地価マップ、連合会の企画推進力-1

過日(先月末のこと)、某SNSにおいて、Land Value MAPなるものが紹介されていた。この紹介コメントの中で、コメント氏は「これ、本来はわれわれの仕事ですね。」と述べていた。このコメントに某氏は「『 これ本来はわれわれの仕事ですね。』デスネ!! ほんの数名の人でも、オープンデータだけでこういうモノができてしまうのが、今の時代なんですね。」とフォローしていた。

この書き込みを読ませていただいて考えさせられたことが幾つかあった。一つは公開データと地理情報システムについてであり、もう一つは「我々(不動産鑑定士業界)の仕事」と云う感覚のその後についてである。

全国地価バリューマップ」について、事業を推進している日建設計綜合研究所は同社サイトでこのように述べている。『一例として、オープンデータ<「地価公示データ」と「都道府県地価調査データ」>を活用することで、全国を対象として1983 年から現在に至るまで、都市構造・都市力の変化を多様な観点から分析・評価・把握する”地価バリューマップ:Land Value MAP【全国版】”を作成しています。』

当マップを活用することで、次の事項等が可能となります。
① 時代の変遷とともに都市構造・都市力がどのように変わってきたかを直感的に把握
② 一定の期間における平均的な地価上昇に対しより上回っていたか(下回っていたか)を分析
③ 大規模都市開発や鉄道開業等の個別プロジェクトの実施が土地のバリューにどのような影響をもたらしたか等について評価 《引用終了》

地理情報システムを活用する上で欠かせないのは、当然のことながら地理情報システム及びデジタルマップの開発並びに進捗である。地理情報についてサイトは、【背景地図】 について国⼟交通省国⼟政策局 国⼟数値情報 「⾏政区域」、「鉄道」、「鉄道時系列」、「⾼速道路時系列」、「都市地域」をもとに⽇建設計総合研究所が編集・加⼯すると述べている。

地理情報システムに搭載するデータについては、【地価データ】は国⼟交通省国⼟政策局 国⼟数値情報 「地価公⽰」、「都道府県地価調査」をもとに⽇建設計総合研究所が編集・加⼯すると述べている。

以上のことを別の言い方をすれば、地理情報も地価データもアナログデータをデジタル化の上で公開されていたと云うことであり、道路も河川も駅も地価公示標準地も地価調査基準地も緯度経度情報(座標値)が付加されて公開されていると云うことである。

決してLand Value MAPの成果を揶揄する意図はないが、Land Value MAPは国土数値情報、地理院地図と云う公開地理情報に、同じく国土数値情報・地価情報を搭載するものである。もちろんのこと両者を結びつける企画力、そして両者を編集・加工する技術力とマンパワー及び資金力があっての成果である。

「本来は我々(不動産鑑定士業界)の仕事」と云う感覚だけで『 編集・加工』を為し得るものではない。ひとり(一事務所)で為し得るものでもない。それでも日本不動産鑑定士協会連合会であれば為し得るのではなかろうかと考えるのである。あとは『 やる気』ではなかろうかと考えるのである。

また連合会であれば、公示・調査に加えて固定資産税標準宅地価格情報や不動産価格指数その他の地価関連情報も加えて、さらに詳細な地価MAPの作成ができ得ようとも考えるのである。全国域に拡大しつつあるDI調査結果を地価MAPにリンク編集加工すれば、過去の推移だけでなく将来予測まで含めた地価マップが作成公開できようと云うものである。なにせ連合会は、不動産価格についての専門家集団なのである

◉このようなITによる情報のコモディティー化が進む中で、専門家としての存在価値は、情報を収集、集約化し、わかりやすい形で表示することはもちろんのこと、個々のデータから明示されていない行間や因果関係を読み、またそれを予測や世の中で発生している問題解決にあたり説得力がある形でどのように生かしてゆくのかということなのだと思います。(2012/12/22 「鄙からの発信」掲載)

◉主題図は市区町村毎の表示の他、メッシュ地図や座標値(緯度経度)表示も検討されるべきです。 座標値表示は「ヒートマップ」表示することにより、より視認性を高めるものと期待できます。ヒートマップは変数や観測値の関係を同時に可視化できる方法であり、クラスタリングをして距離の近い(関連の強い)変数、観測値を並べ替えてくれるものであり、直感的に把握しやすい地図です。 また、ヒートマップでデータを観たあと、クラスタリング・予測に繋いでいくこともできるものです。(2013/2/2「鄙からの発信」掲載) ※「ヒートマップ」の例示

MANDARAが紹介している、国土数値情報地価公示データを地図に展開した結果を見れば地価MAPの先行形態が見て取れる。地価公示価格の年次データ座標値をデジタル地図に展開した上で、大縮尺地図《1/5,000以上》にて見れば個々の地価公示地点の位置が詳細に示されるのであるが、これを小縮尺《1/500,000以下》で展開すれば、あたかもヒートマップの如くに見られるのである。(2013/4/4「鄙からの発信」掲載)

何も予見を示したいのではない。2012年2013年当時の連合会において、NSDIやREA-MAP事業を推進するなかで、既に地理情報と地価情報のリンクする姿は予見されていたのであり、連合会もその気になれば「地価マップ」をウエブで公開できていただろうと考えるのである。

連合会サイトは良く出来ていると思える。ビジュアル化も進んでいると考える。とは云え、連合会サイトは不動産鑑定士と連合会事業のアピールに傾き過ぎてはいないだろうか。それも良かろう、一つの姿である。でも多くの人々が関心を抱くのは「不動産鑑定評価や連合会の今」ではなく「地価の推移」であり「都市の盛衰」ではなかろうか。連合会はネット世界に何をもって自らの存在感をアピールしようと考えるのであろうかと、茫猿は考えるのである。

「我々(不動産鑑定士業界)の仕事」と云う感覚のその後については、次号記事に続ける。「地価マップ、連合会の企画推進力-2 

【閑話休題】果樹畑にビワの花が咲いていた。ここにも春である。

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