ZENRIN GISパッケージ 不動産鑑定士

「ZENRIN・GISパッケージ不動産鑑定士」が公開された。ワンストップで住宅地図、ブルーマップ、都市計画用途地域図、地価公示位置図、地価調査位置図、相続税路線価図、固定資産税路線価図の七アイテムが月額10,000円で利用できる不動産鑑定士専用の地図アプリである。そこで、09/25まで無料公開されている試用版を試してみた。「ZENRIN・GISパッケージ不動産鑑定士」試用版はサクサクと動いて快適である。用途図も見易いし、検索や計測も容易であり、A3〜A4印刷も容易である。

試用版「ZENRIN・GISパッケージ不動産鑑定士」の申込はこちらから。 サイトより申し込むと、メールで仮IDと仮パスワードが送られてくる。
GISパッケージ不動産鑑定士・試用版サイトはこちらである。
※ ZENRINが推奨するブラウザーはMicrosoft® Internet Explorer® 11であが、茫猿が利用するMAC:Google® Chrome®でも、問題なく動いた。「GIS・不動産鑑定士」のマニュアルはこちら。

収録データ・仕様《ZENRINサイトより引用》

提供単位

一都道府県、1ID単位

収録情報 住宅地図 一軒一軒の建物に建物名・居住者名を表示した詳細な地図《ゼンリン》
ブルーマップ 法務局(登記所)備え付けの地図(公図)及び都市計画情報《ゼンリン》
用途地域 各市区町村が策定した区域区分、用途地域、建ぺい率、容積率等の情報《一財・土地情報センター提供》
地価公示 国土交通省が公示する毎年1月1日における標準地の1平方メートルあたりの土地価格と属性情報《土地情報センター提供》
地価調査 各都道府県が公表する毎年7月1日における基準地の1平方メートルあたりの土地価格と属性情報《土地情報センター提供》
相続税路線価 国税局が公表する毎年1月1日における1平方メートルあたりの相続税路線価と属性情報《資産評価センター提供》
固定資産税路線価 各市町村が公表する標準宅地及び路線価の1平方メートルあたりの固定資産税路線価と属性情報《資産評価センター提供》

GIS/不動産仕様には用意されている衛星画像が、鑑定士仕様には用意されていない。衛星画像は別会社からのライセンス提供であろうから、組み入れればその分パッケージ価格が上がってしまうのであろう。パッケージ価格の割増し額にもよるが、組み込んであればより便利であろうと考える。《写真はGIS・不動産版》%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-09-16-8-36-36

パッケージには「浸水域」が用意されている。平成23年3月11日 東日本大震災後の津波により浸水した範囲を地図上に表示したものである。浸水域は、国土地理院の技術資料 「平成23年(2011年)東日本大震災2.5万分1浸水範囲概況図」を利用している。
国土地理院の技術資料「平成23年(2011年)東日本大震災2.5万分1浸水範囲概況図」は、地震後に撮影した空中写真及び、 観測された衛星画像を使用して津波により浸水した範囲の判読を行い、その結果を2万5千分1地形図に記したものである。 そのため、これ以上の精度がなく、浸水のあった地域でも把握できていないところや、雲等により浸水範囲が十分に判読できていないところがある。《ZENRINサイトより引用》

距離計測は「カーナビ的な自動計測」ではなく、計測者がマウスで地図上のルートを辿ると、距離ならびに徒歩所要時間が表示される。都市中心街区では自動計測は不要と考えたのであろうが、自動計測も選択できればより便利であろうと思われる。

『Rea Map 3rd とのリンクについて 』
鑑定協会:情報安全活用委員会:地理情報小委員会《Nsdi-pt》は、三次データと地理情報の融合を目指した実証実験「Rea Map 3rd」を、2013/03/25より試験公開していた。 この実証実験MAPは縮尺1/8000で表示される地図上に、地価公示地点、地価調査地点、取引事例データ所在位置を表示するものである。ゼンリンとのリンクも土地情報センター並びに資産評価センターとのリンクも行われていないから、住宅地図も用途地域図も相評路線価図も表示されない。

「Rea Map 3rd」は取引事例を地図上に表示し、各事例地の属性データを自動取得することを目的とするものであり、各事例データの位置アイコンをクリックすると、各データの距離条件属性を、ルーテング処理により自動取得する。取引事例属性データについて、施設名と施設までの道路距離、さらに施設に至るルートを取得表示する。 距離条件属性データの種類は最寄り駅Ⅰ、最寄り駅Ⅱ、最寄り小学校Ⅰ、最寄り小学校Ⅱ、最寄りSCⅠ、最寄りSCⅡ、最寄りコンビニ、市区町村役場、事例地の緯度経度である。

この実証実験当時、茫猿は既に不動産鑑定業を退隠していたし、その後しばらくして鑑定協会も退会したから、その後の経過は詳らかではない。地価公示等採用取引事例の協会会員限定ネット公開は進んでいるようだが、取引事例閲覧業務が中心であり取引事例属性データ取得を目的とするものには至っていないと仄聞している。間違っていればお許し頂きたいが、不動産鑑定GISにはまだ遠いものに止まっているとも耳にしている。《全国オンライン閲覧すら未だに実施されていないようである。》

2013年当時、既に土地情報センターは都市計画用途地域図のネット開示を準備していたし、資産評価センターの相評・固評路線価地図の開示も進められていたと記憶する。しかしながら、それらとリンクするためには高額のライセンスフィーが必要であり予算措置が伴わず、将来課題として見送らざるを得なかったと記憶する。それが今や月額一万円で実現したのである。

今や時代は変わった。周辺環境が大きく変化したのである。「ZENRIN・GISパッケージ不動産鑑定士」に「Rea Map 3rd」をリンクさせる時期が到来したと云えるのであろう。取引事例データを「ZENRIN・GISパッケージ不動産鑑定士」にリンクさせることは、個人情報守秘や取引情報データ守秘など様々な障害が存在していることは重々承知している。

それでも、様々な行政情報の開示は着々と進められており、取引事例データについても国交省は地番データや緯度経度データをマスキングして公開している。更なる情報開示についても検討が進められていると仄聞するし、民間での取引情報開示は止まることなく進んでいる。

いまや鑑定協会はゼンリンと連携して、取引事例データの落とし込みが可能なレイヤー作成のカスタマイズを始めるべきであろう。鑑定協会が検討を始めなくとも、国交省や宅建業界は不動産取引データのオンライン公開をいずれ始めるであろう。取引市場の透明化やオンライン化は止めどなく進んでゆくであろうし、評価のAI化も目覚ましく進んでいる。

AI不動産評価と鑑定評価とは似て非なるものであるが、ビッグデータを利用する不動産評価はマンション評価を牽引車としてますます進むであろう。その大きな流れのなかで、鑑定評価はAI評価を無視すること無く、それらの基盤のうえに、個別データを基礎とする個別物件評価の精度を向上させて行かなければならないと思われる。

例えば、「ZENRIN・GISパッケージ不動産鑑定士」にユーザーが自由に利用できるレイヤーを用意し《カスタマイズ》、取引事例データを限定的であっても流し込むことにより”ZENRIN・GIS”に重ね合わせて表示できればと考えるのである。取引事例閲覧ライセンスと”ZENRIN・GIS”ライセンスの双方を保有していれば可能なことであり、守秘義務もクリアできるであろう。鑑定業界がカスタマイズに着手しなくとも、不動産業界がレインズ・データやスーモ・データの利用可能なカスタマイズを始めるのはそんなに遠くないことであろうと思われる。《ZENRIN GISパッケージ 不動産

省力化、一覧性向上、公的評価の相互均衡、利用できるものは利用する柔軟性、等々思いつくキーワードは幾つもある。大事なことは、デジタル化・インターネット化の時代には情報の公開が進むものであり、廉価化、時に無償化が止めどなく進むものであると云うことである。情報のコモディティー化は避けられないのである。

住宅地図、ブルーマップ、都市計画用途地域図、相評路線価図、固評路線価図のいずれもが冊子や頒布地図で個別に提供されていたのは、そんなに昔のことではない。取引事例情報にしたところで、この十年間の開示と提供方法の変化は目覚ましいものがある。鑑定業界は守秘義務情報に依存する業務から速やかに脱皮すべきであろう。

情報開示に先鞭をつけることで自らの存在感を高め、同時に個別不動産の”評価”プラス”鑑定”という不動産鑑定評価 が本来目指すべき道を再構築すべきなのであろうと思うのであるが如何であろうか。既に関係諸方面との折衝が開始されているのであれば、同慶の至りなのである。

 

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