白秋73旅-10・おやっとさあ JR九州

白秋73旅顛末記の〆は、この旅を通じてJR九州について感じたことを記してみよう。実際に乗車するまで美濃の鄙里から眺めていて、JR九州は活気があるなと感じていた。
※おやっとさあ:鹿児島でお疲れさまという意味で使われる。

今月すでに留萌-増毛区間が廃線され、高倉健主演映画「駅」の舞台となった増毛駅は無くなり、最大12路線の廃線や三セク化が検討されているJR北海道に比較して、JR九州は頑張っている。片や上場を果たし、片や赤字に苦しむJR北海道である。片や七県総人口約1, 300万人に対して北海道は547万人であり、自然条件が大きく違う上に新幹線も函館までしか通じていないから単純比較はできないのであるが。

それにしてもJR九州は人気特急列車を続々登場させている。国鉄民営化して間もなく誕生した特急・ゆふいんに始まり、クルーズトレイン・ななつ星in九州、A列車でゆこう《全席指定》、特急・あそぼーい、いさぶろう・しんぺい《全席指定》、特急・隼人の風、SLひとよし《全席指定》。それぞれの名付けもユニークである。特急”いぶたま”など聞いたときは何のことかと思ったら、竜宮伝説にちなむ”指宿のたまて箱”が正式名称であると知って驚いた。或る列車はクルーズトレイン”ななつぼしin九州”と並ぶ豪華列車である。 《JR九州の観光列車紹介》

ただし、ことは単純ではない。幾つかのローカル線特急は新造車両ではなく、旧型車を改造しただけのものであること。もちろん改造するだけでも評価できる。水戸岡鋭治デザインで外装を直し、内装を一変させているのである。

それらのユーニークな特急列車運行の裏側で普通列車が片隅に押しやられている。地方路線では一時間に特急列車が2本も3本も運行されるのに、普通列車は二時間も運行されないし、普通列車の運行区間は短く接続も間隔が空く。地域の足を果たせる本数ではないし、利用の便はしごく悪い。冷遇といってよいであろう。

そのような見方は皮相的・短絡的なものかもしれない。本来ならばとっくに廃線もしくは三セク化されているだろう過疎山間路線に観光特急列車を走らせることにより、乗客を呼び集め地域興しの一端を担ない、路線を維持しているのである。朝夕に一、二往復走る以外の昼間は疎らに運行されるだけではあるが、路線は維持されている。

過疎地路線の維持という観点からみれば、一つの対応策といえよう。茫猿の青春18切符利用の旅も、九州に入って門司から鳥栖までは大半の旅程で普通列車を利用した。鳥栖以南の多くの移動は観光特急列車や全席指定観光列車を利用したし、利用しなければ円滑な旅はできなかった。こうした方策がなければ、A列車も”いさぶろー”も”いぶたま”も誕生していないであろう。なによりもループ線もスイッチバックも過去の記録に残るだけとなっていよう。 鉄道マニアのためではなく鉄道と云う産業遺産保全策として有効なのであろう。

観光特急列車の名称もユニークだったが、駅名看板もユニークだった。駅を象徴するイラストが駅名看板に入っているのである。鹿児島駅には桜島と桜島大根が、鹿児島中央駅では西郷隆盛と煙を上げる桜島がイラストされている。《サムネイルはクリックで拡大》
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JR九州はタバコ吸いに優しい、ホームの端の喫煙コーナーがまだ残されている。
鹿児島駅のフォーム端っこで「営祇諏鳥起動点」という表示を見つけたが、意味が未だに不明である。
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この旅で利用した青春18切符。大垣駅、出雲市駅、新山口駅、佐賀駅、鹿児島中央駅のスタンプ打刻済みである。
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長崎路面電車と鹿児島市電の一日乗車券
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”いさぶろう”と隼人の風の記念乗車証
20161217isaburo日本最北端・北緯45度の稚内駅、最東端・東経145度の東根室駅は2012年08月に訪れているから、残るは最西端のたびら平戸口駅だけであるが、この達成は自信がない。現在運行中の国内の市電《路面電車》については、北海道、本州、九州は踏破済みであり残すは四国・高知市電だけである。これについては来年早々にも可能であろうと考えている。

全国の路面電車搭乗記と地方路線搭乗記は、固定ページ《ホームページ》に掲載している。 Tram&LocalRailway  地方鉄道 路面電車

これにて、茫猿の長崎・鹿児島市電踏破記は終わりである。またいつか、青春18切符を利用するだろうかと考えてみれば、もうしないような気もするし、今度は家人を同伴して短い距離を楽しむかとも考えるのである。快速利用の一泊二日の近距離であれば家人も付き合うだろうかと思うが、果たして頷くであろうか。《完》

 

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