この冬に干し上がった池を眺めていると六年前に漏水防止のために行ったコンクリート板の擁壁がぶざまに見えて仕方なく、今一度石積み擁壁に戻してみようと考えた。年々衰える体力でどこまで出来るのか定かではないが、暇にまかせて時間をかけて挑戦してみようという訳である。《2019/01/29工事開始、2019/02/09終了》
先ずは以前の漏水防止工事の様子を振り返ってみよう。鄙池そのものの顛末については前号記事「鄙の野池顛末」に記述する。
《2013/04/17撮影》次の写真は六年前のコンクリート板擁壁の建て付け工事がほぼ終わったところである。このコンクリート板の背後に見えている石積みを復元してみようという試みなのである。この工事の最中に、中村と松田が訪ねて来てくれた。 『晴掘雨読 2013年4月17日 』 この来訪から四ヶ月後に脳梗塞で倒れ、2015.06.28に永眠した中村の最後の我が鄙里来訪だった。
中村は若い頃を除けば、2011年に続く二度目の来訪だった。2011年の訪問時に「晴耕雨読の日々」はこう綴っている。「2011.11.12 中村と松田が訪ねてくれた。半日呑み食べジオラマで遊んでくれた。 中村は明日から新しい抗ガン剤治療を始めるという。辛いことだ。 」 山茶花の花開く 2011年11月13日
《2013/04/23撮影》試験湛水を始めている。この後に鯉を放流するが、先に述べたように青鷺と川鵜の餌食となってしまった。一連のいきさつは、「青鷺 鯉」あるいは「池 工事」などで検索すれば関連記事のリストが得られる。
《2014年6月頃撮影》防鳥網を掻い潜って襲って来た川鵜や青鷺に食べられてしまう前の池の鯉である。
《2019/01/29撮影》今回の工事の様子である。擁壁の1/3程度が撤去終了。
《2019/01/31撮影》工事は今日で開始から四日目が過ぎた。午前中の約4時間程度しか動いていないが、それでも筋肉疲労が溜まって来ているようだ。今日は昼過ぎにフラついて尻餅をついてしまった。握力が無くなり微妙な筋肉痛を感じる。僅かだが溜まっている水をポンプで排水するのと、大きな石をチェーンブロックで持ち上げ移動する作業を行う。
埋もれているかと予想した擁壁工事以前の石積みは、ごく一部が出現しただけである。前回の擁壁工事の際に石積みの石をほとんど全て掘り上げてしまったようである。六年ほど前のことなのだが、詳しい工事詳細を思い出さない。それにあの頃はまだまだ体力があったのだなと、つくづく感慨深いものがある。
《2019/02/04撮影》”出る杭は打たれ、出過ぎた杭は切られる”というが、擁壁を支えていた杭の約半分は長い”ハサ杭”を梃子に使って抜いたけれど、抜けない杭は切り落とした。元々の石積みがあった場所に石積み基礎を築造して、計画している石積み擁壁の基礎部分はほぼ終了した。あとは基礎部分の土砂が落ち着くのを待ってから、石の様子を見定めて積み上げるだけである。完成は今月末を予定しているが、慌てることはない。基礎を修復したせいか、昨夜の雨で水量が少し増えている。
杭の内側にあった排水口が杭(新しい基礎杭)の外側になっている。それだけ石積み基礎を後退させた。
《どうでも良いことを詳細に飽きもせず綴っているには訳がある。この記事の冒頭や前号「野池の顛末」にも述べたことだが、かつては工事中や工事後に様々な人がやって来て、様々に評してくれた。村山さん、中村くん、村北くん、近藤くん等々それに父母もいたけれど、もう誰も訪れない。だから顛末を記事にし、経緯を記録してアーカイブに加え慰めにするのである。
《2019/02/07 発掘調査》
石を積み上げるために土砂を取り除いていたら、多くの石が現れた。全ての石を掘り上げたにしては、石の量が少ないなと思っていたので、納得している。除去した以前の擁壁よりは随分と後退させたつもりだったけれど、後退距離がまだ足らなかったのである。池の現状・2019/02/07
《石積みの復元完成》
埋もれていた石を掘り上げて積み直して、石積み護岸の復元は終了した。優に30kgを超えるであろう石の掘り上げ積み直し作業は体力を消耗する仕事である。握力がなくなり腰や太腿など節々の疲労感が大きい。ぎっくり腰にならないよう注意してツルハシを振るい、シャベルや掛矢を使った。ポンプアップなど特に水を入れることはせずに、雨水や江川からの流入にまかせ、水位が上がってくるのを待つつもりである。漏水が止まっていれば、梅雨の頃までには満水になるであろう。残る作業は滑り止めにバラスをまくだけである。
(家人曰く)『お寒いなか まことにご苦労様なことでした。』
その後の池、今はまたこれよりも水位が下がっている。
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