新基準-DCF(H.K氏投稿追考)

【茫猿遠吠・・新基準-DCF(投稿追考)・・02.10.21-2】
 堀田氏より、02.10.19付け掲載投稿の追考を頂きました。
茫猿殿 直接還元法につき、補足させていただきます。
直接還元法の還元利回りは、新基準にもあるとおり、
アプローチの仕方がたくさんあります。
私が"いい加減さ"が表に出ないと言いましたのは、
どのように査定したのかを細かく明示すれば説明責任は果たせますが、
一方、「・・・を総合的に勘案して5%と査定した」などという文章では、
プロセスがわからないので、たとえいい加減な査定でも誤魔化せてしまうということ
です。
それを肯定する意図は、もちろんありません。
・・・・・『茫猿も氏一流のアイロニーと申しました。』
新基準に規定されている「取引事例から求める方法」にしても、
私が考える理想的な姿は、多数の事例(取引利回り)を収集し、
統計解析を行なって対象不動産の利回りに接近する方法ですが、
現状ではむずかしいので、いくつか集めた事例との直接比較にならざるを得ません。
その場合、どのような事例を採用して、
どのような計算に基づいて対象不動産の利回りを査定したのかの説明は必要です。
 (新基準に準拠した利回り算定方法については、
 来月発売予定の「Evaluation7号」に寄稿していますので、
 そちらをご参照くだされば幸いです)
不動産業界で一般的な、「粗利回りでザックリ」というのも、
私は結構説明力があると思っています。
対象不動産のような収益物件なら、
だいたい粗利で何%というコンセンサスがあるのなら、
それも立派な「市場利回り比較法」みたいなものです。
粗利というから文字通り粗っぽく聞こえますが、
粗利の逆数をとって、「総収益乗数法」あるいは「総賃料乗数法」と言えばいい。
無論、この1つだけで収益価格です、というのは粗いですが。
その他新基準に規定されている借入金・自己資本法や、
借入金返済余裕率(DSCR)を利用する方法などを併用すれば、
十分に説明責任は果たせると思います。
ただ、そこで採用する「借入割合」や「自己資本利回り」の
根拠付け資料が乏しいというのが、現状における難点です。
いずれにせよ私が最も強調したいのは、
説明責任を果たすためには、
鑑定に用いる各種データの整備が欠かせないということです。
収益物件のテナント賃料や管理、修繕状況等が秘匿されたまま、
あるいは不動産投資インデックスが全国津々浦々整備されていない現状のまま、
「収益還元法の精度を上げよ」「鑑定士は説明責任を果たせ」
と言われても無理です。
我々業界が最もなすべきことは、
鄙からの発信でも繰り返し強調されている「データ整備」への尽力でしょう。
なお、市場データが不足している部分については、
根拠を示した上で、「専門家としての判断」を行なうことになりますが、
それが許されている(その能力ありと認められている)からこその国家資格者でしょ
う。
判断根拠を明示した上で、その鑑定を信頼するもしないも
決するのは市場の人々ということになります。
それが真の実力主義でしょう。
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HOTTA, KATSUMI
==2つのサイトを開設しています==
■Official
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●Private
K氏の葡萄酒的日常: http://kanteishi.net/wine/
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