。テレビなども背景の新聞社を意識してみれば少しはバイアスを取り除けるかもしれない。読み較べから自分の立ち位置を考えてみることである。

『本稿の本題でもある”鑑定の友”について』
さて、長々と鄙に在する隠居の繰り言を述べてきたのには訳がある。それは先月末に公益社団法人大阪府不動産鑑定士協会《以下は大阪士協会と略する》が社団化20周年記念行事として”スマホアプリ「鑑定の友」”を無償公開しているという記事に接したことに端を発する。

当然のことながら、大阪士協会は自会公式サイトに2016.02から告知している。しかしながら、岐阜会サイトと連合会サイト以外は常時ウオッチングなどしていない茫猿が知る由もなかったのである。このニュースを知ったのは、Facebookに大阪士協会役員氏が投函したコメントに、役員氏と茫猿の共通のFB友だちが「いいね」をしたことから、茫猿の眼に留まったということである。

この件は大阪士協会が公表して以来、既に四ヶ月余りを経過している。大阪士協会役員氏の投稿では、この間のダウンロード数が760件に達したとある。この数が多いか少ないかの評価は分かれるところかもしれないが、大阪士協会の会員数は500名余であり、近畿会の会員数は900名近いのである。会員事務所スタッフや関連業界人の数も含めて考えれば、些か少ないのではと考えて拡散を意図し、FB記事をシェアすると同時に「鄙からの発信」記事にしたのである。《ガセ情報は拡散され易く、有益情報は埋もれがちという皮肉でもある。》

当然のことであるが、「鄙からの発信」記事にする前には、アプリをダウンロードしスマホにインストールして試用してみたのである。アプリは資産評価システム研究センターが公開している”全国地価マップ”をスマホからアクセスすることにより、スマホのGPS機能と地価マップを有機的にリンクさせると同時に、検索データである複数の所在地をスマホに入力保存する機能などを加えている”優れもの”である。

大阪府不動産鑑定士協会:鑑定の友 案内
※鑑定の友使用方法の詳細
全国地価マップ (資産評価システム研究センター)

この”鑑定の友”についての情報が四ヶ月も茫猿が知ることが無かった背景を考えてみれば、茫猿のFB友だちである大阪士協会所属の誰も関連情報をアップしなかったことであり、大阪会以外のアプリ利用者の誰も関連情報をアップしなかったことにある。茫猿のFB友だちが少ないことや、情報収集能力が低いことから当然の帰結と云えることであり、知る人ぞ知る情報であるが、知らない人は知り得る術が限られていたということでもある。

”鑑定の友”は有益なアプリであるが、さらに多数の人が利用することにより、さらなるバージョンアップ進められ、不動産鑑定士の必須アイテムとなりゆくことが望ましいと考えている。だから、連合会のHP・ニュースや多くの士協会がイントラネットなどで紹介することが好ましいと考えている茫猿なのである。連合会が連合会である由縁の一つには、全国の士協会情報を収集し広報することも大事な役割だと考えている。せめて、全国の士協会が広報したいと考える情報を随時掲載できるページを設置することくらい始めても良いのであろうと考えている。

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