鑑定士修了考査-1

不動産鑑定士の実務修習機関である連合会の修了考査委員会は、1月12日(金)に第11回修了考査・論文式の考査のテーマを以下のとおりにホームページに公表した。
第11回修了考査・論文式考査テーマ
回答の文字数は800字以上1000字以内で、提出締切は平成29年1月19日(金)までである。
頭の体操のつもりなどと軽いノリで綴ってみたものを、提出締切が過ぎたから記事にしてみる。すでに化石どころか痕跡すらもオボロな勘程士茫猿であるから、的外れであれば御容赦あれ。

(設問1)対象不動産(商業地)の物的確認において活用した資料を3つ掲げて、それらを(ア)何処で収集して(インターネットを利用した場合にはアクセスした機関・部署等を明記すること)、(イ)どのように活用し、さらに(ウ)実地調査においてどのような点に留意したかについて述べよ。

物的確認資料を具体的に述べると、土地については位置図、登記簿(謄本・登記事項証明書)、不動産登記法による地図または地図に準ずる図画(以下、公図という)、仮換地証明書・仮換地図、実測図等があげられる。建物等については建物等の配置図、各階平面図等、設計図書、建築見積書、固定資産税評価証明書等がある。上記確認資料のうち、3つをあげるとすれば、土地建物登記簿、公図、建物配置図であろう。1/2500程度の縮尺の都市計画用途地域図も持参することが望ましい。

(ア)これら資料の収集場所は登記簿、公図、建物配置図・各階平面図については、対象不動産所在地を管轄する法務局であり、固定資産税評価証明書は同じく管轄市区町村役場税務課である。法務局はオンライン登記情報サービスが提供されており、インターネットを経由して平日の午前8時30分から午後9時までであれば有料にて不動産登記情報、地図情報(公図)、図面情報(建物関連)が入手できる。各法務局・地方法務局のホームページは法務局サイトよりアクセスできる。

建築物の階数、高さ、建築面積、延べ面積、配置図等については、建築計画概要書の閲覧制度を利用して、市区町村役場建築指導課等において閲覧できる。設計図書は不動産鑑定評価依頼者を経由して、所有者等より入手する。

(イ)これらの資料を対象不動産の物的確認において、どのように確認したかといえば、
(a)土地については実在の有無、規模及び範囲形状の確認であるが、範囲形状については公図と現地との照合が必須である。境界杭や塀などの標識等で境界が確認できればなお良い。境界確認の際に都市計画用途地域図により対象土地の範囲が異なる用途地域にまたがって所在する場合は、防火準防火地域の範囲も含めて実査確認が必要である。

(b)建物については実在の有無、構造・階層規模等について登記簿記載内容と現地建物とを照合する。増改築のみならず、内外装の改装及び修繕の有無並びにその良否についても実査する。

(c)さらに設計図書や建築計画概要書が入手できていれば、各階の間取り・内装及び設備について、設計書との異動、修繕改装、取替の有無等について実査確認する。

(ウ)実地調査において確認する際に留意した事項は、
(a)登記済建物が実在するか否か、すなわち取り壊されていないか、あるいは取り壊し後に未登記建物に置き換えられていないか、増改築されていないかについて留意確認する。この際にインスペクション資料があれば参考にするが、同時にインスペクション実施項目《詳細は省略》についても確認するべきであろう。

(b)対象土地と隣接地の所有者が法人と法人に関係する個人である場合や、個人間であっても親族等の縁戚関係にある場合には、登記済み建物あるいは未登記増改築建物等が隣接地にまたがって所在する場合があり得るので建物配置図を基礎にして実在位置を確認する。逆に隣接地上建物が対象地上にはみ出している場合もあり得るので留意する。

(c)稀に建物登記簿記載事項と固定資産税評価証明書記載事項が相違する場合がある。登記時点と固定資産税所管課確認時点の違いによるものであったり、両者の実査内容の違いなどによるものであるが、両者の異同と評価時点実査との相違を明らかにしなければならない。構造・階層・規模のみならず、実際の用途についての異同にも留意しなければならない。

修了考査第二問については、次号記事に掲載する予定である。【鑑定士修了考査-2
《ここまでの総文字数は約1800字であるから、推敲の上で制限字数以内に要約することが必要である。》

ツボミも膨らみつつある鄙桜にやってきて、さえずっているヒヨドリ。

 

 

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