歌舞練場のビール

 8月20日、21日の二日間に亘る十数単位の鑑定協会特別研修を京
都・宝ヶ池国際会議場にて受講してきました。京都以外にも大阪、滋賀、
名古屋、岐阜から多くの会員が夏休み京都観光を兼ねて受講されていま
した。この研修の感想その他については、稿を改めて書きます。
 本稿は、その幕間話です。
以前にも、京都には五花街ありと書いた記憶がございます。祇園甲部、
祇園東、先斗町、宮川町、そして上七軒です。いずれも歴史のある花街
ですが、何処も彼処も今やビルの谷間になっています。
 そのなかで、京都の中心街からやや離れていることや、祇園ほど売り
込み上手でなかったことから、京の町屋風情を今も色濃く残しているの
が上七軒です。京都駅から北西方向に約5km、千本今出川の西北方、北
野天神辺りの花街です。
 学問の神様、菅原道真公をお祀りする北野天満宮の裏参道とも云える
道筋が上七軒通りです。ここには耐火造のビルなど野暮な建物は殆どな
くて、ヒョットしたら伝統的建造物群地区に指定されているのではと思
えるほどに、格子造りの町屋が軒を並べています。
 古くは足利将軍の頃に端を発し、豊臣秀吉の北野大茶会の七軒の茶屋
に由来する歴史を持つと古文書に記されている上七軒茶屋街です。
詳しくは、下記URLを参考にして下さい。
http://www.joho-kyoto.or.jp/~machiya/ichi/index2.html#
 研修期間中でもありますし、鑑定依頼も夏枯れでお茶屋さんに揚がる
ほどの懐もございませんので、研修仲間十人ほどと北野天神さんに研修
の成果が上がりますようお参りし、平野神社にも伴参りをして、ビヤガー
デンに行きました。このビヤガーデンが並みではありません。
 上七軒(北野)歌舞練場(カブレンジョウ)ビヤガーデンです。歌舞練場
とは芸妓(ゲイコ)さんや舞妓(マイコ)さんが歌や舞などの芸事を練習し、
その成果を年に一回発表する場所です。この踊りを北野踊りと言います。
都踊りは祇園甲部、祇園踊りは祇園東、賀茂川踊りは先斗町、宮川町は
確か宮川踊り (違っているかも)、そして上七軒のおさらい会を北野踊
りと言います。毎年4月の半ば過ぎに開催されます。
 この歌舞練場の前庭を夏の二ヶ月間だけ開放してビヤガーデンを営業
しています。このビヤガーデンが並みでないのは。
・ビール中ジョッキが一杯900円(高い)、
・枝豆と辛し豆腐とビール一杯のセットが確か2000円(高い)
・床が舗装されていなくて、砂利の上にテーブルが仮設されていること
  (風情は認めるが、設備としてはみすぼらしい)
 これだけなら、客は来ないし、話題にする必要もありません。
並みでないのはこれからです。
7/1から8/31までの二ヶ月間、夕方6時から多分8時か9時まで
の営業時間中は毎日当番の芸妓さんが数人詰めていて、接待をして頂け
ることです。
 お座敷へ揚がれば、目玉が飛び出るくらいの花代を必要とするのに、
浴衣がけとはいえ、三味線も踊りもないとはいえ、ビールを頂く間の話
し相手になって頂けるのです。
 それがドウシタと云われればそれまで、タダノおじさん趣味かもしれ
ません。でもね、残り少なくなっている京都の町屋を見学観察して、芸
妓(ゲイコハン)をお相手に、ビールで喉を潤す。鑑定評価たるもの人間
ウオッチングに始まり、街角ウオッチングに終わると考えている茫猿に
とっては、至福のひとときでした。
——– ご案内を一つ ———
 民事再生法が今回の研修テーマの一つでした。民事再生法といえば、
競売評価のあらましを知っておくことは必須条件かと考えます。
この競売評価の全体像を把握するのに、格好の良書が刊行されました。
民事再生法、「価額決定請求における不動産の評価」についても、
原 道子氏(当時名古屋地裁判事、現東京法務局訟務部付検事)の論考が
掲載されています。
 判例タイムス社発行、名古屋地方裁判所評価人会 編著
・「競売不動産の評価と評価書」 代価4,000円
・書籍コード ISBN4-89186-082-0
・判例タイムス社Fax 03-3267-6230

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