銀座・泰明小学校・アルマーニ

銀座5丁目・泰明小学校(中央区立・域外通学可能な特認校)において、通学服に総額八万円にもなるというアルマーニを標準服(制服とはニュアンスが異なる)に選定したというニュースがネットを中心に駆け巡った。公立校にあるまじき贅沢などと軽々に批判できない背景が存在するようである。

泰明小学校は銀座という超ブランド地区に存在する区立小学校であるが、学区内居住者の少ないというよりほとんど居ない銀座を学区とすることから、都心過疎地区小学校である。だから特認校として学区外通学者を受け入れいているが、それでも生徒数350人余12学級という小規模校である。普通ならとっくに廃校になっていたであろう小学校であるが、歴史的建造物を有するブランド校であるが故に存続してきたし、存在感もあったようである。学区外通学者を抽選で受け入れていることから、保護者にもブランド校意識が存在していたようである。また卒業者の多くが私立中学を受験するという背景も存在するようである。(中学校の学区は銀座中学校

抽選選抜とは云え学区外通学を認めることから、保護者や学校関係者にもブランド意識が存在し、そのような背景がアルマーニを標準服に採用させたようである。また一学年60名前後だから、販売数も僅かでありしたがって独自服を作れば価格も高くならざるを得ないということも云えよう。

域外通学者の多い特認校だからこそ、(校区外で泰明を認識させる上で)標準服が必要だったのかもしれない。いっそのこと標準服などやめてしまえば良いのである。標準というものは誰かが指定したり制定したりするものではなく、自ずと生まれてくるものと考えて標準とか平均とかに惑わされてはいけないのである。

公立校という制約、保護者及び校外関係者のブランド意識などが泰明小学校の特異性も生み出していたと云えよう。学校長や教職員がそのはざまで苦しんでいたとも云われている。区立でなく私立であれば、どんなブランド服を標準服に採用しようと許されよう。(着用指定ではなく標準に過ぎないが、事実上の制服。標準以外を着用すればイジメの対象にならずとも、揶揄・囃し立ての対象になりかねない。)

区立泰明小学校と云えども、次年度から抽選入学を希望する保護者には標準服八万円(最低限揃えるのであれば約四万円)を、入学案内に明記すれば事足りるのであろう。《学区内に居住する小学生の保護者から、公立としては高すぎるという批判は避けられないであろうが》

公立校の衰退(部分的には荒廃)が云われて久しく、私立小中学校の隆盛が云われている東京という地域において、公立校のあり方がここでも問われているのであろう。学費の高い私立と安い公立が併存してゆくなかで「教育」とは何か、行政も含めて校外関係者はこの公立・私立併存にどのように向き合うべきかが問われているのであり、高学費負担可能な希望者が私立校に通えば良かろうでは済まされない問題を孕んでいるのであろう。

小学校もまた社会の構成要素の大きな一つであり、現代社会が抱えている矛盾を端的に示す縮図なのであろう。”二項対立”などと等閑視していては済まされない。

翌年の四月から使用するランドセルについて、ブランド品はほぼ入学一年以上前から予約が始まるという現実に直面して、戸惑っている祖父母が此処にもいる。戦前生まれの祖父からすれば笑えてしまうことなのだが、スノビズムと笑っていると祖母や父母から白眼視されてしまう「ブランド・ランドセル獲得競争」という現実が此処・鄙にも及んでいる。「何なのだ!?」と言えば、世捨て人扱いされてしまうのである。

親が選んだ服を着て、選んだカバンやバックパックを背負って通えば良かろう。幼いうちから独自性とか”オンリーワン”、”人は人、我は我”などという意識を身につけることも大切だなどという教育観は、多勢に無勢、見事に討ち死にするのである。そしてまた、標準というモノトーンの中に我が孫も埋没してゆくのであろうと言えば大袈裟すぎるか。

 

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