川上量生氏!

川上量生《のぶお》氏とは、IT関連企業ドワンゴ創業者である。現在はカドカワ株式会社代表取締役社長、株式会社ドワンゴ代表取締役会長にして学校法人角川ドワンゴ学園理事などを務める。1968年生まれの47歳である。1997年4月 有限会社ドワンゴジャパンを創設した時は29歳だった。

川上量生氏論を語れるほど川上氏を知っているわけでも、氏の著作を読んだわけでもない。ドワンゴが提供している「ニコニコ動画」という動画共有サービス創設者であるとは知っていたが「ニコニコ動画」に興味があったわけでもない。しかし川上氏《現47歳、ドワンゴ社歴19年》が率いるドワンゴと角川歴彦氏《現72歳、角川書店は1945年創業、社歴71年》が率いるKADOKAWAが経営統合すると報道されたとき《2014/05》には驚いた。伝え聞く両者の企業風土があまりにも違うこと、川上氏と角川氏の年齢差などに驚いたのである。


何でもありに馴染めなかったニコニコ動画と、辞書や角川文庫の角川書店が結びつかなかったのであるが、その時から川上氏には興味を持っていた。しかし、髪を染めていることや、風貌や語り口から何やら違和感を持って眺めていた。というよりも、深く知ろうとはしなかった。prm1411230018-p2

今夜《08.22》、「NHK・プロフェッショナル:仕事の流儀」で、川上氏が取り上げられているからチャンネルを合わせてみたのである。《再放送は08/29  15:10》
にこやかに”軽くも見える”川上氏の語り口を聞いていて、古い言い草であるが、”百聞は一見に如かず”と思い知らされた。番組を見終わっての感想は”稀代の起業者にして経営者”という印象だった。番組が伝える氏の語録とNHKのサイトから少しばかり紡いでみる。《髪を染めているのは若白髪を染めているのだそうである。白髪染め候が嫌なので茶色く染めているだけと云うことである。》

《無いものをつくる》
「ニーズがあるんだけど、まだ世の中にないものを僕らは作ろうとしているだけなんです。競争相手がいなければ、好きな道を歩めるし、そこにはユニークな歴史が生まれますよね。他の誰かができることはその人がやればいい。自分がやらなければ出来なかった新しい道は面白いと思っている」と、川上氏は云う。

《ひらめきに飛びつかない》
「ひらめきは信じていないんですよ。アイデアは情報量で決まるから、他の人も思いついている可能性がある。それなのにやられていないということは何か原因があるはずで、それが分からない限り失敗するんですよ。実現されていない理由を分析して、クリアできると判断できたら、実行に移すという感じですね」とも氏は云う。

《現実肯定主義》
「動画サイトは役に立たないんですよ。基本は全てが無駄。でも、無駄なことをやっているのが実は人間だよっていうところで『まぁいいか、ハッピーだし』と、みんなが思ってくれたら、世の中のために一番いいと思うんですよ。人間は大したことなくて、立派なのは理想ですよね。今はその理想が世の中を支配していて、すごく息苦しい世の中になっている。人間をあるがままで認めていく“現実肯定”が重要だと思っている」と、川上氏は云う。

《現実より理屈を信じる》
通信制高校でありながらインターネットを利用した双方向性を有する教育を目指す角川学園N高校のカリキュラムに中国語を導入しようと川上氏は目指すのである。スタッフの調査結果は「中国語を履修しても就職状況は好転しない。」というのである。日本語が出来る中国人と就職市場では競争にならないと云うのである。しかし、川上氏は益々影響度も存在感も増してゆく中国と云う隣国を考えれば、中国語カリキュラムは存在意義があると考える。中国語カリキュラム創設のための年間二千万円の経費は妥当だと考えるのである。

《ドワンゴ創業時の蹉跌》
川上氏はドワンゴ創業時に苦い経験をしていると云う。当時、パソコン通信などで知り合った優秀だが”オタク的”で社会に居場所を得られなかった人たちを仲間として迎えたのだけれど、結局は日ならずして会社を辞めてもらうことになったという。”居場所の無い人に居場所”をとか”誰かを救う”などという考えは思い上がりなのだと思い知らされたと云う。その苦い経験がその後の川上氏の行き方に大きく影響したと云うのである。

今回、カドカワとドワンゴの経営統合当時から現在までの、背景解説や川上量生論を幾つかネットで読んでみた。角川が角川源義氏創業から角川春樹氏そして角川歴彦氏に至る経緯も合わせてみれば、両者の経営統合がある種の必然性を有していたと理解できるのである。

《プロフェッショナルの流儀》
川上氏はプロフェッショナルの流儀について、「誇りを持って仕事をしているかどうかである。どんなに下手くそであっても誇りを持って仕事をしている人を尊敬するし、自分もそうありたい。」と云う。

「NHK・プロフェッショナル:仕事の流儀:川上量生」の再放送は8月29日(月)午後3時10分~午後3時59分である。

 

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