潮流の速さ

 昨日の朝、愛機の電源を入れたら、バースデイ・メッセージが表示さ
れた。最近では誰も茫猿の誕生日など憶えていてくれないから、たとえ
PCのメッセージでも嬉しかった。セットアップしたときに誕生日を入力
したことなど忘れていたから、感激も一塩だった。どうせなら、バース
デイソングも奏でてくれたらいいのにと思ったことです。
さて、本日の日経夕刊一面は久しぶりに興味深い記事の目白押しでした。
1.ICカードの規格共通化が最終調整局面に入ったとのこと。
茫猿の財布のなかには、某地方銀行のキャッシュカードが1枚、クレジッ
トカードが2枚、郵貯カードが1枚、診察券が1枚入っています。他に
もPC販売店などの優待カードが3枚ほどは常時鎮座しています。
現在の磁気カードから共通化されたICカードに替われば、これらのカー
ドが1枚に集約されることも可能性がみえてくる。どんな仕組みになる
のかはよく判らないが便利になることは事実だろう。その代わり先日の
政府系ホームページのハッカー騒ぎではないが、ICカード化は1枚の
カードに個人情報山盛りという事態が訪れる訳で、金融財産情報(茫猿
は債務情報といった方がよいか)から買物情報や病歴まで盗まれる可能
性もでてくる訳で、何やら空恐ろしい気もする。
2.東京都の大手銀行への外形標準課税方針に対して、政府統一見解が
示された。これについては3面のコラム「ニュース複眼」で編集委員の
「東京都・銀行双方の改革を促せ」と題する署名記事が掲載されている。
両者を読み比べればいいのではなかろうか。
3.遺伝子組み換え農作物に、USA環境保護局は詳細データの提出を
求めて、認可基準の見直しに着手するとともに、正確な環境影響評価を
行おうとするようである。日本の農水省や厚生省や環境庁はUSAとの
非関税障壁摩擦を恐れて及び腰であるのに、お膝元のUSAでは安易な
遺伝子組み換え作物の蔓延に対しての見直しが始まるようである。
4.次ぎが一番驚いた記事である。同時に変化し始めた潮流の速さを思
わずにはいられなかった記事でもある。
 それは、三重県の北川知事が議会で「芦浜原発計画」の白紙還元を表
明したことである。芦浜原発は三重県の最南部に位置する紀勢町と南勢
町にまたがる地域に中部電力が原発建設を計画するものであり、計画発
表以来36年を経過するものの誘致派と反対派が対立して、着工に至ら
ない原発計画である。
 先日、鄙からの発信でふれた愛知万博も、その行方が怪しくなってき
たところへ、今度は原発計画の白紙還元である。政府の原発推進圧力も
あったろうに、原発立地や建設に伴う受益者からの圧力もあったろうに、
既存のヒエラルキーの意向に反して、知事が白紙還元を決断するには大
きな勇気を必要としたろうと推察できる。
「バケツでウラン事件」以来、逆風が激しくなっている原発立地ではあ
るが、知事の判断はその影響が大きいだけに苦悩の決断であったろうと
思います。三重県の公共事業や公務執行に対して、事業評価制度を取り
入れて独自の行政改革を果敢に進めている知事ならではの決断でもある
と云えようか。
 夕方のラジオニュースでは、知事の表明を受けて、中部電力の社長は
芦浜原発計画断念を表明したとのことである。吉野川第十堰住民投票の
圧倒的反対多数という結果に始まり、愛知万博そして芦浜原発と、大型
公共工事受難時代の始まりを予感させる記事でした。
 日本は戦後50年以上続いた建設建築の時代から、保守・補修・管理
の時代に入ったのではないでしょうか。大型プロジェクトは建設費も膨
大であるが、建設後の維持管理費用も多額にのぼることが容易に推定で
きる。新幹線もトンネル壁崩落事故があろうと無かろうと、更新保守の
時期に入りつつあり、それは高速道路も各地の会館施設も、原発とて例
外ではない。
 特に原発は、この狭い断層列島日本に50数基も既に立地していると
いう。豊かな生活維持と電源開発という命題と、環境保全や安全性とい
う命題の真剣な検討が一人一人に求められる時代に至ったのではないで
しょうか。財政難の石原東京都知事も、原発を誘致して電源立地交付税
を得たらいいのにと思う茫猿でした。
それにしても、この姿を見せ始めた伏流の行き着くところは、どんな世
界なのだろうかと思うのです。
【閑話休題、茫猿は56歳に至りました。】

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