白秋73旅-7・イサブロー

白秋旅は四日目《2016/12/13・火》となる。今朝も早朝六時前には佐賀を発ち、鳥栖からは鹿児島本線の快速を利用して八代へ向かう予定だった。それなのに、前夜の深酒がたたり目覚めたのは七時前だったし、まだたっぷりと酔いも残していたのである。

慌てて佐賀駅からは来合わせた電車に乗り、新鳥栖で九州新幹線に乗り替え熊本へ向かうのである。そして、それが思いもよらぬ旅に出会わせてくれるのである。

佐賀発07:12普通列車、新鳥栖着07:39、新鳥栖発07:47発九州新幹線つばめ、熊本着08:22と乗継ぐのである。熊本駅からは08:39発の「いさぶろう・しんぺい号」、11:22終着の吉松駅からは 11:25発の特急「隼人の風」に乗り、12:51に鹿児島中央駅に到着する。

旅立つ前は鹿児島本線を利用し、三セク肥薩オレンジ鉄道で九州西海岸の風景を楽しむ予定であった。新幹線で熊本に降り立ったことから予定は未定となったのである。写真は乗車はしていないが、熊本市電の駅前ターミナルである。熊本でも昨夜話題に出た老朋友に会いたくなったが、アポをとっていないし時間も無い。20161213kumamot

朝食をどうするかと考えながら駅構内を歩いていると、眼に留まったのが「いきなり おこわ」という看板と、暖かそうな湯気である。そして売店の向い側には、聞き慣れない車名の列車が入線している。あなごのセイロ蒸しも栗おこわもとても美味しかった完食する。セイロ蒸しは経木の箱に入っていたから旨さ倍増である。
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いさぶろう・しんぺい」というのである。内装も面白そうというより、まさしく水戸岡鋭治デザインの列車である。行き先を確認すると人吉の先、吉松とある。肥薩線《えびの高原線》ループとスイッチバック線路である。まだ残る酒の勢いもあって、千載一遇、乗車するに如かずなのである。20161213isaburoh

当初、この肥薩線を考えないではなかった。しかしながら、超ローカル線で乗り継げる普通列車がとても少ないことから、検討対象から外したのである。それに2011年開催の不動産鑑定フォーラムで熊本を訪れ、その折りのエクスカーションで、往きは「くまがわ1号:九州横断特急」、球磨川下りを楽しんだ復路はSLハチロク型人吉号に乗車していたのである。それで、肥薩線は当初予定にはなかったのである。

《この時の記事:時刻表の無い旅・人吉編: はこちら》
《また、この時:A列車にも乗車している時刻表の無い旅・天草編

この列車名愛称の由来は、「いさぶろう」が人吉駅 – 吉松駅間が建設された当時の逓信大臣山縣伊三郎、「しんぺい」が同区間開業当時の鉄道院総裁であった後藤新平で、矢岳第一トンネルの矢岳方入口に山縣の「天険若夷」、吉松方に後藤の「引重致遠」の扁額が残ることにちなむものである。

この「いさぶろう・しんぺい」は、スイッチバック線上にある木造駅舎・真幸(まさき)駅、ループ線上にある木造駅舎・大畑(おこば)駅、SL展示館、沿線の眺望などが紹介されているが、この日は深い霧で、眺望はきかずループ線はなにも見えなかった。左は真幸駅、画面右端にSL展示館が見える。駅の向こうは立ちのぼる霧である。晴れていれば先にループ線や桜島が見えますというが、すべては霧のなかである。
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それでも指定券の追加だけで乗車できるから青春18切符利用者には、有り難い列車であるし、若い女性アテンダントが添乗してくれているのも楽しい。大畑駅舎前でアテンダントとのツーショットである。《そんなに若くない女性がアテンダントに写してもらっているから、私が撮りましょうと声をかけ、代わりに私たちも撮って下さいとお願いしたツーショットである。》20161213atend

いさぶろうの終着駅・吉松には特急「隼人の風」が待っていた。これに乗って隼人駅からは日豊本線鈍行に乗り継ぎ、鹿児島中央駅へ向かうのである。鹿児島中央駅に着いたのは昼過ぎ12:51だった。小雨模様の空で眺望はきかないし、残っていた酔いも醒めてほとんど寝ていたから記すことはなにも無い。20161213hayat

この夜の宿に荷物を預けてから、鹿児島市電一日乗車券を購入し、遅い昼食を求めて鹿児島中央駅周辺を歩くのである。なにを食べるか腹具合と相談しながら、幾つかの店構えや設えを探索していると「薩摩思無邪(シムジャ)」という名前と店構えに惹かれたのである。

思無邪:邪な(よこしまな)思い無し、という名前のラーメン専門店である。店に入りカウンター席に座り、メニューを眺めていると「〆そば」という案内が眼に入った。旅も四日目、些か疲れてもいた。前夜の呑み疲れもある胃袋に優しそうなラーメンである。20161213shimesoba澄んだ醤油味スープに細麺が入り、トッピングは水菜と白髪葱だけである。これが旨かった。あまりの旨さに夕食に再度、翌日の夜にはスペシャル(焼豚、煮卵、ごぼうの天婦羅)を頂いたほどである。午後は小雨降るなか鹿児島市電の旅であるが、それは次稿に記すのである。

※前号記事 白秋73旅-6・長崎市電:

 

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