造幣局通り抜けとヤキソバ桜

2018/04/12 大阪造幣局・桜の通り抜けに行ってきたのだが、不動産鑑定士にあるまじき方向音痴を露呈し道に迷ってしまった。現役を離れて八年、今自分が何処にいるのかさえ判らなくなる始末で、同行した家人からは認知症発症を疑われる有様だった。大阪の街は知っているという過信が招いた不始末であるが、知っている大阪の町は半世紀も前のことであり、確かな地図も準備もなしに街歩きを始めたせいで、一時は軽いパニックになってしまった。

《認知症発症を疑う》
最初は新大阪から乗車した地下鉄御堂筋線を、淀屋橋駅で降りて地上に出た時である。地上に出たのが御堂筋であるのに、南北筋である御堂筋ではなく東西通りと勘違いしたのである。記憶する御堂筋よりも通りを狭く感じ、何よりも銀杏並木が若木すぎると思ったのだ。茫猿の記憶する銀杏並木は頭上に覆い被さる巨木なのに、目の前のイチョウの木は二十年前後の若木なのである。後ほど調べたら落下するギンナンが道を汚すので、実をつける雌木から実をつけない雄木に植え替えられているのだという。道幅を狭く感じたのは建て替えられたビルの高さとの対比による錯覚だったのであろう。

淀屋橋駅から御堂筋に出て高麗橋通りを東に向かい堺筋に至れば、予約してあるホテルに一直線で至るものを、北進して大川沿いを東へさらに堺筋を南進するという迂回をしてしまったのが最初のつまずきだった。《この段階で大阪に詳しいという家人の信頼は危うくなった。》

ホテルにチェックインしてから、造幣局に向かうのであるが、ここでも初歩的なミスを犯してしまう。堺筋を北進し中之島を越えてから大川の北側を川沿いに東へ向かえばこれも難無く造幣局の入り口に至ったものを、なぜか南側の土佐堀通りを歩き、阪神高速高架や葭屋橋、今橋が交差する場所で方向感覚を失い現在地も判らなくなったのである。それでも天神橋を渡れば問題無いのに、行きすぎて天満橋に辿り着くまで右往左往して、家人の信頼は完全に無くし、自らも現役を退いて八年、ついに認知症を発症したのかと自信を喪失したのである。

全ては半世紀も前の記憶に頼りすぎたことにあるのだが、それにしても確かな地図を用意するなり、自らは持たないが家人の持つiPhoneをしっかり利用するなりすれば避けられたことである。それ以前に、通りの名前を一つ一つ確認していれば迷うことも無かったのであろう。いずれにしても初歩的なミスを犯すようでは鑑定士返上なのであろう。

堺筋の高層ビルの谷間に残されている道修町の薬種商・旧小西家住宅。伝統的土蔵造りの商家であり、周辺のビルに負けない存在感がある。何でもかんでも取り壊して高層化はしないという上方商人の気概も見る思いがする。

こちらはホテルの近くで見つけた花菱アチャコのたこ焼き屋、幼い頃にラジオで親しんだアチャコの名前は懐かしく思い出したけれど、店に入る勇気はなかった。いかにも大阪らしいと云うよりも、ここは北浜なので、悪ノリヨシモトという感じだろうか。

《興醒めだった造幣局通り抜けの桜》
大川沿い約500mの通り沿いに植えられている134種類349本の八重桜の並木である。天候は曇りだったが、ちょうど満開見頃を迎えた桜はどれも見事なものだった。薄紅を引いた手毬のような桜あり、薄す緑がかかった桜あり、若葉とのグラデーションが美しい白い桜ありで、どの桜も楽しませてくれた。

あるはずの御衣黄桜を探したが、人並みに押されて歩くなかで見つけられなかった。代わりに鬱金桜を見かけた。これら写真の桜すべてに樹名札が付いているのだが、ほとんど確認できていない。名前などどうでもよいので、一花ひと花を楽しめばいいのだ。

造幣局南門(天満橋側)から北門(桜宮橋側)への一方通行(距離約560メートル)の通り抜けであり、この日の入場者数累計は115、000人であるから、混雑もあり長く立ち止まることが許されないのも当然のこととして理解できる。

けれども「おもてなし」とは違うだろうと残念だったのが、日本語、英語、中国語、韓国語による騒々しいアナウンスである。「立ち止まらないで下さい」、「桜に触れないで下さい」、「前の方に続いてお進み下さい」連呼また連呼である。せめて、要所要所でのプラカード掲示にしてくれたら、風情を損なうこと少なかろうにと思うのである。

さらに加えて、場外大川沿いに連なる屋台の群れである。この屋台の群れのなかを北門から出て天満橋へ戻る人並みが続き、その人並みに向けてソースの焦げる臭いを浴びせている。この臭いが通り抜け桜並木に漂ってくるから、匂うはずの桜の香りがソース桜になってしまい、甚だ興醒めなのである。浪速のヤキソバ桜なのである。

《番外》旅をスタートさせた大垣のマンホール

《旅は翌日、高野山の桜へと続く》

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