The Iron Lady

雨が上がると季節は春分過ぎの春です。 陽射しは春そのもの、雲の色も空の色も風の色も春を感じます。桜の季節はもうすぐそこに来ていると思えば、やはり年々歳々花相似たりと思わざるを得ません。歳とともに刻の過ぎゆく速さも否応なく感じさせられます。

雨上がりの畑では、梅の花もサンシュユもマンサクも峠を過ぎ、藪椿が雨風にうたれて数多く花を地表に落としていました。 今日も明日も畑仕事はままならず、前から気になっていた映画ですし、ふと買い求めた「Big Issue」に掲載されていたメリル・ストリープへのインタビュー記事で、観るべきと思い立ちシネコンへ向かいました。

メリル・ストリープは好きな女優です。マジソン郡の橋もマンマミーアも観たことです。 「The Iron Lady:邦題マーガレット・サッチャー」は1980年代を通じて英国初の女性首相を務めたサッチャー女史の伝記映画ですが、演技に輝きも華もあり十分楽しめました。 サッチャーの行った政策についての批評はさておいて、メリル・ストリープの演技は居眠りすることもなく引き込まれました。 英国保守党党首選に出馬する頃からの彼女のメーキャップもアカデミー賞を取るだけの凄さはあると思わされました。 NHK朝ドラの夏木マリさん90歳のメーキャップにも毎朝驚嘆させられているのですが、特殊メーキャップの技術進歩は凄いなと思います。

党首選に出馬する時の彼女のセリフ「党首に当選するとは思ってはいない。保守党を揺さぶるために出馬するの。」、「党を変革したいから党首になるの、国を変革したいから首相になるの。」も印象に残ったセリフです。 首相当時にエリザベスⅡ世女王とは必ずしも上手くいってなかったという記事を昔に読んだ記憶がありますが、サッチャーは認知症を患っているというから、女王に映画を観た感想を聞いてみたい気がします。

ところで朝ドラといえば、今朝(2012.03.24)のドラマ、末期癌患者が病院で催されたファッションショーに出演するシーンでは、不覚にも涙しました。 病に打ち勝ってというより、病と共存して、幼い子ども達に笑顔を振りまきながら花道を歩いてゆく、ファッションが心を華やかにし笑顔を蘇らせてゆくというストーリーは心打つものがあります。 形は変わっても3.11被災地各地でも似たような話が多いことでしょう。 甲子園の石巻工業主将の選手宣誓も見事でした。

石巻工業の主将、阿部翔人選手の選手宣誓、「被災をされた方々の中には、悲しみに暮れている方がたくさんいます。しかし、その苦難を乗り越えることができれば、必ず大きな幸せが待っていると信じています。だからこそ日本中に届けます。感動、勇気、そして笑顔を。今、野球ができることに感謝し、正々堂々とプレーすることを誓います」、とても佳い顔でした。

大震災も悪いことや辛いことばかりではない、災害を乗り越えてゆく強さや勇気を教えられますし、暖かい人情や思いやりも教えられます。 言葉にしようのないとんでもない非日常を知ることで、人は強く大きくなってゆくのだとも教えられます。

 

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