ReaNet接続の全面開示を求める

鑑定協会のICTインフラとして整備途上にあるものの、その普及が遅々として進まないReaNetの現状改善策について、鑑定協会所掌役員宛に提出した上申書をネット公開致します。
ReaNetの整備と普及が進まない原因は、協会事業予算上の制約と会員への広報が不十分な点にあると考えられます。そもそもネットワークというものは加入者が増加すればするほど、その効果を十全に発揮するものであります。しかし加入者の増加はネットワークの維持費用を累積的に増してゆくものではなく費用増加は逓減的であります。言い換えれば、加入者の増加はネットワークの効用を増すと共に会員一人あたりのネットワーク維持費用を低下させるものです。その観点からは速やかな全員加入こそが望ましいものであります。


提案者は、ReaNetのアクセス権限の全会員への開示を求めます。現在では経費負担方法その他の事情からアクセス権限が一部会員にのみ開示されているという状況下にあります。これは会員の権限の制約であるのみならず、ReaNetの普及と発展を妨げている大きな要因であります。
1.ReaNetの位置付け
ReaNetの基本的位置付けは、鑑定協会会員への広報手段であり、同時に会員相互のコミュニケーション・ツールでもあります。そのような観点に立てば、ReaNetの基本機能は鑑定協会事業予算で維持されるのが相当であると考えます。
経費負担の方法が確定していないから、ReaNet接続も限定するという考え方は本末転倒であろうと考えます。百歩譲って、接続開示と経費負担は鶏と卵の関係にあるとしても、先ずは広く開示することにより、その有する機能への理解を高めることが必要であり、会員が機能を理解し有用性を認識すれば自ずと経費負担の認識は生じてくるものであろうと考えます。経費負担方法の確定を優先するという考え方は、敢えて申し上げれば「角を矯めて牛を殺す」という考え方に等しかろうと存じます。
2.会員名簿管理の一元化
すなわち、鑑定協会に入会すると同時に、ReaNet接続のためのIDとパスワードが交付されて然るべきものであります。 これは、会員録管理がデジタル化された現在では、会員録管理とReaNetアクセス会員管理を一体化することにより、会員名簿管理費の削減を図ることができるものです。
即ち、会員名簿とReaNet接続会員名簿との管理を一体化し、ReaNetの基本機能であるReaInfo、ReaData機能並びにアクセス会員管理に関わる諸費用は鑑定協会が今後とも負担する。また全国的一元管理が望ましく管理経費負担も節減できる「地価公示と地価調査に関わるReaMap」機能は、これも鑑定協会が今後共に負担すべきであります。
3.事例閲覧管理について
ReaJirei並びにそれとリンクするReaMap機能は一体的に運用されるものであると同時に、事例を管理する各都道府県士協会がその運用方針を決定するものでもあることから、実証実験が終わる次年度以降においては、この運用費用を各士協会が負担すべきである。 各士協会において負担するReaJirei並びにReaMap機能に関わる維持管理費をどのように所属会員に負担を求めるかは各士協会が決定する事柄ではあるものの、ここで留意しておかねばならない事項があります。
それは現在鑑定協会並びに各士協会で進められつつある新公益法人制度への移行に伴って、会員の権利及び義務の平等化を図るという問題であります。 所属会員の属性(地価公示従事か否か、業者会員か鑑定士等会員か等)に応じて事例閲覧権限の範囲を定めることが許容されるか否かについて、見解を統一しておく必要があるだろうということです。
鑑定協会会員であれば、また士協会会員であれば、閲覧経費の負担責任と閲覧権限は平等でなければならないとするのが基本原則であろうと考えられます。「所要の経費を負担する限りにおいて必要な資料は閲覧が可能である。」という基本原則を確立すべきであろうと考えます。
4.ネットワークの原則と普及
さらに重要なことはReaNetが「IT」であるのではなくて、「ICT(Information and Communication Technology)」であると云うことです。
つまりInformation機能と同時にCommunication機能が要求されるものであり、別の観点からは双方向性を有するCommunicationがより重要であろうと考えます。ReaNetはICTであると考えれば、そのアクセスを一部会員にしか許していないという考え方は、およそICTについて理解が誤っていると云っても差し支えないことと考えます。
ReaNetはICTであると確認する時に、会員は等しくその機能を享受できるものであり、事例閲覧機能についてのみ個々の会員もしくは個々の士協会の費用負担に応じて利用が可能になるという基本原則が確認されるべきであろうと考えます。
追記
賢明な諸氏にとって、この追記は蛇足以外の何物でもなかろうと存じますが、あえて追記しておきます。
提案者は、新スキーム試行当時からネットワーク構築を提唱しそれはReaNetとして現在に至っております。さらに三年前にNSDI-PTを提唱し、以後その実現に向けて微力を傾注しております。NSDIとは「National Spatial Data Infrastructure」の略称です。地理空間情報のインフラということです。
ReaNetもReaMapもインフラ整備の一環なのであり、先に提唱しましたRea Reviewも広義のインフラ整備です。Rea Reviewがなぜインフラかといえば、それがKnowledge managementツールとして位置付けられるからです。 鑑定評価業務においては、取引事例にはじまる事例収集も、多くの要因資料収集も、それらの整理管理も単独では為し得ず、協同作業を前提とするのが鑑定評価業務の特殊性であり、他の資格業種と大きく異なる特性です。
Rea Reviewもそれが機能し始めれば「Client Influence Problem」問題に対応するものに止まらず、広くKnowledge managementツールとして機能するであろうと予測されるからです。
Rea Net、Rea Jirei、Rea Map、Rea Review といった鑑定業界に必須のインフラが整備され一元的に運用されるときに、鑑定業界の業容底辺が拡大し底上げされると期待されるからこそ、先ずはReaNetの全会員加入が待たれるのです。

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