柿若葉

鄙桜も大島桜も葉桜となった我が陋屋であるが、今は遅れて咲く山桜や八重桜それに御衣黄桜《ギョイコウ》が咲いている。これから、平戸、皐月、小手毬、山吹、芍薬、牡丹などなどが咲き競う季節となる。花々だけではない、なによりも芽吹く若葉が年に一度の華やかな彩りに茅屋を粧う季節である。畑だってエンドウやジャガイモ、ナス、トマトなどが咲き競うのはもう直ぐである。

楓、楠、桜、杉、松、それぞれがそれぞれの若緑、浅緑に粧うグラデーションは山笑う季節であり、鄙の雑木林も笑うのである。写真は”柿若葉”である。

雑木林の木陰にはこの時季の陽射しにふさわしい著莪《シャガ》が咲いている。

今日は歯科の定期検診の帰りに、岐阜市内の大型スーパーに立ち寄った。売り場の筍を品定めしていると、茫猿と似たような年格好のご夫婦が隣で思案されていて、品よく齢を重ねられた奥様から「お高いですわねー!」と声をかけられた。

茫猿 お応えして、「そうですねー、でも年に一回のことですから。来年も出会えるとは限りませんから。」、「私も帰ったら家内に贅沢なと、叱られると思います。」、「それでも、この季節、君に食べさせようと買ってきた。そう弁解するつもりです。」

互いに微笑みながらお別れした、あのご夫婦が筍を求められたかどうかは知らない。茫猿は”お高い筍”に炊き合わせる飛騨牛も求めて帰宅した。年に一度のぜいたくと、心底思うようになった。河豚も鱧も筍も翌年にも《生きて》出会えるとは限らない、出会えたところで美味しく食せる歯・舌・眼を持ち合わせているとも限らない。

だから、持帰った筍は大袈裟でもなんでもなく、一期一会なのである。今宵は飛騨牛筍炊き合わせ、筍飯、若竹汁、木の芽田楽を楽しむのである。庭の山椒木の芽も野三ッ葉もいまが食べごろなのである。

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