茫猿風芋煮

先月末に拙宅の庭先で開いた芋煮会はとても好評でした。 半ば以上は社交辞令だと思ってはいますが、当日集まった皆様から多くのお礼メールをいただきました。 なかでも芋煮鍋には過分の賛辞を頂戴しました。そこで、大好評の芋煮レシピを誌上公開します。 芋煮は里芋と牛肉をベースにした山形の郷土料理です。 茫猿風芋煮はこれを鄙茫猿流にアレンジしたものですが、もう二十年以上作り続けていますから、それなりに自信のあるレシピです。 茫猿の芋煮は里芋、大根、葱、柚子などの食材を屋敷廻りの畑で無農薬有機栽培収穫したものを使います。 採り立ての芋も大根も土汚れを洗い落とせばそのままいただけるという強みもあります。


『茫猿風芋煮レシピ』
(食材)
里芋(用意した鍋容量の1/4程度、馬鈴薯の代用も可)
牛肉(切り落とし、アクの少ない黒毛和牛以上の切り落とし肉を芋量の1/3程度)
キノコ (シメジ、マイタケ、ヒラタケなどを種類多くたっぷりと)
コンニャク、ゴボウ、葱(量は適宜)、日本酒、醤油、味噌
(調理)
1.キノコは前日に用意して、新聞紙の上で陰干ししておく。
陰干しすることで、軽く水分を飛ばせば旨味が増します。
2.里芋もできれば前日に皮をむいて洗い上げておく。
鮮度の佳い芋であれば、皮を剥かずタワシでこすり洗い程度がよい。
この芋も陽に当てて軽く干しておくとよい。
3.コンニャクは一口大に、手でちぎり、湯煮しておく。
包丁切りでは表面積が小さく、味がしみ込まないから、
必ず手で小さくちぎること。
4.ゴボウは笹掻き牛蒡にして、水に浸してアクを抜いておく。
5.なるべく大きな鍋(寸胴鍋が佳い)に、
酒を鍋容量の1/4~1/5程度入れて火を付ける。
6.酒を沸騰させアルコールを飛ばしてから、水を足す。(煮きり酒)
7.鍋に切り落とし牛肉を投入して、浮いてくるアクを取りながら煮上げる。
8.里芋、コンニャク、ゴボウ、キノコを投入して20~30分中火で煮上げる。
9.調味はお好みであるが、茫猿風は醤油ベース、味噌隠し味が基本である。
10.味付けは最初少し薄めにしておく。薄味でお椀に軽く一杯。
煮返して味が濃くなったところで、もう一杯いただくのが茫猿的賞味法です。
(極意)
1.牛肉は切り落としがベストだが、黒毛和牛以上の銘柄牛を使うこと。
茫猿は必ず飛騨牛切り落としを使います。脂身の旨味が違います。
2.前日から準備して、素材の旨味を多く引き出すこと。
3.酒を大量に使うこと。
4.必ず、丁寧にアクをすくい取ること。
5.薄味で仕上げておき、1時間以上弱火で煮てゆき、
里芋がとろけ始めた頃がベスト味になる。
6.椀によそってから、原了郭の黒七味(なければ新鮮な七味)、
カボスやスダチ、ユズなどで味を締める。
柑橘類は絞り汁もよいが、皮を刻むか、おろして振りかけてもよい。
7.最も大事なことは、人数×椀2杯以上の量を作ること、
つまり量が多いほど具材も多種類の投入が可能になり、
その分多くの具材が醸し出す旨味のハーモニーが増すのです。
この芋煮と秋刀魚に焼きおにぎりでもあれば、
立派な秋のアウトドア・ランチになります。
食材の項にも記しましたが、里芋→馬鈴薯、牛肉→地鶏という代用も結構です。
《追記》
先月末の芋煮会は鑑定評価リタイア記念の生前葬みたいなものと内心考えていた。 多くの友人の歓談に送られる幸せを感じていた半日だった。 今年が生前葬ならば、来年は一周忌法要でその年の畑で採れた食材で芋煮を作り、サンマを焼いて、今生きる、晴耕雨読に生かされている幸せを感じてみたいと考えている。
秋深しです。 葉を落とした窓外の鄙桜に、つがいでしょうか、2羽のヒヨドリが来て羽づくろいをしていました。(窓越しに撮影)

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