泳ぐ目 泳げぬ日々

二月も半ばを過ぎた鄙里では、池の石積みが終わり水位は満水状態である。梅の開花は進み白梅が七分咲き程度か、紅梅は満開時を過ぎつつある。マンサクや寒緋桜の蕾は膨らんでおり、開花もそんなに遠くない。鄙里は春の息吹が満載なのに世間では気鬱なことばかりである。


《2019/02/06》千葉県野田市の児童虐待死亡事件で記者会見する教育委員会事務局や児童相談所関係者の人たちの様子をテレビニュースで見ていて考えたことがある。

記者会見に応じる教委事務局次長や児童相談所長などの関係者は、記者の厳しい質問を受けて、目が泳いでた。児童福祉は専門外の彼らにとって気の毒なことだと思われた。専門職と違って一般管理職・公務員は長くても三、四年で移動してゆくものであり、税務畑から土木畑へ、次は福祉畑へと移動を重ねてキャリアを積んでゆく。人気分野もあれば歓迎されない分野も存在し、多岐にわたる行政であれば数年毎の人事移動はやむを得ないことである。

であれば、偶々に事件に遭遇し記者会見に引っ張り出される不運を嘆いていたとしても責められないものがある。また、加点主義ではなく減点主義をモットーとする組織の趨勢からすれば、事勿れに陥ったとしても、これも一概には責められない。福祉関連業務がマイナーな位置づけなのは、行政組織に限ったことではなく、社会全般においても同様であろう。

今回の問題は根深いものがあろう。児童福祉や介護福祉の専門家養成と行政における確たる位置づけ、当然に予算的な裏付け、さらにはワーキングプアに陥っている親たちの問題解決や支援対策などなど、考えさせられることがらは多い。親権を大切にすることは良しとしても、虐待が疑われる時には児童相談所に調査権限や一時的な親権制限の権限を付与して児童保護最優先の原則を確立すべきだと考える。

《2019/02/10》安倍晋三首相は2月10日の自民党大会の演説で、憲法9条への自衛隊明記の意義について「都道府県の6割以上が新規隊員募集への協力を拒否している悲しい実態がある。この状況を変えよう。違憲論争に終止符を打とう」と訴えた。《共同通信》

都道府県の六割が協力拒否とは何のことかと思ったら、自衛官募集のための”卒業高校生の名簿提供”業務に非協力ということらしい。住民基本台帳の閲覧をし書写する業務について”紙媒体での提供を求める”ということらしい。これって個人情報保護違反になるのではないか。

さらに、02/13の予算員会審議で立憲民主党の本多平直議員の「自衛隊を憲法に明記したら何が変わるのか」という質問に答えて、安倍総理は意味不明の文言の羅列を続けて審議時間を空費した挙句に「空気が変わる」と答えたのである。

さらにまた、02/12の衆院予算委員会で、「悪夢のような民主党政権」との発言について「自民党総裁として言論の自由がある」と述べた。時の権力者が野党第一党に対して「悪夢のような」と呪いを吐きかける自由を「言論の自由」だと主張した。政治の場における言論の自由とは第一義に「時の権力者を批判する自由」でなければならないと考える。

《2019/02/13》アベノミクスの実相について公表データを調べて見た。日銀が公表する時系列統計データのうちから「マネタリーベース年度末平均残高」と年金積立金管理運用独立行政法人が公表する「運用資産構成比・年度推移」である。

両者を一覧表にして並べたのが次表である。安倍内閣発足当初2013年3月の日銀マネタリーベース(通貨供給量)は134兆円強であったのが、2019年1月には500兆円弱に達しているのである。通貨供給量”ダブダブ”異次元金融緩和の実態は”国債大量発行・日銀引受”なのである。 ちなみに2006年3月小泉内閣当時では109兆円であった。

併記する「年金積立金管理運用独立行政法人の運用資産構成比・年度推移」では、長く60%強を維持していた国内債券運用が半減し、株式運用が倍増している。年金資金が株高を支えている。金融資産保有者に安倍内閣が支持されている所以であるものの、年金運用の株高頼みというよりも、年金資金買いに頼る株式市場という側面が危うい。

《2019/02/12》水泳の池江璃花子選手は自身のTwitterde白血病を公表した。多くの励ましの声が寄せられているなかで、東京五輪関係者が金メダル獲得に絡めてコメントしているのが、情けなくおぞましいものがある。

なかでも桜田義孝五輪相は記者団に対し、「金メダル候補で、日本が本当に期待している選手なので、がっかりしている。1人リードする選手がいると、みんなつられて全体が盛り上がるので、その盛り上がりが若干、下火にならないか心配している」と述べた。

しばらくは泳げぬ日々が続くであろう池江選手だが、美少女に訪れた悲運などものともせずに治療に専念して、早く明るい笑顔を見せてほしい。池江選手には寒風に耐えて咲く梅のごとく、凛と香っていてほしいと願うのである。
《白く雪をおく伊吹を背景にする紅梅》 

こちらは七分咲きの白梅。※石積み工事を終え満水の鄙の池である。この水位がいつまで保てるかはしばらく見なければ分からない。水位が維持できるとしても、錦鯉を放流して川鵜に襲わせる気はもう無い。

 

 

 

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