GIS,基礎資料整備

某SNSにて、03/02 シンポジウム後の懇親会席上でGISについて聞きたいと、茫猿を探してた方がいたと伝え聞いた。今更に老兵がGISについて語るなど烏滸がましいが、長年取り上げてきたテーマでもあるし、「鄙からの発信」でも度々記事にしている一案を記してみる。

前号記事でも書いた事であるが、GISを重視するということは単にデジタルマップを使うということではないのである。鑑定評価とGISのリンクという視点から云えば、取引資料も賃貸資料も建設資料も写真も、デジタル化可能な所在地を有する資料《パソコンに入力する資料》全てに、座標値《緯度経度情報》を持たせるということなのである。汎用性の高い制度設計の上で、日頃からのデータ蓄積がとても重要なのである。

公的評価においてのGIS利用は格段に進んでいると認められるが、GISを利用した属性データの取得並びにその結果に基づくマクロ的解析は03/02シンポジウムの成果発表に認められる段階にある。さらにマクロ的視点からの解析などを進めてゆくためには、「R」などのさらなる活用が待たれているのであろう。

もう一点を付け加えれば、ビッグデータについて統計解析ソフトを駆使してするマクロ的解析が、不動産鑑定評価にどのように位置付けられるかについて、日鑑連内のコンセンサスが得られていないのが実情であろう。したがって、データの取得・整理に活用されるGISの導入も進んでいないし、解析結果の表示にGISを活用することも進んでいない。

それらの観点から、「GISと写真」について一つの提案を記事にする。
⒈地価公示標準地、地価調査基準地、採用した取引事例地、賃貸事例地に関わる写真を、座標値を付与した上でネットワーク上に保存しようと云う提案である。

2.保存方法について、一番簡単なのはスマホで撮影しクラウドシステムに送信保存する方法である。スマホであれば撮影と同時に座標値《位置情報》が自動的に付与されるし、最近のデジタルカメラも位置情報の取得は必須となっている。写真のトリミングなどの補正は不要であるよりも、補正そのものが無益である。加工補正はシステムと利用者が行うのである。

3.送信先のクラウドサービス《外部のサーバーにデータを保存して、いつでも、どこからでもデータを取り出すことのできるシステム》を立ち上げれば、自動的に写真と付属情報が保存されるものであり、システムネットワークに参加する者は誰でもこれらのデータを利用できるのである。

4.このシステムはスマホやタブレット利用がもっとも簡便であるが、スタンドアローンPCを利用する場合でも、PC内に保存する写真データあるいは接続するデジタルカメラから、ネットワークを経由してクラウドシステムにデータ保存が可能である。

5.それで何ができるのか可能なのかについては、あえてふれない。クラウドシステムの特性としてネットワークに参加する誰もがデータ利用が可能なのである。何が生まれてくるかは判らないのである。とりあえずは標準地・基準地・事例地の現況確認が可能であり、確認することにより属性データの再検証も容易となる。

何ができるのか可能なのかについて、あえて触れないと書いたけれど、既に画像認識技術を活用した「画像ビッグデータ解析サービス」の提供が開始されているのである。詳しくは提供業者のサイトを参照されたい。

6.複合不動産取引事例についていえば、配分法の検証も可能となるし、撮影時点の状況とその後の変化の確認も可能である。単年度でも様々な効果が期待できるが、データ蓄積期間が長くなれば時系列変化も読み取れるであろう。定性的属性要因についても短い主観的な文章よりも写真の方が多くを語ってくれることであろう。

7.GISは日進月歩である。写真の読み取りスタイルもどんどん変化している。この写真データの利用方法にどんな未来があるのか、今は予想の範疇でしかないけれど写真から様々な属性データを自動的に抽出される日もそんなに遠くはないであろう。

8.ファイルネームをどうするかは議論が別れるところであろうが、公示地事例地等が付与されているユニークコードを利用するのが基本であろう。写真に付与するためには、公示地事例地等元データのスマホへの書き込みが必要であるが、その辺りはクラウドシステム利用アプリを開発する際に押さえておけばよかろう。公示地事例地等元データのスマホへの書き込みは、スマホのナビシステムと併用すれば現地調査が効率的になるだろう。

データ蓄積を今から始めれば、三年後五年後のGIS利用世界の広がりが期待できるし、何よりも事例資料等利用者にとってビジュアル化が大きく進むのである。採用事例の選択だって、デジタルマップ画面上からサムネイル《親指(thumb)の爪(nail)、視認性を高めるために縮小させた見本のこと》写真を見て選択できるようになる。

セキュリテイについてはクラウドシステム提供者に委ねておけば十分であろう。最も大事なことは、現時点でのシステム導入効果を取り上げてはならないのである。日々進歩してゆくデジタル世界において、どのようなデータ利用方法が開発されるか分からないのである。その時にデータの準備を始めるよりも今から備えようと云うのであり、だからこそ汎用性の高い柔軟なシステム設計が肝心なのであり、必要以上に作り込み過ぎてはいけないのである。多くの場合に往々にして間違えるのは、利用者の便宜を図り、様々な要求に応えようとしてシステムを作りすぎることである。

取引事例資料とGISについても少しふれておこう。取引データの0次から3次までのどの段階でも良いが、この段階でジオコーデイング《関連する地理座標(典型的には緯度・経度)を付加する》を施しておけば、以降の利用段階では必要に応じた属性情報の取得が可能となる。地価公示様式の属性データに拘泥することなく、地域特性に応じた属性データを用いての解析も鑑定も可能となる。0次データのデジタルマップ展開だけでも、様々なことが見えてくるであろう。

 

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