情報化事業の提案

1.情報化促進企画調査事業の目的
 情報公開法が成立し、地価公示価格や固定資産税標準地評価額等に代表される不動産に関わる行政情報が、様々な形態で公開される時期が近未来に予想される状況になっている。従来は守秘されるべき個人情報であった不動産の取引情報すらも公開の可否が検討されようとしている。
 同時にインターネットをはじめとする情報のデジタル化と、通信速度と容量の進歩並びに通信料金の低廉化の速度はドッグイヤー速度で進展している。鑑定評価が変わると云うよりも、鑑定評価の枠内にとらわれない、新しいスタイルの不動産情報サービスが求められる時期が近づいている。


 既に大都市圏では、過去に見られない形態の不動産情報サービスが業際的新規事業として形を現し始めている。(土地取引情報、マンション情報、地価情報、インデックス情報等々)
 不動産の専門家集団である鑑定士協会(以下単位会と称する)でも、
A.情報公開の進展、
B.土地建物の在り方にはじまる不動産環境の変化、
C.行政機関・金融機関・他の専門資格者業界・そして一般市民が、
  求めるであろう不動産情報の質と量が変化しつつあることを踏まえれば、しい不動産情報提供サービスを企画することが喫緊の重要課題と考え、情報化促進企画調査事業を各単位会に提案するものです。(これら不動産情報の質的量的変化を包括的に云えば、都市基盤情報と言い換えることが望ましい。)
2.企画調査事業の目標
前述の通り、単位会が行うこの企画調査事業は一般市民に代表されるエントリーユーザーから、行政機関に代表されるヘビーユーザーまでを対象として、「無機的アナログ的に散在する都市基盤情報を地理情報システム(GIS)に有機的且つ包括的にデジタル化搭載・提供しようとする事業」の企画調査が目的である。 当該GISに搭載を目標とする都市基盤情報とは、都市のインフラに関連する情報、都市計画規制関連情報、地価及び賃料に関連する情報、取引及び建築に関する情報、土地の有効利用に関連する情報、更にはエリアマーケテイング情報等、多岐且つ広汎な情報である。
3.都市情報の現状
 単位会は、前述の多くの都市基盤情報の内、一部は既にデジタル化して蓄積保有している。更にそれ以外にも、単位会及び関連団体並びに会員業者は日常業務を通じて、多くの情報を蓄積保有しており、一部はデジタル化も進めつつある。しかし、包括的且つ有機的に相互が連関した形でデジタル化或いは地図情報化されていないのが現状であり、単位会会員を含めてヘビーユーザーはおろかエントリーユーザーにも地図情報としては提供できないのが現状である。
4.GIS化都市情報の収集加工整備及び提供のアウトライン
 目標年次を2007年として、5年ないし6年をかけて段階的に広義の不動産関連情報を整備しサービス提供事業を進めて行く。 第一段階は、GIS基盤整備である。2500分の1都市計画図や住宅地図に代表される基盤地図をベクトルデータ地図として整備する。次いで、当面、搭載が可能な情報をデジタル化及び地図情報化する。第一段階での情報提供対象者は単位会会員及び提携或いは受託可能な自治体である。
 第二段階では、インターネットを利用して、広汎なユーザーを獲得して情報の利用者を増やして、都市情報提供事業の事業化を促進する。
 第三段階では、提供情報の質と量を拡充して、当初の事業目標の完成を目指すと同時に、情報提供者である単位会及び単位会会員と情報利用者であるユーザーとの間においてインタラクテイブな(双方向的な)情報受発信環境を整えて、報酬料金的には低廉化を実現し、情報の質及び量においては高度化と大容量化を実現する。その結果として、新しい都市情報提供事業を出現させると同時に、各ユーザーの便益を増大させ、ひいては土地の有効利用や有効活用或いは不動産情報の普遍化に大いに寄与したいと意図するものである。
5.予想される調査対象について
 予想される調査対象は多岐にわたるが、少なくとも以下の各項目に関連する事業者や自治体等関係官庁或いは先進地の調査視察は必要である。
a.都市計画基盤図及び住宅地図のデジタル化状況の調査研究。
b.採用すべきGISソフト及び必要な関連機器と通信基盤の調査研究。
c.搭載が必要又は可能な不動産情報及び都市基盤情報の調査研究。
d.予想される情報利用者が、求める情報の種類と量の調査研究。
e.事業化投資の可否及び蓋然性の予測調査研究。
f.事業の波及効果予測や、発生が予想される付随事業の調査研究。

関連の記事


カテゴリー: 不動産鑑定 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください