新基準を考える-投稿編

【茫猿遠吠・・新基準を考える-投稿編・・02.10.18】
 新基準について記事を連載しておりましたら、読者から投稿を頂きました。
発信者及び発信地が特定できる箇所は伏せて掲載いたします。
投稿の主旨は、「取引資料と市場分析について」です。
・・・・・・投稿転載開始・・・・・・・・
 メ-ル有り難うございました。
 話は変わりますが、小生の身の回りでは、こんな話があります。
・法務局コンピュ-タ化の際には、移動通知情報収集の困難さが予想される。
・また、地価公示等事例カ-ドを一般協会員の閲覧に供するのは、
 目的外使用とみなされる。
・M県では「個人情報保護条例」の施行により、事例資料を一般会員の
 閲覧に供することが困難となり、近く閲覧停止の措置がとられる。
 最近、私は機会ある毎に、こういった我々の取引事例収集環境の悪化もあり
「現基準の取引事例比較法は時代にあわなくなったのではないか。」
「これを変えないと鑑定士の未来はないのでは」と、皆さんに話しています。
現基準の取引事例比較法は取引当事者の属性や特殊な動機、市場の精通性等個人
情報を詳細に分析することを求めています。
 住基ネットで火がついた個人情報保護のうねりの中で、このような詳細分析が
いつまでも可能であろうかと考えるのが、理由の一つです。
 二つ目は、取引事例は市場の情報の一部でしかないという思いです。
当地の代表的な別荘地である○○高原では年間売り出し物件で成約するのは10%
位と言われています。こうした地域では1年以内の最新事例から現市場価格を掴
むのは至難のことに思われます。
××市では△△鉄道の大型団地の供給目前にして、いま販売物件を抱える業者は
売り抜く価格設定を模索しており、ここにおいても1年以内の取引事例から市場
価格を推定するのは困難な状況となっています。
 今回の基準の改正では市場分析が重要な分析項目となっています。この市場分
析を市場情報分析法とでもして、独立した手法として位置づけられないのかと考
えています。
 従来の取引事例比較や売り情報の分析、例えば売り指し値・買い指し値と想定
成約価格、地域の需要と供給の状況、業者取材等市場の取引に係る総合情報を分
析して試算する手法が成立しないのだろうかとの考えです。
 皆さんの意見を伺っていますが、市場の詳細分析の為にはそれの裏付けとなる
デ-タの整備は不可欠と考えています。
・・・・・・引用終了・・・・・・・・
『茫猿独白』
 住基ネット問題は、どうやら寝た子を叩き起こしたようです。
資料収集と個人情報保護の問題は、不動産鑑定にとってゆるがせにできない問題
を突きつけつつあるようです。また情報公開問題は別の意味で、鑑定評価の在り
ように匕首を突きつけるように見えます。
 固評標宅鑑定評価書公開に始まり、地価調査、地価公示の評価書公開準備も着
々と進められている様子であり、事例情報公開にも踏み込む考えもあるようですが、
外部への公開準備は進められても、内部での情報共有化は遅々として進まな
いのが実態のようです。ナレッジマネージメントとまでは云わなくとも、ネット
ワーク整備、グループウエア導入は緊急課題でしょうに。
何よりも外部環境変化に即応した、すなわちデジタル化と情報公開共有化に
対応した業務内容作業工程の抜本的な見直しが必要でしょうに。
 新基準に対応した新たな環境整備を模索する前に、現在の資料収集環境をどう
して維持してゆくかという難題に直面して、ウルトラC的打開策は見つかりまし
ょうか。

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