退院その後

04/21よりほぼ二週間の入院を経て、05/03に退院後の経過を記しておく。後と云うには間を置かないものではあるが、これも記録である。後遺症で記憶が薄れたり途切れたりするやも知れず、その確認の意味も含めている。

《05/04よりの日常生活》
概ね午後10時就寝、午前4〜5時起床。今朝は02:30に目が覚めたから、トイレを済ませこの記事を書き終えたら、二度寝をするつもりである。朝夕の二回血圧を計り記録している。早朝に正信偈一巻を誦唱ののちに周辺を散歩する。距離にしてまだ2kmくらいであるが、徐々に伸ばしてゆくつもりである。

《服用している薬・計四錠》
ブラビックス錠75mg、血液を固まりにくく血流をよくし、血栓ができるのを抑える。
パリエット錠10mg、胃酸の分泌を抑え、胃や食道の炎症を改善する。
ジャヌピア錠50mg、血糖を下げる。
アムロジンOD錠2.5mg、抹消血管を拡げ血圧を下げる。

《再発症のリスク》
脳梗塞は早めに発見して治療をすれば、血栓がなくなるので症状が緩和されたり改善されるから、生命に対する危険は一旦遠のく。しかし、完治した訳ではない。脳に血栓ができる原因が除去された訳でなく、原因が生活習慣にあれば再発するリスクは高い。完治した人の約20%から30%は3年以内に再発するというデータもある。

しかも、脳梗塞は再発をするたびに症状が重くなると云う。最初は早期発見で軽度の症状で治ったとしても、もう一度起きた時にはそれよりも重症になる。脳梗塞は日本人死因の3位、介護が必要となる病気では1位になっている。死期が予告されたり突然死するガンや心筋梗塞と違って、なかなか死ねず(介護する側からすれば、なかなか死なず)周りに迷惑をかけると云う厄介な病なのである。

《垣間見た介護の大変さ》
たかだか二週間の入院生活でも、介護の大変さと本人の惨めさを否応無く味あわされた。個室を希望せずに四人部屋に居て、入れ替わった合計6名の相室患者を眺めて一日を過ごすのである。「お水にトロミを付けましょうね。」、「あらあら、こぼれて濡れてますね。オムツを替えましょうね。」、「どうされました。エッ、エッ、ハイハイ。」 それぞれの患者の担当ナースが入れ替わり立ち替わりやって来て優しく声をかける。

見舞いに来てしばらく付き添う家族(たぶん妻)も、まだまだ優しい。「今日は平成○○年○月○日ですか? 何曜日ですか?」、「○○の従兄弟の○○さんよ、わかりますよね?」、「売店でオムツを買って来ますからね、何か欲しいものは。」

闘病生活が長くなったり、施設に暮らすようになれば、介護の人手も足りなくなるし、介護する家族だって疲れ倦んでも(つかれあぐんでも)くることだろう。新聞の三面記事を想像しながら、我が身に置き換えて隣の病床の主を日がな一日カーテン越しに眺めている。先ほどは粗相でもしたか、下半身剥き出して車椅子に乗せられトイレに運ばれて行った。

脳梗塞を患うと云うことは、既に人間の尊厳性を何処かで棚に上げざるを得ないところがあるのだ。尊厳性の維持と介護の充実・充足度とはなかなかに両立し難いものなのであろう。だからこそ、再発させないことが重要だろうし、再発すれば如何にして逝くかも等閑にできない。糞袋(臭う皮袋とも云う)と化してなお生き恥を曝したくないものである。

西部邁氏とか江藤淳氏とかのことをどうしても考える。自殺幇助者と云う逮捕者を出した西部邁氏(78歳没)の手仕舞いには賛成できない。 自死した江藤淳氏(66歳没)の遺書についても今はまだ語れない。「心身の不自由は進み、病苦は堪え難し。去る6月10日、脳梗塞の発作に遭いし以来の江藤淳は形骸に過ぎず。自ら処決して形骸を断ずる所以なり。乞う、諸君よ、これを諒とせられよ。」

《明らかに蛇足》
既にして、喉元を過ぎたれば、口煩い人が身近にいる。老々介護の厳しさを、二週間二日に一度、毎時一往復の定期バス便を利用する通院騒ぎで味わったのであるから、無理からぬことと理解はしている。だから「触らぬ神に祟りなし」である。

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退院その後 への3件のフィードバック

  1. 福田勝法 のコメント:

    まさかと、言葉を失いました。あんなに健啖で、繊細な茫猿様が、入院されているとは。奥様のお気遣いで、家での食事等きちんとコントロールされておられると思っていました。でも、回復のご様子、ひと安心しました。どうか御身お大事になさって下さい。また、お会いできる日を心待ちにしております。

    • Nobuo Morishima のコメント:

      寄る年波には勝てず、誰しもが辿る道に我も到ったに過ぎないことです。記事に記すとおり、隣の病床の患者を眺める余裕があったと云うよりも、今回は躱したものの次は危ういぞと囁く声を聞いていました。

  2. 武井輝雄 のコメント:

    森島先生 ごぶさたです。久々に鄙の世界へと立ち寄りましたら、脳梗塞と入院の文字が目に入り、驚き、桃ノ木、山椒の木でありました。
    文章はさらに研ぎすまされて、簡潔、明瞭、もはや、作家の領域ほしいまま。梗塞の片鱗もありません。慎太郎さんも脳梗塞で、靴紐結べず、散歩中、居所不明になった由、書いておりましたな。当方も4本手足の痛みと痺れに耐え切れず、先日、多飲、酩酊、地球と喧嘩し、顔面強打、血だらけの顔となり、かさぶたとれるまで、苦労しました。宮本さんにTELしたら、母ちゃんと先生に会いに行ったとのこと、入院の話はなかったべし。

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