公的土地評価・事例資料等取扱基準案

二月の終わりに畏友から、沖縄ゴルフツアーの誘いを受けました。汗ばみ始めた琉球の青芝の上で、新スキーム問題を語らないかというのです。 東京でお歴々の話ばかりを聞いていても、見えてこないことが沢山あるけれど、前線で苦闘する中堅若手の話を直接聞けば、様々のことが判るのではないかと言うのです。

 

茫猿は右目の視力が減退し始めてからゴルフは止めています。 元々下手くそだし、アドレスが難儀になってからは疲れるばかりになったからです。 それでも私ひとりは昼間に沖縄観光をし、夜は泡盛の杯片手に九州や沖縄の方々と語り合うのも悪くないと、急遽、那覇へ飛びました。 二月末の明石大橋たもとでの舞子会議につづく、琉球会議というわけです。
昨秋から熊本、仙台、そして舞子、那覇と、各地の皆様のお話を伺ってきました。来週には山口にお邪魔する予定です。 地元の若手の話も近く伺う予定です。 それらが直接何かを生むとか何かのお役に立つと考えているのではありません。 しかし、役員ではない多くの方々のお話しを伺い、オフレコも含めて様々な話をさせていただくのも協会理事の一つの役目であろうと考えています。 茫猿には相応しい草の根活動と思っています。

さて、新スキーム改善問題は第一次案が去る2月10日に改善特別委員会にて承認され、現在は全国地域連絡会等にて詳細説明が行われつつあることはご承知の通りと存じます。鑑定協会の機関手続きとしては、4月10日開催予定の理事会承認を残すだけとなりつつあります。様々な問題を抱えつつも一つの峠は越えつつある状況と申し上げて宜しいかと思っていました。
ところが、最近になって「管理閲覧規程改定骨子案」作成と関連して、大きな問題点が浮上して参りました。それは公的土地評価、なかでも固定資産評価に関わる事例資料取扱です。 固評における新スキーム事例資料取扱は地価調査並びに相評と同じく特例的に別個に取り扱うのか、それとも一般鑑定と同様に取り扱うのかという問題です。
固評関連事業が士協会事業に占める位置からすれば、これは軽視できない問題であり、士協会運営の観点からしても士協会が固評採用事例を一元的に管理運営することはとても重要であろうと考えます。 昨年十月から、新スキーム改善委員に任命され審議に参加して以来、常に感じてきましたことは、公的土地評価に関しては、都市圏域士協会と地方圏域士協会の対応に大きな差異があることです。
それは、固評を含む公的土地評価受託会員と非受託会員の構成比を反映するものであり、当然のことながら新スキーム事例調査を委嘱される会員と非委嘱会員との構成比を反映するものでもございます。
所属する会員のうち過半が公的土地評価に従事する士協会と、逆に相当数は従事しない、あるいは委嘱を希望しない会員で構成される士協会とは、立脚する位置に大きな差があるように考えます。 このことを端的に表しているのは、新公益法人定款に示される、東京会とその他の地方圏域士協会との規定表現の差異であろうと考えます。
以上の観点から、別添致します「公的土地評価における事例取扱」という提言書を作成致しました。 小生はこの提言書を、新スキーム改善委員会、並びに四月理事会において提出し論議を深めたいと考えております。 各地士協会においても、この問題についてご検討をいただき、ご理解を深めてもらいたいと考えて、提言書を作成しました。
「公的土地評価における新スキーム由来等事例資料の取扱基準案」(森島私案)
1.各評価年次における所要事例資料の一括ダウンロード権限を士協会会長に付与。
2.士協会会長は所掌管内において、所要資料の配付等の鑑定評価支援業務を所管。
3.資料配布を受けた鑑定士は、公的土地鑑定評価目的に限って資料の利活用を行う。
4.配布を受けた鑑定士は、所要の対価支払い負担、固評業務を通じて入手並びに
生成したデータ、及び資料を士協会に提供するという役務負担を果たす。
5.士協会会長は前1~4の全工程に関して閲覧管理規程に準拠して遺漏無きよう努める。
6.取扱基準の採否は、士協会会長の任意選択である。(一般鑑定扱いも可である。)
【公的土地評価における新スキーム由来等事例資料の取扱基準案ファイルを開く】
那覇での二夜はとても有益でした。中堅若手が直面している想像以上の厳しさを、改めて認識させられました。 将来への不安と焦燥感と、だからこその改革への期待も感じました。 それらを踏まえて、茫猿ができることを吠えつづけてゆこうと考えています。

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