蟷螂の斧、ゴマメの歯ぎしり

【茫猿遠吠・・蟷螂の斧・・02.02.18】
 しばらくのご無沙汰でした。如月2月に入ってから、何も発信していない
ことは承知していましたが、なぜか何も発信する気がしなくなっていました。
今月は、茫猿(鄙の堂守)の58回目の誕生日です。もちろん、今更目出度
くも何もありませんが、それでも今日までとにもかくにも無事に過ごせてき
たことを、心密かに祝ってやりたいと思っています。
 2月という季節は、自分の生まれ月であるからだけでなく、好きな季節で
す。年間を通して一番寒い時期ではありますが、間近に迫った春の息吹が其
処彼処に感じとれるのがとても好きです。
 梅の蕾がふくらみを増すとともに、日々白黄色や薄紅色を増してゆくのを
見るのは嬉しいものです。桜の蕾もやはり日毎に紅色を増してゆきつつあり
ます。咲き誇った花を見るのも楽しいのですが、真冬に花芽を用意している
木々の営みを眺める一刻も心穏やかにさせてくれます。
 研ぎ澄ましたような寒さは、月明かりも冴え々々とさせており、数日前の
残雪がほの白く光るなかに、早咲きの梅の香りがかすかにただよう。
そんな季節がとても好ましいのです。
 それにつけても、日々眼にし耳にするニュースの馬鹿々々しさかげんは、
口にするのも憚られる限りです。マキコ罷免事件の唯一の功績は、ODA予
算作成が、自民党の政策調査会のなかの外交部会のそのなかの対外経済援助
特別委員会という私的組織の末端で左右されているという事実を白日の下に
さらけ出したことでしょう。ODAに限らず、多くの国家政策が公党の組織
とはいえ、法によらない私的組織で動かされていることを明らかにし、権力
の二重構造を話題にしたと云うことは大きい功績ですが、何かを変えてゆく
きっかけになるかどうかは、疑わしいものです。
 事実上、BSE事件で引責辞任したK次官が食肉加工団体の顧問に就任し
ていたなどという記事は、呆れるのを通り越して、情けなくなったものです。
ノーブレス‐オブリージ(noblesse oblige)という言葉が死語になってしま
ったのはいつからなのでしょうか。
 一番、畏れるのは、高位顕官に在るものは高い地位に伴う道徳的、精神的
な義務感も高いであろうという、社会がよせる信頼感が木っ端微塵に砕かれ
てしまうことです。社会に広がってゆく虚無感が、次なる退廃を招いている
のだとしたら、梅や桜には次の春があっても、私たちにはもう無いのかもし
れません。
 そんな、「蟷螂の斧」や「ゴマメの歯ぎしり」にも似た想いを語る続ける
ことに、疲れを感じています。茫猿の身の回りでも、「このままではいけな
い。変わらなければ明日はない。」という声が少しは聞こえてきます。
しかし、総論賛成各論反対もしくは、あなた任せの他人事状態が多くて一向
に動き出す気配は見えません。巨石は最初の一揺るぎにエネルギーを消費す
ると云いますから、その胎動待ちなのかもしれませんが。

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