木の芽起こし

昨夜の雨は、木の芽起こしの雨と呼ぶに相応しい雨だろう。今朝は風があるものの陽射しは穏やかで、まだ冷たい風もそよ吹く春風に思える。庭先に出て雨上がりの花々を撮ってみる。芽吹きの春も、花咲く春も、みな良い。

先ず最初は今朝(2019.03.07)の寒緋桜 。開花を記録してから(02/25)すでに十日が過ぎたが、まだ蕾も多いからもうしばらく楽しめそうである。

こちらは枝垂れ桜である。まだ蕾堅しである。枝垂に限らず、大島桜も大山桜も御衣黄も染井吉野も八重も桜桃も、いずれもまだまだ蕾堅しである。巡り来たる季節のなかで桜を待っている。

巡り来る春ごとに、車椅子の上から散り初める桜を見上げていた最晩年の母を思い出す。手を挙げて訪ね来し亡き友の笑顔を思い出す。懐かしき人々が花のもとに集い来たる心地する。そして今年も私は花見ができそうだが、あの時の母はどんな思いで桜を眺めていたろうかと思い返すのである。
「さまざまな こと思い出す 桜かな」《芭蕉》

山茱萸(サンシュユ)である。昨年秋の台風で倒れた木を枝を切り詰めて引起したので、切り花にも事欠くほど花を付ける枝がわずかである。

雨に打たれて散り初めになった梅である。この木以外の梅はみな散った。

山茶花も水仙も花の盛りは過ぎ去った。それでもヤブツバキ、八重ツバキ、カンヒザクラ、サクランボ、サンシュユ、マンサクが咲いているか咲きはじめている。もうすぐにオオヤマザクラ、オオシマザクラ、シダレザクラ、ヤエザクラ、ギョイコウなどなどが咲く。そのあとはボタン、シャクヤク、ヒラドツツジ、サツキ、シャガ、ヤマボウシ、夏ツバキ、ダリア、カキツバタなどと続く、さしづめ鄙の花屋敷の風情である。

今朝(2019.03.13)の寒緋桜は昨夜の雨に洗われてなお鮮やかである。

今一番の花盛り、桜桃である。春陽をあび、春風にそよいでいる。

ヤブ椿三題、白い花、定番の赤、別の木では花の色が少しピンクがかっている。
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手折って花瓶にいけてみた。後ろの枝は実はネコヤナギである。

今を盛りと咲き誇る斑入りの八重椿、いずれ此の木の下は花筵となる。

「吾娘(あこ)と(我が)母  遊ぶ影見ゆ  花むしろ」 《茫猿》

【2010.04.08 07:20追記】(過去記事を転写する。)
快晴、ほぼ無風、屋内10度、冷気がとても心地よい朝である。
朝陽を浴びて輝く鄙桜。このときを経て春は過ぎて行く。

(2011.02.04 追記) この頃に、毎朝車イスで点滴に通う母が、イスのうえから桜を眺めて「きれいに咲いたね。」と呟いたのを思い出す。 来春には見ることも叶わないだろうにと思いながら、車イスの母とふたり、しばし眺めていたことを思い出す。 あの時、末期ガンを承知していた母の心中はいかばかりだったろうかと思い出す。

 

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