NSDI-PTの実証実験

 NSDI-PTは五次データを地理情報とリンクして閲覧する実証実験を施行中ですが、NSDI-PTの初期の目的は、事例調査の負担軽減、的確化、そして得られた情報の有効活用あるいは情報発信にあったと存じます。
 様々に地価公示の行く末や悉皆調査:いわゆる新スキームのあり方が取り沙汰されている今こそ、NSDI-PT本来の事業目的に立ち返るべきであろうと考えます。


 そのような観点からして、三次データ調査(いわゆる新スキーム)にNSDI-PTが果たし得る役割を考えまして、所掌委員会へ以下のご提案を致しました。 三次データに関しては、様々な微妙な問題が存在していることは重々承知しておりますが、プロジェクトチームの果たすべき役割は、現時点で利用可能なツールを駆使し、実現可能なプロトタイプ・システムを構築し、かつ実証実験を行うことにあろうと考えます。 その準備を済ませておけば、先々に必要に応じた実用システムを稼働させることが可能であろうと考えるものです。
 『三次データ調査の一連の作業工程』
(一) 事例調査の現場でGPS内蔵カメラ(携帯デジカメ)やGPS内蔵携帯電話で現地写真を撮影して、評価員のPCに保存する。 この段階で、緯度経度情報を保有する調査対象事例現地写真ファイルが作られる。
(注)写真を撮らないで、GoogleMapから座標値を取得する方法もある。とりあえずは、この方法が簡便と考えられる。
(二)次は、この写真ファイルをGoogle Mapを起動して閲覧すれば、縮尺自在の地図上に撮影地点が表示される。 調査対象事例固有の登記事項情報並びに価格情報については、登記事項レコードと写真ファイルをドラッグ&ドロップしてリンクさせれば完了する。 駅や学校、病院、役所、店舗など各種の属性情報についてはYahoo MapのAPI機能のうちルーテイング機能を利用して、施設名と距離情報を取得すれば終了する。
(三)さらに、間口奥行、画地形状、接面道路幅員、道路種別、都計用途区分等の情報について手入力する。 同時に地形図をスキャニングして、写真ファイルと同様に登記事項レコードとリンクさせて三次データ調査を完了する。
 完成したファイルから、公示事例カード二枚目が自動的に作成できれば、実証実験参加評価員の負担をさらに軽減できるものである。 なお、この事例カード二枚目作成事項は、近い将来に不要となるであろうが、当面の経過措置として用意しておいた方がよろしかろうと考えるものである。 (この項は省略もあり)
 公示分科会のなかでは、データファイルをReaNet:REA:DATA等で交換、マージすれば相互利用が可能となる。
『実証実験に必要なシステム』
 三次データ(jirei10.txt)を取り込み、写真ファイルとYahoo Mapをリンクさせ同時に、Yahoo API・ルーテイング機能を稼働させ得るスタンドアローンPC用のシステムを構築する。 これは既に完成済みのシステムを部分改良すればよい。
 なお、三次データ確定用データファイルへは、上記システムから必要部分をエキスポートした上で、確定データファイルへインポートすればよい。
(注)写真を撮らないで、Google Map等から緯度経度情報を取得してファイルする方法はより簡易であり、費用補助も少額ですむ。
GoogleMap 座標取得  
・Google マップ 座標(取得|入力)[Google maps API] 
 写真を撮るということの意味は、単に座標値を取得する以外に、事例地の現況に関わる情報をより多くするというところにあると考えます。その意味からは、座標値付き写真とGoogle座標の併用が好ましいともいえますが、今回の実験は二つの方法を選択するという手法ありと考えます。
『実証実験について』 
 スタンドアローンPC用のシステムが完成しだいに、実証実験参加チームを募集する。参加チームは士協会単位または分科会単位とし、参加チームへは実験参加費用の補助を行う。
『実証実験日程表』
2010年11月末  実証実験参加チーム募集。
2010年12月末  システム構築終了。
2011年01月始  実証実験開始、実験期間は任意であるが、一応は年度末とする。
2011年04月末  実証実験結果報告書の作成行い、NSDI-PTを終了する。
『確認事項』
「地理座標値の取得などは、その気になれば誰でも可能だ」という意見が根強く存在していることは十分に承知していますが、ジオコーデイング手法は住居表示対象地についてのみ行えることであり、宅地以外の不動産や住居表示未施行地区では正確な座標値を取得できません。
 また調査担当評価員が現地を踏査することに多くの意味があり、そこで現況確認や配分法適用など鑑定士であればこそ実施可能な幾つかの調査事項があります。それらを『鑑定士のアドバンテージ』と考えられるか否かにこの実験の意味も存在します。
 八月当初以来、一連の『鄙からの発信』記事で、鑑定業界が直面している問題(危機と表現してもよいであろう事柄)について、鑑定業界が出し得る答えの一つでもあると考えます。
 Client Influence Problem (2010年8月15日)
 Rea Review 制度創設提案 (2010年8月18日)
 相撲協会と鑑定協会 (2010年8月24日)

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