小樽と俥屋さん

【只管打座・・小樽と俥・・02.08.23】
 岐阜県鑑定士会でツアーを組んで、北海道に来ております。
来道の目的は、北海道鑑定士会で行われている「収益インデックス事業」につい
て、北海道会研修資料委員会の講義を受け研修質疑を行うことです。
この事業内容・データ収集方法或いは質疑の詳細は、後日、茫猿遠吠に書きます。
 この便は、ほぼ20年振りの北海道印象記、ツアー顛末記です。
岐阜会より約20名が大挙して押し掛けたのですが、北海道会の皆様には大層お
世話になりました。吉田様、前川様、宮達様、江口様、菊池様、長谷川様、塚本
様、本間様、他多くの皆様、有り難うございました。メルマガ誌上より御礼申し
上げます。大いに勉強になりましたし、今後一層のこと収益データの充実に務め
たいと考えております。
 今日はわけあって、一人で小樽を巡ってきました。
運河の近くで俥(くるま)屋さんのお兄さんと話をしていましたら、乗るはめと云
うより乗りたくなって、生まれて初めて人力車に乗せてもらいました。
一時間コースで9000円です。運河沿いに走り石造倉庫街を抜け、浪漫地区か
ら鮨屋通りを走りながら観光案内も受けました。
 人力車に乗るのはためらいがありました。贅沢だと云うこと、足が不自由でな
いのに驕りに見えはしないかなどと躊躇したのですが、息子と同い歳という彼の
誘いに乗ってみたら、楽しく優しい乗り物でした。目線が高いから町並みが歩く
よりは新鮮に見えます。また、行き交う人の視線も少し面映ゆいのですがチョッ
ピリ快感です。引き手の息づかいを感じるような乗り物の楽しさは東南アジアの
シクロや自転車タクシーともひと味違うものです。
石畳の道を人力車で通れば、明治の旦那気分であり優雅なものです。
 勿論、横に美女がいればゆうこと無しですが、無念独り旅です。
 俥屋の兄さんと色々な話をしていましたら、人力車は岐阜県の高山で製造して
いるとのこと、一台約百五十万円とのこと、思わぬつながりに三〇分の予定を一
時間に延長したような訳です。小樽観光案内をしても仕方ありませんから、鑑定
士の目線で小樽印象記をつづってみたいと思います。
 坂の街小樽であり、その昔日本海交易で栄えた街が、今は運河や石造倉庫やガ
ラス工芸などの観光都市となっている訳ですが、町並みがたいへんきれいで優し
いなという印象です。一つは煙草の吸い殻や噛み捨てガムがほとんど見あたらな
いことです。清掃に努力されているのでしょうが、ベンチや灰皿が多いのも印象
的です。特にアーケード商店街であるサンモール一番街やセントラル都通には灰
皿と屑籠とベンチが多く配置されてあり、老人だけでなく軽飲食しながら休む若
者も多くて、町造りと集客方法としては安くて効果がある手段だと感じました。
 街を見渡したくて、小樽の背後にそびえる標高532mの天狗山に登ったので
すが(徒歩ではなくロープウエイです)、眼下の町並みは起伏があり夜景はすば
らしいだろうと思いましたが、長居はできないので写真と照らして夜景を想像し
ただけです。ロープウエイの付近は天狗山スキー場のゲレンデであり、船木選手
も高校時代はここで練習したと聞きました。
 興味があったのは、夏場のゲレンデは昔はコスモス畑であったそうですが、他
にもコスモスを売り物にする場所が増えたので、近年は蕎麦畑にしているそうで
す。折しも蕎麦の花が満開でありまして、白い花と大変めずらしい赤い花が交互
に咲いていました。蕎麦の白い花は可憐で優しいものですが、赤い花はまた一つ
趣が転じて興味深いものです。(三回連続蕎麦談義とはまたまた縁有ってと云う
ことでしょうか)
 石造の建物や倉庫は、日銀支店、日本郵船支店、三井銀行支店などそうそうた
る企業群が小樽に立地した歴史をしのばせるものであり、歴史的資産或いは伝統
的建造物群として事務所・倉庫利用から、博物館・資料館・飲食店・土産物店と
して転用されており、町並み保存或いは町おこしとして興味深いものです。
 耳新しかったのは、運河の歴史です。一般に運河は人為的に掘削されるものと
思っていましたら、小樽運河は海を埋め立て造成する際に運河部分を残したもの
と知りました。掘るのと埋め残すのとは大きな違いであり、なるほどと思ったの
ですが、考えてみれば岐阜の輪中地帯のクリーク(水路)だって、掘ったもので
はなく、埋め残し又は掻き上げたものですから同じ事ではあります。
 改装中の石造倉庫をのぞいて見ましたら、木骨石造であり太い柱や木組みが見
事でした。
 小樽といえば鮨ですが、美味しかったのに否やはありませんが、観光客相手の
お店だったせいか松・桜・特上という注文受けが中心のようで、一貫二貫づつの
注文が憚られる雰囲気があり、せっかく付け台に座ったのに物足りない気分でし
た。鮨屋通りのT寿司に入ったのですが、お酒の肴にウニをお願いしたら、一箱
出しですがと云われパック一杯で馬糞ウニが四千円弱、紫ウニが五千円弱と言わ
れました。ウニだけでお腹一杯になりそうで値段もさることながら量を考えて断
念しました。
 秋刀魚と烏賊の造りを頼みましたら、スルメ烏賊一杯、秋刀魚一匹が出され茫
猿のお腹では納めるのに一苦労でした。
 特に秋刀魚は脂がのりすぎていて食傷気味というのが本音です。
あとで、タクシーの運転手さんに聞きましたら、北海道では秋刀魚はあまり刺身
造りはしないとのことでした。また、デパートの地下食品売り場で刺身用の秋刀
魚を見つけて値段を確認したら、一匹550円であり値段は岐阜とあまり変わら
ないなと少し驚きました。ツブ貝や地鮪はさすがの旨さでしたが、握りのご飯の
量をもう少し小さくしてほしいなというのが本音です。
寿司屋横丁は、地元でもあまり好評ではないようであり、観光客相手で客あしらいが
いまいち、宜しくないようです。茫猿は翌日に札幌市内の寿司店にホテルコンシェルジェの
案内で参りましたが、これは絶品でした。堪能する寿司でした。
とかく、ガイドブックや観光客頼みの店は避けたが無難と云うことでしょう。
 他には、札幌の大通り公園では、造園業者による花壇コンクールが行われてい
て、プロの手による花壇は美しく、行く夏を惜しむような満開の花々が見事でし
た。とうきびとじゃがいもも食したかったのですが、夕食を考えて断念しました。
 ところで、人偏に車と書いて、俥即ち人力車という字は言い得て妙だと感じる
ものです。
 昨夜は地元の方々に、キャバレー・エンパイア(エンペラーだったかも)に案内
頂いたのですが、名古屋や岐阜ではもう無くなってしまった由緒正しいキャバレー
でして、同行した士協会事務局職員諸嬢がラスベガスみたいと喜んでいたのが時
代の流れを感じるものです。(彼女たちにはキャバレーも豪華なショーパブに見え
てしまうのでしょう。)
ShinSan Mobile 『鄙からの発信』札幌後楽園ホテルより発信

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