早朝に散歩していて、川岸にヌートリアの親子を見かけた。川のなかを泳いでいるのを見かけることは度々であり、「鄙からの発信」にその姿を載せたこともある。しかし、川岸にいて、写真を撮れる距離に近づいても逃げなかったのは初めてである。
親子連れだったからなのか、長雨で冷えた身体を温めていたからなのか、それとも人を畏れなくなったからなのか。稲や野菜を食い荒らす困り者の害獣なのだが、図々しくなったものだと云うべきか、それとも鄙里の野生度が深まったからなのか。
ヌートリアは齧歯目・ヌートリア科に属する哺乳類である。南アメリカが原産地で、戦前に毛皮を取るために移入したものが野生化した。侵略的外来種として問題になっており、イネやオオムギ、葉野菜などに対する食害のほか、在来種の生態系への影響も深刻である。さらに、巣穴は複雑に入り組んでいて深く、水田の畦や堤防が破壊される原因にもなっている。
鄙里でも冬場には川に近いダイコン畑が被害にあった。ダイコンの地表に出ている部分が残らず食い荒らされたことがある。畑に白い丸印が点々と見えるから、何かと思えばヌートリアが食べた跡だった。それ以降、川近くにはダイコンを植え付けてはいない。
狸を見かけたのは昨秋だった。他にもイタチ、野良猫、シマヘビ、カルガモ、川鵜、青鷺、カラスにスズメなどが鄙里に生息する野生動物である。好むか好まざるかを問わず、野生動物と共生する度合いの深まりを思わせる昨今の鄙里である。
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