ディファクトスタンダード

昨日12.13にシステム改善委・企画小委が開催されました。 新スキーム改善問題は今年一年間の紆余曲折を経て、一応の成案に到達したと考えられます。 勿論のことですが、今後も年度末に向けて幾つかの機関承認手続きが必要であり、総体的には端緒についたばかりと云うのが実際の処です。 ですが年初から先月までの経過を踏まえてみれば、幾つかの懸案事項については茫猿が目途とするディファクトスタンダード(事実上の標準)におおよそ近づいたと思われます。


ここで云う「ディファクトスタンダード」とは何であるかについて、現段階で多くを語ることは避けたいと考えますが、その背景というか意味するところは、新スキームの行方-2 (2011年6月30日) 、新スキーム改善問題の現状 (2011年10月21日) 記事などを参照して下さい。 デイファクトスタンダードという表現は、新スキームの行方 (2011年6月23日) 、第45回総会 (2009年6月18日) 記事に既出です。
現時点で詳細について語ることは控えなければならない「ディファクトスタンダード」ですが、既に開示済みのシステム構築イメージ図(11.12.12改訂)が採用される見込であり、このイメージ図の実現をもって「ディファクトスタンダード」と茫猿は考えています。 このイメージ図を基礎とする基本構想が協会会員に受け入れられるまでには幾つかの越えなければならない課題が存在しますし、実際のシステム構築に際しても、その構築諸費用捻出並びに基本設計や仕様書作成など課題は山積しています。
【イメージ図ファイルを開く】
しかし添付イメージ図の左側・既往稼働システムから、固評、相評をはじめ一般鑑定利用を目的とする右側の構築予定システムへのデータ移管が円滑に稼働してゆくことこそが「ディファクトスタンダード」なのであると茫猿は考えるのです。 同時に、ここまで粘り強く改善委員会を指揮した後藤委員長のご尽力に深甚の敬意を表したいと考えます。
なお、この違和感を如何にするか (2011年10月12日) 記事に述べている、「士協会事務局端末による閲覧」について、茫猿は「関係法令との適合性検証」を前提とするよう提案しています。
思い起こせば、今日は赤穂浪士が吉良邸に討ち入り本懐を遂げた日です。 七年も前に新スキーム問題に関与させていただいて以来、折にふれ提唱してきたことが概ね実現に近づいたかと思えば、感慨深いものがあります。 まだまだ、年度末に掛けて上京しなければならない日も多いのですが、今度ばかりは韜晦することなどは避けて、単刀直入、歯に衣着せることなく論じてゆこうと思い定めています。それこそが今の茫猿に課せられた役目であろうと、増上慢は承知の上で考えています。
些末事項と考える方も多いのでしょうが、「新スキーム」という呼称を、名は体を表す本来の名称を使用するべく再び提唱したいとも考えています。 例えば不動産センサスが飛躍しすぎと云うのであるのなら、取引価格情報提供制度との関係を明らかにすることやWeb情報の積極的活用なども含めた「Market Data Research:MDR」などは如何だろうかと考えるのです。(まあ”悉皆調査”でも構わないのですが。)
ところで、昨夜もこれらの問題で関係先取材をしましたが、取材先と訪れたのが「木鉢会・神田まつや」です。 東京都の歴史的建造物に指定されている、まつやの店構えや設えは、池波正太郎氏や藤沢周平氏が書いている江戸下町の蕎麦屋とは斯くの如きかと思わせる雰囲気のお店です。 そば味噌、雲丹、天麩羅などで銚子を何本空けたのか覚えがありません。 仕上げは当然のことながら「盛り蕎麦」でした。 木鉢会28店舗のうち既に1/3は訪問済みとなりましたが、残るお店も頑張って踏破してゆきたいと願っています。
取材先と待ち合わせるあいだの時間潰しに訪れた八重洲ブックセンターでは藤沢周平氏の新刊本「初つばめ」に出会いました。当然、即購入です。 その八重洲ブックセンター7階から眺めた工事が進む東京駅八重洲口です。グランルーフ工事が進んでいますが、来夏には東京湾から皇居方面に向けて涼しい海風のとおりが良くなることでしょう。

ディファクトスタンダードを論じる以上は、やはりこれだけは述べておかねばなるまいと思われる。
新スキームで収集した事例を一般鑑定で使用することの整理に際して、斯界では、パートナーシップ型への移行等を未だ声高に求める会員がいる。なかには鑑定法や地価公示法の改正までを云う会員すら後を断たない状況である。
だけど考えてみてもほしいのである。国民の資産に等しいデータを一業界の業益のために継続的利用を認めることなど、有り得ないことに考えを巡らしてほしいのである。業界が望み得るのは、不動産鑑定評価の社会的使命に鑑みた方策であり、地価公示施行以来数十年続く経緯に則った事実上の解決(ディファクトスタンダード)が望み得る最善であることに思いを致してほしいのである。 不動産鑑定士並びに鑑定協会がなし得るのは、そのディファクトスタンダードを持続的に改善し社会の認知を高めることで、より強固なものに変えてゆくことにある。 茫猿が述べるディファクトスタンダードというのは、そういうことなのである。
もう一点、今回の改善に際して鑑定協会と士協会との関連について付け加えるとすれば、関係法令その他との適合性検証が欠かせないことである。 業界に求められているコンプライアンスとは、那辺にありやと考えるのである。 今年も残すところあと二週間、適切かつ的確な協会コンセンサスに至って、佳き正月を迎えたいものである。

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