悪魔の提言

アイロニーというか、シニカルというか、濡れ雑巾で横っ面をなで回す
ような投稿を受けました。逆説的で面白いと看ましたので、転載します。
投稿者は氏名公表でかまわないと云いますが、管理者としてはハンドル
ネームの公開にとどめます。
投稿者・ハンドルネーム 「SHOW BIZ」
【悪魔の提言】
 総選挙も終わりました。
 予想通りの結果とはいえ、やはり暗い気分になりました。思想信条に
ついての是非はさておき、純粋な経済分野をはじめとする政策の不備に
対しても、とりあえず信任されてしまったと言うことでしょう。
 この選挙で変革を起こさなければならなかった要点としては、次のも
のが挙げられるでしょう。
 ・社会的閉塞の打破
 ・当面の経済対策
 ・雇用安定と財政再建を軸とした将来的な経済戦略
 その他の要因は、基本的に付随要件と言うことができます。
 「希望があって」、「今の暮らしがよくなって」、「成長の阻害要因
を除去」できれば、今の日本には問題らしい問題は存在しません。
原則として。
 例えば「若年世代のモラル欠如」を経済的な要因に換言すると、
 ・若者は自己の将来価値を認められず(=将来リスクを計算する必要
がない)、それによるモラルハザードが発生して各種非行が頻発する。
 また、規範遵守概念をインプットされていないことがそれを助長して
いる。
 「教育問題」も同じで、
 ・教育とは、ある人間に対する先行投資である。現在の日本には先行
投資に対する将来のリターンが低くなっているばかりでなく、その先行
投資を行うだけの余力が社会、ひいては中高年層に存在しない。
 こんな感じではないでしょうか。
 これらの解決策としてよく言われるものが、
 「戦後の日本再生を思い出せ!」というスローガンです。大変耳障り
の良い言葉ですが、今の日本では不可能な話であることに、いったい何
人の人間が気づいているのでしょうか。
 戦争直後の日本においては、既得権益層が、かなり解体されたといえ
ます。それが自由競争の活力を産み出し、高度成長につながったともい
えます。ところが現在の日本には既得権益が多すぎ、自由競争というの
は事実上遮断されているともいえます。
 ここでの【既得権益】は、何も大企業や大金持ちのことを指すのでは
ありません。
マクロ的な要因としては、それ以上に【世代間格差】を指摘するべきで
しょう。これは現在のストック・フローだけでなく、
 ・将来自己価値
 ・全体の成長時に与えられる、一人あたりの拡大マーケット
 ・子孫への譲渡資産などもカウントできるでしょう。
 (既得権益を得た親世代の存在の弊害ということもできます)
 
 現在の閉塞感は老若男女等しく感じてはいるのですが、若者と中高年
層との間では、残余生存年数の差が累積する閉塞の絶対量の差になって
います。
 「若者は長生きする分、しんどい」のです。
ましてや将来価値が減耗している今の日本では、中高年世代はその閉塞
感を補填することも可能ですが、将来の日本(=若者たちが大人になっ
た時代)ではそれも不可能になっている可能性が高いのです。
 憂鬱な時代に一番憂鬱なのは、年金を貰えない中高年世代ではなく、
年金も払えない若年世代なのです。たぶん。
 さて、解決策としてはどのような手段がとれるのでしょうか。
<1>閉塞感の固着
 『日本において基本マインドであった「一億総中流」の打破』
 ・インフレーションによる将来損失の一掃を行う。
 ・それに伴い、資産保有量による階級分化を推し進める。
 (資産は所得と異なり、インフレーション耐性が比較的強い)
 ・新たに生じた【労働者層】の再教育と治安強化。閉塞感を解消する
のではなく、閉塞感を所与のものに定着させる。
 結果
 =世代間格差を階級間格差に転化、同時にマクロコストの削減による
国家回復。
<2>世代間格差の解消
 『日本において基本マインドであった「高齢者保護」の打破』
 ・資産課税と福祉削減による、将来損失の一掃を行う。
 ・それに伴い、若年層:中高年層の世代間格差の解消を行う(資産保
有量は明らかに中高年層の方が多い)。
 ・閉塞感がより強い若年層で、その解消を行うとともに、閉塞感の全
てを中高年層に転化する。これにより、閉塞感低減時でのパレート最適
を実現。
 結果
 =世代間格差を解消し、「姥捨て山」政策によるコスト解消で国家回
復。
 どちらがいいものでしょうか。
 個人的には、「モラルを破壊」し、「子育てに失敗」し、「将来価値
を食いつぶし」た中高年世代はそのツケを払えと言いたい気分ではあり
ますけど。
 本当はさらに「第三の道」も存在するのです。そう、
<3>外国人移民の受け入れ
 『日本において基本マインドであった「単一民族平等感」の打破』
 ・生産性の良い(=賃金の安い)外国人労働者を大量に受け入れ、そ
の所得により将来損失の一掃を行う。
 ・それに伴い、若年層の相対的階級引き上げを行う(外国人労働者は
その下の階級に位置させる)。
 ・外国人労働者を低位階級として受け入れることにより、日本人全員
の階級レベルを底上げし、閉塞感を打破する。
 結果
 =『奴隷』制度復活によって、日本民族内での平等感維持による国家
回復・・・。
 本当にやりかねない人もいそうですね。やれやれ。
【 Web Master 独白】
 我が家の親を見ていても、ロータリークラブの先輩諸兄(諸老)を見
ていても、世代間格差の不合理を感じています。でも、茫猿は恵まれた
世代の片隅に何とか滑り込めそうなかすかな望みを抱いています。
 既得権益の打破については、まさに云うは易く行うは難しです。
茫猿とても、十重二十重の既得権益シールドに安住している訳で、内心
忸怩たる思いです。
などと、しおらしくしていますが、その実シールド破壊の予感におのの
いているのです。
 外国人労働者の受け入れは、3K職場を中心にして、既に後戻りが困
難なほどに、既成事実が積み重なっているのでは。
 国家回復とは、国家の威信であり、国家の秩序であり、国家の求心力
であるとするならば、「それらの回復を目的とする国家の在り様」の空
恐ろしさを、想像する力を持ちたいと思います。
 悪魔の提言に対して、小市民の律儀さで答えてしまいましたか。

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