白秋73旅-6・坂のまち市電

白秋73旅は三日目《2016/12/12・月》、新山口駅から05:38発の始発普通電車に乗って、関門海峡を越えて九州に上陸し長崎を目指すのである。始発電車の乗客はまばらだけど、それでも様々な人々が乗り込んでくる。小倉方面への通勤客が多いのはわかるが、高校生とおぼしき人たちは本州から九州へ通学するのだろうか。

小倉で乗り継いだ快速は、博多へ08:27に到着、朝飯代わりに構内立ち食いうどん店で”かしわうどん”をいただく。博多08:54発、鳥栖09:27着、このあと適当な接続便がないので、鳥栖からは特急白いかもめ鳥栖10:16発に乗車、長崎へは11:49に到着する。特急利用のおかげで長崎市電を半日堪能できる。時刻表を一目見れば判ることだが、長崎本線・佐世保線は普通電車より特急列車の本数が多くて、時刻表が赤く染まっている。《写真左・新山口駅始発、右は特急かもめ》

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長崎駅はそこから先の線路は無いターミナル《起終点駅》である。構内のカフェテラスから発着する列車を正面から眺めていられる。ソニック883系(?)の左横に「ある列車」が見えている。20161212tarminal
長崎駅前で「チャンポン」を昼食にいただき、観光案内所で長崎市電一日乗車券を購入して市電に乗る。長崎市電は市営ではなく、正確には長崎電気軌道(株)が運営する路面電車なのである。20161212akasako

市電乗車の楽しみは一日乗車券を購入して、先ずは一つの路線を始点から終点まで乗り通すことに或る。往路の車窓から興味を持った場所で復路は途中下車して街歩きをする。一日乗車券を持っていれば、何度でも乗り降り自由という特徴を大いに活用するのである。20161212nagasakiekimae

全国、何処へ行っても表通りに大きな差異は無くなっているが、裏通りはひと味もふた味も違うのである。観光客で混雑するメインストリートをチョイ避けて裏通りを通り抜ければ、違うものが見えるのです。電停の一つや二つくらいは戻ってみたり、違う路線にショートカットしてみたりと、ただ乗るだけでなく歩き乗る、そしてまた歩き乗るところに街中散歩の醍醐味があるのです。
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もう一つの楽しみは車両基地の見学です。どちらの車両基地も「見学歓迎」などとは表示していませんが、受付で礼を通せば断られません。少なくとも茫猿が断られたことはありません。断らないだけでなく案内者がついて、親切に丁寧に説明もしてくれます。長崎・浦上車庫では、相手のご都合も考えて早々に出ようとしたら、もう宜しいのですか? どうぞごゆっくりと返されました。

車庫では日頃は運行していないレトロ電車も拝見できます。写真は車齢103年の日本最古の木造ボギー車である。原爆に耐えたのですかとお尋ねしたら、「1959年に西鉄から譲り受けたものです。」というお答えでした。昔懐かしい車両で、子供の頃に岐阜市電で同型車に乗った記憶があります。《サムネイル写真はクリックで大きくなる。》
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坂の街長崎では、軌道敷きや電停が川の上に設けられている。《石橋電停》20161212kawanoue

長崎市電のニュートラム《低床車両》を車庫で拝見する。20161212newtoram

長崎で路面電車を堪能した茫猿は、夕刻に特急かもめで佐賀へ向かう。諫早を過ぎたあたりの右手車窓からは雲仙岳と諫早干拓締切り堤防が見える。雲仙岳が意外に近いのに驚く。 佐賀では年来の知友が待っているのである。待っていると云っては失礼なのである。茫猿が佐賀へ来るのに合わせて、彼は出張先の仙台から飛行機と列車を乗り継いで帰ってきてくれるのである。嬉しくもあり、とても忝ないことである。佐賀駅のプラットフォームには恵比寿様が鎮座出迎えてくれていた。旅立ち恵比寿と云うそうな。20161212ebis

佐賀駅前には佐賀藩の反射炉モニュメントがあった。《画面右端》20161212saga

この夜、旅先ですからとビールで軽くと言う茫猿をさえぎって、勧め上手な彼に勧められるままに、ビール、佐賀銘酒《二銘柄or三銘柄?》、焼酎のロック、座を移してバーボンとどれだけ頂いたのか記憶が無い。宿に帰ったのも記憶が無いのである。公私ともにご多忙を極めているであろうF氏には、おもてなしの篤さに御礼の申し様もなく、ただただ頓首九拝するのみなのである。

※前号記事 白秋73旅-5・バタ電 

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