長銀、日債銀の国有化や日産自動車の提携合併交渉、或いは東急デパート日本橋店の閉鎖など、世の中はあげてリストラ一色である。これらのリストラが、デフレスパイラルをますます加速させ、結果として「合成の誤謬」でなければ幸いだと思うのは私だけでしょうか。
鑑定業界では、不良債権担保不動産の鑑定評価依頼の激増や固定資産税標準宅地評価替え年次に当たり、当面の業務量が多いので意識されることが少ないのですが、水面下ではリストラが着実に進行しつつあります。
平成11年地価調査は2,380地点の減少が決定しました。これは対前年比▲7.8%の減少です。更に、今の財政事情からすれば地価公示や地価調査の今後の地点減少は避けられないことと予想します。もっと大きなリストラは98年9月の国土法改正により、事後届出制に変わったことにより、監視区域廃止後もかろうじて命脈を保ってきた第三鑑定が全廃されたことでしょう。
同時に、固定資産税標準宅地の評価額の公開は、一般の地価水準調査がらみの鑑定需要を激減させました。固定資産税標準宅地評価についても、地方財政の状況に照らして考えれば、平成15年評価替え時期において、単価上昇・地点数増加が見込めると予測するのは、甘すぎる期待と言えましょう。
いわゆる官需も民需も減少傾向をたどるなかで、密やかに業界のリストラは進行しているのでしょう。その反映現象が、二次合格者の就職難となって現れているのだと思います。では、打開策はあるのか。簡単に打開策があれば誰も苦労はしないものです。一般に不況の打開策としては、経費の削減を行い利益を確保する手法が最も手っ取り早いのですが、一歩間違えますと、縮小均衡の罠に陥りかねません。経費の削減・合理化は当然に行わねばなりませんが、新規業務の開拓を忘れてはならないと思います。幸いにも、不況下でも業務量が確保されている今こそ、コンピューターの活用に代表される合理化と並行して、新規業務開拓を始めねばならないと思います。
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