気塞せりなことばかり

桜の前はなにかと気伏せりなことが多い。巣立ち旅立ちの時季なのに、季節は三寒四温と行きつ戻りつして、思わせぶりなことである。世相も気伏りなことばかりである。PKO派遣自衛隊の現地日報隠し、戦闘行為の武力衝突へ言い換え、国有地の格安払下げ、教育勅語暗唱幼児教育、背後に見え隠れする日本会議などなど 世に気伏せりの種は尽きない。

「南スーダンPKO派遣自衛隊の日報廃棄問題」
政府はPKO派遣自衛隊は五月末にて撤退すると公表したけれど、駆けつけ警護と安保法制改革の関連などからの派遣延長とも言われている。最も気になるのは、現地は安定していると政府・防衛省は言うけれど、廃棄されずに残されていた日報には「戦闘」という文字が幾度も登場することである。何よりも、現地日報という重要な原始データを廃棄することなど有り得ないことであるはずなのに、廃棄したといい、また残されていたとシレット言う政府の怪しさである。

稲田防衛大臣は「憲法9条上の問題になる言葉(戦闘)は使うべきでないから、武力衝突という言葉を使っている。」と国会答弁するが、日報には戦闘と表記している。現地・現場で戦闘行為を認識しているのに、それを認めようとしない国内あるいは政府という怪しさである。戦闘と法的戦闘という言い換え、すり替えも理解できない。戦闘行為に直面している《生死の危険に直面している》自衛隊現場の不信感は如何許りかと思い遣られる。

「森友学園を巡るテンヤワンヤ」
国有地の払い下げ疑惑が本筋であり、籠池理事長のパフォーマンスや安倍総理夫人の名誉校長就任や寄付金問題などは末節である。道路を挟んで豊中市へ野田中央公園用地として売却した国有地9,492㎡の売却価額は14億2300万円である。《単価は150,000円/㎡:正面路線価145,000円/㎡》

森友学園の小学校予定地は野田中央公園とは道路を挟んで西側に位置する。名神高速道路との位置関係も相似している。評価格9億5600万円《8,770㎡:10,9000円/㎡》からゴミ撤去費8億円強を控除した1億3400万円で売却したという。当初価格にしてからが、道路接面条件が異なるとは云え公園用地と比較すれば随分と安い価格である。

当初価格の適否、ゴミ撤去費の積算基準、異常に速やかな払下処理の経緯、などなど糾されなければならない事柄が多いのに、事件は本筋を逸れて三面記事的パフォーマンスに堕ちている。総理夫人寄付金にしてからが、受取を辞退された講演料を付け替えて寄付金と置き換えたという怪説もある。鬼の首を取ったようにハシャグ野党議員も踊らされているのでなければよいけれど。

「教育勅語と倫理教育」
教育勅語の一節である「父母に孝行を尽くし、兄弟姉妹仲よくし、夫婦互に分を守って睦まじくし、朋友には信義をもって交わらなければならない。」を評価する似非政治家は多いのだが、この段落は「爾臣民」から始まる指し示し文なのであり、明治天皇よりの諭しなのである。そして「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壤無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」と続くのである。さらに「是ノ如キハ獨リ朕カ忠良ノ臣民タルノミナラス又以テ爾祖先ノ遺風ヲ顯彰スルニ足ラン」と結ばれる。つまり朕の忠良なる臣民として、望ましい姿を述べているのである。父母に孝養、夫婦相和しなどという徳目を信奉するのは個人の自由であり、批判されることではなかろう。しかし”朕の忠良なる臣民教育を目途とする勅語”を持ち出して語ることではなかろう。

最も危ぶむのは、日頃は教育勅語などを持ち出す輩に限って、一旦緩急アルトキニ義勇公ニ奉スルコトナク、御簾の陰に隠れてしまうことである。現地日報が”戦闘”と伝えているのに、自らの政治的目的のためには知らぬ振りをする輩も同じ穴の狢たちであろう。

《今日の寒緋桜》

《つぼみ膨らむ》

《今日の伊吹、桜の開花まで雪が残れば良い絵が撮れる》

 

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