97・98年任期最後の理事会報告

 97・98年任期最後の理事会報告を致します。
 A4/4~5枚と長文になりますが、おゆるしください。


 三重県と岐阜県は中部会定数4の内、一議席の候補者を交互に擁立する紳士協定を結んで既に十数年が経過しました。97年3月に何度目かの岐阜県擁立の順番が巡ってまいりました折りに、擁立予定者がいずれも辞退されて、私にお鉢が廻って参りました。
 理事会の形骸化が言われて久しく、理事としての活動に希望が持てないことから、再三再四堅く辞退しましたが、当時の岐阜県士協会役員の懇願に負けて引き受けましたが、無投票当選後も代理出席者に理事会出席を依頼することが多い任期でした。
 しかし、任期の後半からは、理事会の形骸化は会長や副会長・常務理事の所為ではなく、理事自身の怠慢の所為であると気づいて、ささやかながら、質問・提案を主とする活動を行って参りました。その帰結が今回の会長選挙でもあります。98年度最終理事会は、総会に提案する98年度事業報告案・決算案及び99年度事業計画案・予算案の審議が中心であり、特筆する議案はございません。会務報告のなかに重要な課題が隠されていますが、そのことと、任期中の私の質問の総括を中心に御報告致します。
1.「地価調査業務入札問題」の顛末(専務理事の業務報告より)宮城県において、地価調査鑑定評価業務が指名競争入札に付される問題は既報の通りですが、その後の顛末が報告されました。結果は宮城県士協会と日本不動産鑑定協会が宮城県より指名され、宮城会が辞退し本会が全国統一単価で落札しました。
 会長と専務理事は、「結果的に他の都道府県と同様の単価で本会が契約できたから問題はない」と表明されます。しかし、応札行為については機関決定が何も無く、会長の専決行為として行ったと言われる。副会長にも常務理事にも知らせていないという。民間企業でもいざ知らず、公益法人が「本来、入札になじまないから随意契約が相当であるとしてきた、地価公示に次ぐ根幹的業務である地価調査について応札するという」、いわば180度転回の行為を会長専決行為で行うという暴挙がなされた。しかも、安藝会長は「我が社では競争入札が当然であり、民間企業は大概そうではないですか」と、平然と宣う。しかし、この問題について質疑を行ったのは、北陸会の林理事とかく言う私のみである。他の理事は無言のままである。せめて「今回の措置は緊急避難行為であり前例としない。今後本会が応札する場合は機関決定を経てからにする。」という位の理事会決議が提案されないものかと思います。
 (この件に関しては後述質疑をご参照下さい)尚、地価調査の都道府県契約について国土庁の見解は以下の通りである。
 「地価調査は実施の主体が都道府県なので、当該調査が適切に実施されるのであれば、発注先についてまで都道府県を指導できない。ただ、全国的なバランスを調整するシステムを契約に盛り込むよう指導する方針である。」
2:「東京カンテイ」の地図情報システム問題(北陸会・林理事の質問より)各位は送付されてきたパンフレット等でご承知のとおり、東京カンテイは地図情報システムにより自動地価算定システムを開発し、公示調査結果や取引事例も掲載して、情報提供サービスを開始したとのことです。公表されたものを地図システムに掲載し、情報サービスが行なわれるということは、時代の流れであり要請でもありましょう。
 問題点は「このような情報サービスは、鑑定協会が主体性をもって行うべきであり、我々の本来業務と密接な関連を有している」ということです。会長選挙でも地図情報システムについては提案を申し上げてきましたが、我々が行わなければ目聡い何処かの企業が行い、我々がそれらの情報を作成して一次データを保有しているにもかかわらず、他者の後塵を拝する結果となるということにあります。後塵を拝するだけならともかく、一民間企業のデータ提供に料金を支払って利用しなければならない立場に追い込まれることは屈辱以外の何者でもありません。
 尚、取引事例の守秘義務との関連から、取引情報の公開方法や守秘義務の保持方法について、事務局より東京カンテイに照会し、その報告を求めることとされました。
 以下は私の質問とそれに対する会長並びに専務理事の回答です。
質問一.CUGサービスについて前回理事会の終了間際に、城野専務理事より唐突に発言がございました「CUGサービス」に付きまして詳細な説明を求めます。同時に、担当する委員会や事業予算についてご説明下さい。又、CUGサービスは電子掲示板や電子会議室等に代表されるインターネットサービスの一種と承知しますが、鑑定協会の有機的ネットワーク形成事業のなかでは如何なる位置づけがなされているのかを、特に伺います。デジタルネットワークは軽々に導入すればよいというものではなく、将来的全体像を踏まえて会員が利用しやすく、広範に会員に利用されるものでなくてはならないと考えますが、その点については如何にお考えでしょうか。
 この点に関して小生は次のように考えます。先ず、本会の配布物を印刷物配布から、メールマガジン等の配布に順次代えてゆくべきと考えます。勿論、経過処置としてはファクシミリネットサービスやFD或いはCD配布を並行すべきと考えます。
 又、全会員一括配布から単位会経由配布を指向することにより単位会のネットワーク形成を後押しする方向を模索すべきと考えます。
【専務理事・回答】CUGサービスについては広報委員会で詳細を検討して頂く予定である。予算は予備費を充てる予定である。
質問二.部会長会の充実について 今回の会長選挙運動を通じまして、多くの単位会会長より伺いました御意見は、部会長会の形骸化に対する不満であります。理事会議事録や委員会報告等、読めば判ることの朗読に終始する会議への不満であります。実際に単位会の運営に苦慮している単位会会長が集合する会議である
ならば、単位会の直面している問題点に対する真摯な討議が求められていると承りました。
 全国の過半の単位会が社団化した現在は、組織の実態に合わせて、本会と単位会がイーコールパートナーとして、鑑定協会の運営にあたるべきではないでしょうか。
 執行機関が理事会であることは自明のことですが、それを補う重要な会議として部会長会議を位置付けると同時に、名称を単位会会長会議と変更し、開催回数を増加することに大きな意味があると考えますが如何でしょうか。
【専務理事・回答】現在でもそれなりの役割を果たしていると考えている。組織改編のなかで定款等に位置付けられれば、それに沿って対応してゆきたい。
質問三.本会定款第28条と理事会運営について前回99年3月理事会議事録記述「会議において決議案又は動議が提出された場合の権限は定款では規定化されてはいない。理事会ではあらかじめ文書の提出や、意見を発言することによって、会の運営に反映させているので、実行性は保たれている。」本会定款第28条
「会議においては、あらかじめ通知した議案以外の事項を議決することはできない。ただし、上程及び議決について総会にあっては正会員及び特別会員の、理事会にあっては理事の、それぞれ総数の2分の1以上が出席し、その4分の3以上の同意を得たときはこの限りでない。」
 本来、この種の規定は、会務の総理者や掌理者であるところの会長や常務理事会が恣意的な会議運営を行うことがないための歯止め措置であり、理事への議案の事前通知を求める規定であります。理事会を構成し会務を執行する権能を有する理事に議案や動議の提案権が認められない道理はなく、認められないとするならば「理事の会務執行責任」とは如何なるものとなるのでしょうか。
 定款にしたがって理事会が運営されないのは重大な問題であると同時に、本会に理事会運営規程が存在しないのも問題であります。単独理事提案或いは複数理事の共同提案等理事の議案提案権に関する規定、記名投票・無記名投票等の議案採決に関する規定、会期の延長・短縮に関する規定等が整備されねばならないと
考えますが如何でしょうか。
 更に付言すれば、質問についてはあらかじめ文書による提出を求めておきながら、慇懃無礼的な官僚的答弁に終始するのみならず、質問予告や発言予告のない理事の質問や発言を安易に許すような理事会運営こそが問い直されねばならないと考えます。
 理事に質問や意見の表明を許すことにより、会の運営の実行性は保たれているとの認識なのでしょうが、会務執行に対する理事権能の実効性は如何に保たれているのでしょうか。お答え下さい。
【専務理事・回答】定款に沿った運営を行っては参りませんでした。今後、理事会運営規程の整備をはじめとして定款に則した理事会運営を行います。
【注書き】私は、任期中に動議を二度提出しましたが、いずれも慣例にないとの理由で「動議審議の採決」も行われませんでした。これは、私の怠慢でありますが、同時に他の理事諸兄の怠慢でもあります。動議連発が好ましいとも思いませんが、動議や決議には真摯に応じて頂きたいものと考えます。又、理事諸兄は連携して理事会を好ましい方向にリードしてゆくことが求められていると思います。私の提出動議は以下の通りです。
1.「部会長会を年間4回開催し、単位会の連携と単位会活動の充実を図る」、そのために予算の組替動議を提案する。(98年3月理事会・会長は慣例にないと却下)
2.いわゆるデューデリ関連で、「不良債権担保不動産の適正評価手続における不動産の鑑定評価に際して特に留意すべき事項について」の審議が行われた際に、当該事案に反対の立場から、記名採決を求めました。98年11月理事会・会長は慣例にないと却下(改めて、「茫猿遠吠!」)、まさに茫猿遠吠の二年間でした。ゴマメの歯ぎしりであったと思います。
 しかし、コンピューターを含めた有機的ネットワークづくりに着手するという言質を得たこと。定款28条を遵守して理事会運営を行うという言質を得たことは成果として誇ってよいと存じます。いわゆるデューデリ騒ぎについても、広がりは得られませんでしたが、多くの問題点は指摘できたものと思います。単位会会長会の充実についても、一つの方向性を示唆できたものと思います。
 今後は、次期役員の諸兄に期待したいと存じます。同時に、我々会員が理事の活動を見守り、サポートしてゆく姿勢が最も大事なのだと思います。その意味からは、次期役員諸兄に大いにもの申して参りたいと思いますし、会員諸兄にあっても折にふれて意見を理事役員に伝えてゆくことが大事だと考えます。

関連の記事


カテゴリー: 不動産鑑定 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください